Design Manhole Cover

Design manhole cover that gathered throughout Japan

武士の一分

2006年12月11日 | 映画
原作の短編小説「盲目剣谺返し」は藤沢周平氏の作品ですが、昨年読んで感動していたので、この「武士の一分」が上映されるのを心待ちにしていました。

映画の冒頭に、主人公・三村新之丞(木村拓哉)の毒味役について文字での説明が入っていましたが、今の若い方達には、当時の封建制度下の作法、しきたりや慣習、上士・下士の身分の違い等は、解らないのでは無いかと思うんです。
説明の文字を入れてでも、時代背景をもう少し丁寧に説明していたら、もっと新之丞や妻加世(檀れい)の止むに止まれぬ心情が伝わったのではないかと思います。

毒味役の樋口作之助(小林稔侍)が文字通り、詰め腹を切らされる自宅の場面は、作之助が腹を切ることで樋口の家が残されると云う、武家社会の中で生きて行く家族の悲しみが良く出ていました。

映画の流れからは、三村新之丞が本来優れた剣士であった印象が薄く、島田藤弥(坂東三津五郎)に復讐を胸に盲目の中で稽古を重ね、昔をも凌ぐ剣技を習得する辺りの説明が不足していました。
盲目の新之丞に、辺りの気配や見えない敵に対する心理などを演じて欲しかったです。

藤沢作品の中では、武家社会の本音と建て前の違いを指摘しており、男女間の問題についても、しばしば取り上げられています。
当時も現代と同じように、男女が密会する場所はあったわけです。
そして、間違いを冒す男女もいたわけです。

愛する妻を騙され、冒された新之丞が命を掛けた武士の一分。

新しい飯炊き女が元の妻加世だと解り、加世を許す新之丞に男の優しさが表れて、知らぬ間に涙が溢れてきてしまった。

脇役の笹野高史の中間徳平役や桃井かおりの波多野以寧(いね)はぴたりはまり役で実に良かった。

時代背景や原作を知らない方達にはチョッと物足りないかも知れませんが、原作に忠実に作られた心打つ映画でした。スタジオ撮影とは思われない風や木の葉の舞い散る表現など全て含めて ★★★★(5★満点で星4です)


ブログランキングに参加中、気に入ったらクリックお願いします。