1月4日 ぜんせきより
「格差」が歪めるSS経営
幻の“残存需要”巡り 続く消耗戦
◇“格差26円”どう説明
◇広がる同系列間格差 不公平感が生む不信
◇薄利多売モデルがもたらす弱肉強食
◇“SS減=販売量増” 時代変化で再考必要
◇広域化する価格競争 “残存需要”もはや過去
1月10日 燃料油脂新聞 「記者の眼」より
「正義」がない業界から真面目な業者が消える
◎・・・昨年取材で訪れた販売店主から「このままでは年内に店を閉めざるを得ない」と打ち明けられた。
理由を尋ねると「今の(低マージン・減販)状況では赤字が増える一方。
地下タンクにお金をかけても回収するメドが立たない」と経営悪化に加え地下タンク漏えい防止対策がきっかけになった経緯を語ってくれた。
創業から40年以上、地域密着一筋で地道に真面目に商売してきた業者(SS)がまたひとつ消えた。
◎・・・同業者のガソリン販売価格は周辺の安値店よりも常に5円以上高く設定されていた。
いうまでもなく同業者の価格が高いわけではなく、周辺が5円前後の低マージンの価格設定だったに過ぎない。
老朽化が進む小規模SSにとって「5円」価格差は致命的。
需要減少とSS間競争が激化していくほど販売量は減少、これに安値店への対応が輪をかけていったのが現実だ。
それでも通い続けてくれた常連客もいたが、もともと販売量が少ない同店にとってはSS存続を決断させる要因にはならなかった。
◎・・・マージン5円が多いのか少ないのか、10円あれば十分なのかは分からない。
だが業者によって業転並みかそれ以下の仕切価格があり価格差は「軽く見積もっても6-7円ある」のも確かで、マージン10円前後の経営状況では決して「良し」とすることはできない。
◎・・・もちろん取扱量が違う業者に対して同じ仕切価格を望むものではない。
格差はあって当然だし自然なこと。
だがそれはあくまで常識の範囲でなければいけない。
常識の範囲内とは真面目な商売をしている業者が「損」をしないことが基本。
少なくとも先の販売店のように「浮気」もせず系列一筋に地域に貢献してきたSSが簡単に消えていくようでは常識の範囲とはいえない。
いわば「非常識」がまかり通る限り、SS業界に正義があるとはいえない。
今、業転から仕入れると、(うちの場合)10円安く買えます。
注文の電話を掛ける番号を変えるだけでリッター当たりのマージンが10円増えるのです。
元売マークを掲げている同市内のフルSSは、セルフと同値の看板価格です。
中にはセルフより1円安いSSもあります。
(?)
10円安く買っていればこそ出来る芸当じゃないでしょうか・・・
だけど、
「当店は業転を取りません」
アルバイトも雇わず(低マージンゆえ、雇えず)、
人の2倍働いて、何とか営業を続けています。
※バカでもアホでも何とでも言うておくんなはれ(笑)こういう店があっても良いでしょう。
それでも、というか、
だから当然利益は殆どありません。
経費を払ったらトントンです。
トラブルが起きて修繕費が発生したら、その分は確実に赤字です。
設備費やリスクに対して内部留保が必要な職種にも関わらず、様々な“歪み”により、普通に真面目にしていては利益確保が出来ない状態が規制緩和以降恒常化しています。
・・・・・
自己啓発本やビジネス書、スピリチュアル系の本からすると、今から書く言葉は「ネガティブ思考」ということになるのでしょうが、
「今のこの業界で儲けが出せるというのは、あくどい商売をやっていないと出来ないことや」と、こうちゃんは言い切ります。
「何かえげつない事をしているから儲けがあるんや」と。
上に書いた書籍の類に一時期かぶれていた私はこうちゃんがそんなことを口にする度に、「そういうこと言ってるから、私らのところにお金が来ないんやで」と言ってました。
でも、やっぱり今、私もそう思います。
今の世の中、真面目にやっているだけでは儲けることができない。
儲けと書くと誤解され易いですが、適正利益のことです。
例えば、「社会保険料が正直に払えない」企業。
今や、偽装や不正を行わないと競合他社に勝てない世の中。
いや、勝てないのではなくて存続できない世の中なんだ。
だから、「そんな世の中なら壊れてしまえばいい」と、心の底からそう思います。
一旦壊れてしまえばいいのです。
当店を信用して利用してくださるお客様には申し訳ないですが、私はこの業界が是正されないこのままの状態で店を続けるべきではないと思っています。
(全国的に)地域のフルのスタンドが無くなってはじめて理解されるのなら、「無くしてしまいましょう」と、こうちゃんに言っております。
店を閉めるとなったら、各方面から色んなお叱りや苦情を受けることになるとは思いますが(冷や汗)
・・・だってね、掛けの企業などはセルフの看板価格を元に価格交渉をしてくるわけですよ。
この業界の“歪み”を知らないから。
そうそう、そして「地域密着」ってコトバがよく使われるけど、
これもコチラ側の独りよがりみたいなものです。
地域にもよるのでしょうが、うちの場合、同じ村の住民で給油に来てくれる人はごく一部です。
殆どの住民は安値店に流れました。
“商売”でいえば全然地域密着ではない。
うちの店が存続していられるのは、地域外のお客様のお蔭です。
個人客が安値店に流れる、ということは、高値の系列販売店は必然的に減販になるということです。
とすれば、営業を続けるため減販分を補う、そのためにはマージンを上乗せして更に高値にする必要が出てくるのです。
系列、配達、掛け取引、こういった条件が必要な顧客は、それを認める必要がある。
だけど、現実はそうはいかない。
この業界の中で置かれている系列販売店の状況を理解した上でも、あまりに大きな価格差は受け入れてはもらえない。
ならば、不正(浮気)もせず真面目にやっている販売店の経営は成り立つわけがない。
でも、今はまだ、皆それに気付いていない。
気付いていたとしても、無関心だ。
だから私は
「アホらしくてもうやってられない」と思う。
灯油難民になってしまいそうな高齢者のことを思うと心が痛むけど、こっちにも耐えられる限度ってものがある。
ごめんなさい。
社会的弱者を切り捨てようとしているのは私です。
・・・
こうちゃん、もういいやん。
規制緩和以降平成17年までの数年間に、こうちゃん個人の資産を何千万も店に投入してきたやん。
そら、続けようと思えば続けられるよ。
こうちゃんと私がこの先も病気一つしない、年も取らない、不死身の身体なら。
儲けもなく、余暇を楽しむこともなく、それこそ「何があっても、何が起きても、今日という一日は終わる」という生活で良いのなら。
でも、身体にも既にガタがきはじめているやろ?
それに収支トントンではアカンねんって!
おやじさんの今日のコメントにもあるように、漏えいが起きたら自己破産して全てを失うしかないんだよ。
この商売は設備費とリスクが高すぎる。
備えとして1億2億の内部留保を確保して初めて安心していられる業種だと思うよ。
規制緩和以前はそれが可能だったんだろうけど、今はどう考えても無理でしょ?
保険でリスク管理といっても万能ではない。
それに組合の共済も当てならない事が分かったしね。
私も「続けてもいいかな・・・」と、昨年までは心が揺れ動いていたけど
年末年始によくよく考えて、私の気持ちは固まりました。
もしも、こうちゃんが店を続けるとしても、夏が終わる頃には私の勤務時間は5時までにさせてもらいます。
こうちゃん、
もういいやん。
終わりにしようや。
・・・
こうちゃんは無言です。。。。