>これはもの凄く重大な事だと思います。
10円以上もの卸格差が無ければ、地場店も十分「サービス充実型」でやれたはずです。
というか、
10円以上もの卸格差が無ければ、地場店こそ「サービス充実型」ではなかったでしょうか?
何故地場店がサービス充実型かというと、それは“生業”だからです。
こうちゃんがよく口にするのは、「お客さんに食べさせてもらってるのだから」という言葉です。
そして、利益だけが目的ではなく“地域社会の一員として”店をやるわけですから、販社や大手広域業者などのように「詐欺まがいの押し売り」など絶対にしません。
※規制緩和以前、20年前のガソリンスタンドの様子を思い出して貰えれば分かると思います。
もちろん中にはそうではない地場店もあったでしょうが、
公平・公正な競争のなかでの自然淘汰ではありませんでした。
系列店でありながら安値の業転玉を仕入れた店と違い、品確法を遵守する系列店ほど体力を奪われ疲弊し、撤退を余儀なくされたといっても過言ではありません。
6万店あったガソリンスタンドが3万2000店にまで減ったー
その減った2万8000店のなかには、確かに早期撤退型もあったでしょう。力がなく淘汰された店もあったでしょう。
でも、
その中には、地域への供給のために働いてきた、本来なら生き残るべき地場店が多く含まれていることを忘れてはいけないと思います。
高値と知りながら系列玉を仕入れる理由。
地場3者店をスケープゴートにするための卸格差。
系列店の他社買いを放置したことは本来監督官庁の責任が問われても仕方のないことです。
品確法における軽減措置認定を行っているのは経産省です。
そうしたエネ政策の欠損部分が、本来生き残るべき地場店、大手が不採算だとして切り捨てた小口配達を担い続けてきた地場店を、この業界から追いやったのです。
青写真が描かれてから20年が経ちました。
>不当廉売や差別対価などがない、公正で透明な取引を確立するために、悪い取引慣行を是正していく必要がある。行政はそのための構造改革を支援していく
これはまだ道半ばということなのでしょうか。
今、露わになっているのは、
事後調整や差別対価などの不公平な卸の慣習、それによる廉売、過当競争による不正の数々です。
そして重要なのが、SS過疎地や灯油難民がまだまだ増えそうだということです。
この国のエネルギー政策は欠損部分の大きい「愚策」だったということです。
「同じような店があるんやなぁ」同じようで同じではない。
こうちゃんのこの言葉に反応していなければ、月間ガソリンスタンド3月号の、この記事も目にすることはなかった。
とても重大な「事」。
(※青系文字がmasumi)
先ずは向かって左の頁、
1997年新春討論会
両極・日石とエッソが激論! 意識改革が鍵を握る大競争時代の幕開け
(今から20年前の討論会です)
昨年は四月からの自由化による一時的な混乱から、先どころか現状さえも見えない、正にカオスの年であった。
しかし、今年は業界全体が自由化の真の意味を理解し、フェアなルールに則した「大競争時代の幕開け」となる年であろう。
この討論会では、販売業界の行方を予測する上で、ポイントとなる事柄に焦点を当て、率直な意見を語ってもらっているので、今後のSS経営・運営の一助として頂きたい。
++++++++++
※1995年から2年間、エネ庁石油部流通課長を務めた加藤文彦氏(現、全石連・新専務理事)へのインタビューより
■最も印象に残っているのは「石油流通効率化ビジョン研究会」の提言
(※順番を変えて最後に持っていきます)
■石油製品流通の実態は以前とあまり変わっていない
余剰玉が業転として流通し、業転価格と系列価格の格差が大きく、特約店への卸価格の建値化と事後調整がセットになり、販売業者が本来の卸値が分からず経営しているということでは、そういう石油流通の実態は以前とあまり変わっていないと思います。
以前と比べて変化があったと思うことは何点かありますが、その一つはSS数が6万ヵ所から3万2000ヵ所へとほぼ半分になってしまったことです。
2つ目はその結果、SSの過疎化が進み、全国1700以上の市町村のうち288市町村でSS数が3か所以下になってしまっていること。
3つ目は、そういう状況の中で東日本大震災や熊本地震を経験して「石油はエネルギーの最後の砦」という認識が国民に定着していることで、これについては以前と比べると随分変わったと思います。
4つ目は、今年、元売の統合・再編が行われ巨大元売が誕生することで、これは流通業界にとって極めて大きな変化です。
またこの先の大きな変化といえば、10年先なのか数年後なのかはわかりませんが、電気自動車の普及といった大きな変化も見えている状況です。
■誕生する巨大元売が業界をリードしてくれることを期待
(略)
■全体の70%を占める中小零細SSを支援していく
(略)
■最も印象に残っているのは「石油流通効率化ビジョン研究会」の提言
(※最初のサブタイトルの部分です)
今から20年程前の話ですが、当時は元売が13社、SSは約6万ヵ所ありました。
それが1996年3月に特石法が廃止され、SSも各種の規制が撤廃されて大競争の幕が開き、これから業界はどうなっていくのだろうかという時代でした。
当時ある新聞に私の年頭メッセージが掲載されましたが、その中で「規制が無くなり痛みはあるが、不当廉売や差別対価などがない、公正で透明な取引を確立するために、悪い取引慣行を是正していく必要がある。行政はそのための構造改革を支援していく」と言ったのを覚えています。
あの時代で一番印象に残っているのは「石油流通効率化ビジョン研究会」(SSをはじめとする流通効率化の推進についての検討および提言を行った資源エネルギー庁の研究会)です。
その中間報告(1995年6月)の中で、SSを4つの類型に分け発表しました。
第1類型は「サービス充実型」で、これはガソリンなど燃料油販売だけでなく、油外商品を含めてお客様のニーズに応えていこうというものでした。
第2類型は、コンビニエンスストアをはじめ他業種にも進出し、多角化を図っていこうというもの。
第3類型は、ガソリン一筋で量を売ることで経営を成り立たせる「量販型」です。
そして4番目が、「早期撤退型」です。
6万ヵ所のSS数はどう考えても多く、
残念ながら競争の中で撤退せざるを得ないSSも出てくるだろうということで、
そういう時は個人財産までも失ってしまうことがないように、早期に撤退した方が良いという提言です。
こうした研究会では普通そこまで踏み込んで書くことはないのですが、そのため随分批判もありましたが、あえてこれを書いたということが印象に残っています。
**********
20年前にこんな青写真が描かれていたことは全く知らなかったけれど、今、これを知って全てが腑に落ちました。
この青写真通りに事が進んでいます。
>第1類型は「サービス充実型」で、これはガソリンなど燃料油販売だけでなく、油外商品を含めてお客様のニーズに応えていこうというものでした。
※第1類型は、販社そして元売と資本提携しているような大手特約店。
>第2類型は、コンビニエンスストアをはじめ他業種にも進出し、多角化を図っていこうというもの。
※外資系元売。
>第3類型は、ガソリン一筋で量を売ることで経営を成り立たせる「量販型」です。
※ジョイフル本田やコストコ等の異業種。
そしてー
「早期撤退型」
※地場3者店がここに当て嵌められた。
けれども販売価格が同じなら地域密着で手堅く商売をしている地場店の方が強みがある。だから「卸格差」というハンデが与えられたのでしょう。
けれども計算違いもありましたね。
ハンデ(10円以上の卸格差)があっても、地場3者店は負けなかった。
(元売販売子会社も赤字だけど)地場3者店も(個人資産を食い潰しながらも)生き残っている。
そして東日本大震災
当初の予定は2万店まで減らすはずが、災害時の燃料供給のためには地場店が必要だと気付いた。⇒「これ以上減少させてはいけない」
20年前に「石油流通効率化ビジョン研究会」でSSを4つの類型に分け、
個人財産までも失ってしまうことがないように、早期に撤退した方が良いという提言をなさった方が、
20年を経て今、全石連の新しい専務理事となり、
全体の70%を占める中小零細SSを支援していくー
とおっしゃっています。
そういえば昔、理事か何か役職にあった特約店社長が業績好調にもかかわらず突然ガソリンスタンド業から撤退したーというのを業界紙か何かで知りましたが、
このエネルギー政策(青写真)を知ったからーと考えれば、納得ですね。
それはそうと、
このような提言がなされていたことを同業者の皆さんはご存知なのでしょうか?
こうちゃんは「知らん」と言ってます。
私も20年前はこの業界に入ったばかりで、当時は業界紙の存在すら知らなかったので当然このような提言も知りませんでした。
「今になって知らされても、既に個人財産失ってしもた人、よぉけおるやんなあ!この時に全石連が文書で知らせてくれてたら良かったんちゃうん?!」
そう言うと、
「もしそんなことしてたら組合が炎上しとるわ」と、こうちゃんは笑います。
確かに。
でも笑い事ではないと思う。
「私の使命は理解している。だが赤字では苦しい」と話した九州の販売店主さんのように、
大手が不採算だとして切り捨てた小口配達を、「自分が店を畳んでしまったら、では誰が代わりに行ってくれるのか」と、
今まで通り供給責任を果たそうと、「業界(卸格差)の是正」を信じて個人資産を注ぎ込みながら店を続けてきた同業者は多い。
早期撤退した方がいいと分かっていても、
個人財産を食い潰しながらも、
店を続けるのは、“本当の意味での”燃料供給を担っているという自覚があるからです。
これはもの凄く重大な事だと思います。
20年前の、両極・日石とエッソが激論! 意識改革が鍵を握る大競争時代の幕開け
昨年は四月からの自由化による一時的な混乱から、先どころか現状さえも見えない、正にカオスの年であった。
しかし、今年は業界全体が自由化の真の意味を理解し、フェアなルールに則した「大競争時代の幕開け」となる年であろう。
20年前から、なんですよね。
流通の実態は変わっていなくて、ガソリンスタンド数は半分になってもまだ減少は止まる気配を見せず・・・
今後は業転玉に頼った経営をしてきた業者が廃業を検討し出すことも考えられます。
で、公取委だったかな?エネ庁だったかな?
お役人の中には次のようにおっしゃっている方もおられるようです。
「元売は1社で良いんじゃない?」
おまけ
ウズベキスタンのSS事情
元売1社体制でSSは安定経営
旧ソ連時代はセルフ、独立後は全店フルサービスに
※セルフ比率はどんどん上がって、障害者差別解消法とか?
高齢者のために給油を手伝うセルフとか?
最初っからフルならそういう問題もないですからね。
こうちゃんのスリッパ
昨日は朝8時半に配達に出るというので8時出勤で閉店まで働いた。
午後からはトップページに書いたように忙しくて、クタクタで家に帰ってから「コンビニでお弁当買ってくればよかったー」と言ったら「それで良いで、今から買っておいで」と言う。
「もう炊飯器のスイッチ入れてしもたし、作るわ」
釣銭の勘定を終えたこうちゃんはテレビをつけた。
masumiさんはキャベツを刻みながら「こうちゃんのバカ」「こうちゃんのバカ」を繰り返す。
「何て~?」というこうちゃんの声を無視して、さらに大きな声で「こうちゃんのバカ」を唱え続ける。
声を出し続けるのも疲れたので、キャベツのせん切り終了とともに止めた。
こうちゃんはテレビを見ている。
ご飯を食べながら(その頃には笑顔のmasumiさん)
「な、こうちゃんはさ、こうちゃんのバカって言われても全然平気やねんな?」と訊いてみる。
「俺かて分かってるねんで」とひと言。
月刊ガソリンスタンド3月号
ここで紹介されるお店や人物は眩し過ぎて、読むと自分と比べて凹むことが多いからあまり見ないようにしているのだけど、先日こうちゃんが「同じような店があるんやなぁ」と言うので読んでみました。
スタッフの辞職が続き、日中のスタッフが所長を含め3人(実質2人)になってしまった。
昼休みも取れない日々が1年間続いた。
店にはその時の名残である「助けてチャイム」がある。
(店頭が一人で大変なとき、中にいるスタッフに知らせるために設置したもの)
1人で6台の車に対応しなくてはならないことがあったが、そういう時は常連客が「いいよ、いいよ、私は急がないから」と言って助けてくれた。
***
うん、同じだね。
でもうちには「助けてチャイム」は無かったよ。
こうちゃんが配達等で留守の時は完全に独りだったからね。
配達しているこうちゃんは店頭でのクレームとは無縁だったけど、
独りだから油外注文に応えられなくて「それでもフルか!」「そんなことでは潰れるぞ!」「もう来てやらんからな!」という責めも受けてきた。
だからこそ、
常連さんの優しい言葉に助けられたし、救われた。
オイル交換の為に3度も出直して来てくれた人もいる。
今も店をやれているのは、そういった常連さんたちのお蔭です。
***
月刊ガソリンスタンドの、この記事の最初の方に戻ると、
近隣より14-15円高い価格が掲げられていて、2年前から周辺では最も高いガソリンを売る店になったー
それまでの所長はボリューム優先主義で近隣セルフの2円高で価格を設定していたが、当時ボリュームは100キロリットル以上あったが、「働いても、働いても利益ゼロ。真っ赤っ赤」の状態が続いたそうで、この状態から抜け出す方策が「ガソリンマージンを取ること」だった、ーと書いてあります。
ガソリンを高く売ることで来店客数もボリュームも減ったが、今は黒字だそうで、「ようやく報われるところにきた」と所長さんは胸を撫で下ろしている。そして店頭では油外を売るための積極的な声掛けはしていない。
スタッフは増えたものの、今なお日中はギリギリの人数で回している。
こちらから声掛けしたのに、(人手不足で)お客を待たせてしまうわけにはいかない。というのがその理由。
これも同じ。
違うのは、当店にはスタッフの増員はない。
でも、
もっともっと大きな違いはー
このお店はセルフの2円高という価格設定が可能だった。
当店の場合はセルフの売り値が自店の仕入れ値かそれ以下という状態だったから、2円差という価格設定は不可能でした。
同じように安値店より13-15円高値で売っていても、粗利も同じとは限らない。
うちは13円高く売っても粗利は5円しかなかった。
リッター5円の粗利では採算割れになる“証拠”
そして、所長さんや主人公の女性は雇用されている身ー
つまり店がいくら大赤字でも自身の収入(給料)は得ていた。
しかし、一店舗を運営している経営者の場合、店の赤字は個人資産の流出を意味します。
(これは精神的にかなり大きな違いをもたらすのではないでしょうか)
それでも、記事にもあるように、ドライブウェイサービスやセールストークコンテストで2度の優勝経験があり、明るくポジティブな女性だからこそ、周辺より14-15円高値で売って、店を赤字から黒字にできたのでしょうね。
やはり笑顔が眩しい女性です。
*****
某サイトで、当ブログに対して「どこかあきらめの気持ちが伝わってきます」というコメントもありました。
そりゃあそうでしょう。
当店だって赤字を黒字にして、3年連続で設備投資を行ってきました。
そしてここにきて、この先は業界全体がマージン確保に移行しそうな雰囲気です。
本当ならここで「さあ、これからだ!」となるところです。本当なら。
特にこれまでどれだけ苦しくても業転に手を出さずやってきた(やってこれた)ような店は、恐らくこれからは仕切りの苦労はなくなるはずです。
だけど、地下タンクだけでなく施設や設備、全ての老朽化という問題。
働いて得た利益の殆どが維持管理や修繕費に消えていきます。
経営者もです。
70を超えて後継者がいなければ、数年先には店を畳むしかないでしょう。
黒字でも。
お客さんに恵まれていても。
お客さんに恵まれている。
これがどれほどの宝か、分かりますか?
つまらんことで文句を言う消費者など不要なのです。
文句を言って去っていった人に帰って来て貰いたいなんて思うわけがない。
だから、
今の常連さんたちを手放すことになる“廃業”が、どれほどの苦痛か。
それを(も)書いているのです。
PS
月刊ガソリンスタンドをめくっていたら、地場3者店が知らされていなかった“青写真”の事が書いてありました。
別記事にします。
追伸
これはmasumiのブログです。
こうちゃんとmasumiとは考え方も違います。
こうちゃんの頭の中は「まだまだやる気満々」みたいです。
3月8日 ぜんせき「論説」
業転格差が縮小すると、それに連動して系列における事後調整の戻し幅も縮まると考えられる。
業転格差とともに廉売の温床とされる事後調整の問題にも改善の動きが出ると推測される。
そして、最も大事なのが 卸と小売りの価格がきちんと連動した市場メカニズムを構築することである。
卸しが(元売統合によって)岩盤化するなか、小売価格は相も変わらずの廉売状態となれば、マージン不足が危機的な状態に陥るのは自明の理だからである。
※当市場の大手さんたちは賢明だということです。
マージン確保優先
3月13日燃料油脂新聞より
過剰な販売手法と決別 背景に油外クレーム増加(九州)
九州市場の大手特約店が新年度以降の油外販売方式にメスを入れる方針だ。
元売へのコールセンターや消費生活センターへのクレーム増加などを背景に、押し売り横行の現場に“浄化の波”が押し寄せようとしている。
マージン確保優先 将来のSS経営方向模索(大阪市中心部)
安売りしても量が伸びないうえ、低燃費車増加やレンタカー、カーシェア利用、車離れなどで需要減に歯止めがかからず、SS経営では採算重視の傾向が強まっている。
※経営者自らが店頭に立つ地場3者店は、とっくの昔に、「利益は油外」と「採算無視の安売り競争」の愚に気付いていましたよね。
“採販経営”も限界に 廃業決意のSS散見(大阪)
近畿市場では今月末で市場撤退、廃業することを決めているSSは少なくない。
地域密着色が強いフルサービスSSなどは増勢するセルフSSとの棲み分けと、採販徹底による収益確保でも限界がきており、廃業に踏み切るケースが出てきている。
地下タンク老朽化に苦慮 環境好転なければ撤退も(東京都)
設備の老朽化に頭を悩ませているSSは多いが「地下タンク老朽化問題」は別格で、埋設40年を間近に控えているSSの多くが存続の岐路に立たされることになる。
都内では昨年末から今年の3月にかけて、地下タンクの老朽化が原因で閉鎖したSSや、今後閉鎖予定のSSがあり、再び「地下タンク問題」が再燃する様相を呈している。
※マスコミが「2月危機」とセンセーショナルに取り上げたのは平成24年11月。
ガソリンスタンドが建てられたのは40年前の、50年前の、その年だけじゃあないから。
モータリゼーションとともに毎年毎年どんどん新設されてきたんだから。
ガソリンスタンドの経営環境が改善されなければ、「危機」は毎年続くということです。
「マージン厳しい」灯油市況上がらず 安値が足引っ張る(広島)
※安値があればどうしても価格はそちらに引きずられます。
2012年12月25日の当店は、「これ以上にも、これ以下にも出来ない。」という状態でした。
しかし現在、当店の現金会員価格とセルフの上看板の価格との差は、たったの1円。
何度でも書きます。
当店が粗利を圧縮してセルフの価格に近付けたのではありません。
(ただこれもいつまで持つか分かりません。)
PS
例えリッター当たりの粗利が5円しかなくても、販売価格が安値店より10円高ければ「暴利を貪る悪徳業者」と罵られてきました。
けれどもー
高値店より1円でも安く売っていれば、
(リッター当たりの粗利を高値店より多く得ていたとしても)
安値店は「暴利を貪る悪徳業者」との誹りを受けることはない。
そしてセルフは(高値店より多く粗利を得ていたとしても)セルフというだけで、窓ふきなどの無料サービスの提供を免れる。
ぜんせき3月6日
「論説」SS倒産件数に潜む危機
石油販売業者数は1978年度をピークに6割弱も減少し、2015年度末で1万5574社にまで減った。
実に37年連続で減少し続けており、石油販売業者の厳しい経営実態が浮き彫りとなっている。
最近は石油製品の需要減や過当競争の激化による燃料油をはじめとしたSS収益の低マージン化の影響で、自主廃業を選択したり、倒産に追い込まれる地場中小販売業者が増えている。
これ以上のSS減少は、災害時はおろか平時における石油製品の安定供給にも支障を来しかねず、エネルギー供給の“最後の砦”であるSSの社会的使命を果たせなくなりかねない。
燃料油脂新聞3月7日
2月仕切りと業転の価格差 ガソリン6円、灯油軽油8円前後(東海3県SS)
ガソリンフル132~138円 岐阜県定点調査2月
仕切り 系列でバラツキ 不透明感増し不満続出(愛知県内)
今期決算 減収減益の見通し 減販や転嫁遅れが原因(三重県内SS)
SS閉鎖増加気配 地下タンク埋設50年ピーク(愛知県内)
愛知県内では小規模販売店SSの閉鎖数の増加気配が出ている。
昭和40年前後から商売を始めた業者が多く、消防法で規制された耐用期限の50年を迎えるためだ。
県内のある小規模販売店は今年3月の廃業を決めた。
地下タンクが埋設から50年を迎えるため。
「地下タンクだけでなく、SS施設のほぼすべてを建て替える必要がある。それだけの投資を回収できるとは思えない」と廃業理由を話す。
40歳台の後継者もそれに同調する。
すでに跡地の売却を決めており「借金を残さず廃業できるのがせめてものなぐさみ」と
本意ではないものの、悲惨な廃業とはならないもようだ。
運転手不足が要因か 業転ローリー手配難航
3月8日燃料油脂新聞
平等な仕切り求める声 元売再編に期待高まる 九州地区
売却か、運営者探しかー 返却社有物件で苦慮 東北
元売や商社などが所有するSS(社有物件)の整理が一段と加速している。
これにはガソリン需要が減退し、SSが厳しい市場環境下での苦しい運営を余儀なくされている実態が背景にある。
不採算物件の統廃合のほか厳しい市場環境であえぐ運営者から返却された物件も多く、返却された社有物件への対応が供給側の新たな問題として浮上。返却された社有物件の処理が上手くいかないため、売却するか新たな運営者を探すか、難しい選択に迫られている。
※これも一つのしっぺ返し。
東京都 高齢者のセルフ利用増加 所長、スタッフへ負担
都内特約店SS所長は「土曜日、日曜日はとくに高齢ドライバーの利用率が高く、約半数の顧客に対して手を貸してあげたり、代わりに給油をしている」と話す。
いつまでも店内にいられたら他の給油客の迷惑になったり、油こぼれを防ぐなど、効率よく仕事を進めたいという思惑から給油を手伝っているという背景もあるが、所長、スタッフへの負担は増加することになる。
ベテランの所長やスタッフは事情を理解しているが、
仕事内容にギャップを感じているアルバイトスタッフは少なからずいる。
2016/04/06
「障害者差別解消法」とセルフ
2016/04/09
「障害者差別解消法」とセルフ(続き)
ぜんせき3月3日
“販社の実態”解明を 油外で赤字補填は「違反」
栃木 公取委にガソリン廉売で要望
全石連の河本副会長、加藤専務理事が同行する格好で、栃木石商の執行部は2月27日、公正取引委員会の菅久事務総局取引部長を訪問し、栃木県内で横行するガソリン廉売行為や系列内仕切り格差の問題について改善要望を行っでた。
同県内では、一昨年まではプライベートブランド(PB)の大手異業種・ジョイフル本田による廉売行為が問題視されていたが、ここにきて一部の系列SSが量販指向のため、PBSSより安い小売価格を打ち出すようになっており、市場の疲弊感が増している。
中でも一部元売販社が同系列・地元業者の仕入価格を下回るような水準で小売販売を行い、周辺SSが不当廉売で申告、公取委の“注意”が重なっているものの、その廉売が収束しないという
栃木石商吉澤副理事らは「不当廉売申告をしても注意ということは差別対価の疑いがあるのでは」と訴えたほか、同行した河本副会長も
「東日本大震災の経験から、災害時に頑張るのは地場SS。廉売でその地場SSがなくなってしまうと災害時のライフラインとして機能が果たせなくなる」と支援を改めて要請した。
これに対し菅久取引部長は「不当廉売は独禁法や関連のガイドラインにより考え方、執行方法が明らかになっており、
以下省略。
*****
真似のできない安値看板で集客され、客数(販売数量)を減少させ、苦しい経営に陥っている地場3者店にとって、差別対価とかインセンティブとか、どっちでも同じです。
油外で赤字補てんが違反か違反でないかもどっちでもいいです。
「水は低きに流れる」
近隣で10円もの安値看板を掲出されたら大多数の消費者はそちらに流れる。
実態調査でも出たようにセルフの販売数量はフルの3.4倍。
異業種PBや販社の安値に2者店が文句を言っているけど、
「自店の仕入れ値以下の安値で売る」ってそれ、
当商圏でいえば、2者店が3者店に対して行ってきたことです。
それもまだセルフがないときに。
でもその2者店も、1店は「赤字でこれ以上無理」と撤退しようとしたのを元売がCAセルフにし、別の2者店も「スタッフは女性だけで」など試行錯誤の末、今では運営者が代わっている。 (※どちらも当店の近隣店です)
だから「勝った」とか思わないけど、「負けた」とも思っていません。
でも中小特約店(2者店)が、元売CAセルフと広域大手にかわったことで、もう“将来”はないーと思いました。
***
セルフより13円高く売っていた時、昔からの大事にしてきたお客さんから
「同じ値段にしろとは言わない。10円も安くしろとも言わない。気持ちだけ(2-3円)で良いから安くしてくれたら、今まで通りここに来るから」
そう言われても、その時の粗利は5円しかなかった。
(粗利が5円しかなくても窓ふきやゴミ捨てなどのサービスを行っていました。当時は、)
そして「業転」や「仕入れ値の格差」も新聞等で公にはなっていなかった。
だから「無理」としか答えられなかった。
大事なお客さんが去って行くのを見送るしかなかったし、それは業転や仕入れ値の格差が公になったからとて変わりません。
安値を好む人は安値店を選ぶ。
それを引き留めようだなんて、思い上がりだと思います。
それに皆が皆「低きに流れる」わけではなく、高値にもかかわらず、十分なサービスを提供できなくなっても尚、店を支えてくれるお客様は存在しています。
そうした顧客のお蔭で店を続けてこられたのです。
でもそれはやっぱり少数派で、セルフ主導の“市況”が続き、再投資不可能な低マージンでの経営がもう20年近く続いている。
だから、3月8日の岡山の「55年の歴史に幕」の記事のように、
お客さまにも恵まれているのに、子供さんもおられるのに、 店を畳むしかない。
施設の老朽化や店主の高齢化など、解決できない問題もあります。
こうちゃんにしても、80歳になっても90歳になってもーというわけにはいきません。
(※申し訳ないですが私は今でも「早く店を畳んでほしい」という気持ち“も”、持っています)
政府や全石連が「災害時の最後の砦」として地場のガソリンスタンドを残そうと思うのなら、
補助金よりも何よりも価格差をなくさなければいけないと思います。
「再投資してでも店を継ぎたい」と思えるような業界にしなければ、今のままでは災害時のライフラインは寸断され続けると思います。
SS廃止の底は見えない。
ぜんせき(3/3全編・3/6後編)
小規模ほど経営厳しく
1SSあたり月間販売量10キロリットル減
※リッターマージン10円としたら、10万円の粗利が減少しているということです。
粗利レギュラー0.8円増
※販売数量10キロ減では到底追いつきませんね
1SSあたり月間油外売上高3.9万円減
※油外もダメ
粗利改善も依然赤字35%
>運営SS数が少ないほど赤字企業割合が高くなる傾向も浮き彫りになった。
※卸格差が数量インセンティブによるものなら、格差は拡大するしかありませんからね。
セルフ販売量、フルの3.4倍
※大型店舗で安値集客
収益性ではフルも健闘
***
石油製品販売業経営実態調査より抜粋
3月3日燃料油脂新聞より
“空白地帯”年々拡大 地場系列店軽視に疑問
カード客の利便性へ影響も
郡部や中山間地帯で、国道をはじめとする主要幹線道路沿いの元売系列地場SSが廃業・撤退し、空白地帯が年々拡大している。
集客が見込める市部中心の系列ネットワーク戦略や大手セルフに対する安値量販優遇策など、地場系列店を軽視するかのような施策がこれまで進められてきたことが影響しているとして、あらためて疑問の声があがっている。
「とにかく価格差が異常だ。供給側としては効率的に販売するために大型量販店を建設してきたのだろうが、その影響で地元客の多くが安値で吸い取られた」
「元売は地方の実態をどこまで把握しているのだろうか。単に非効率と見なしているとすれば、それはわれわれ販売店だけでなく、お客さまも軽視しているということ」
※「あー良かった!助かった!ガス欠になるかと思った。ナビで見て来ても潰れていることが多いから・・・」
県外ナンバーの発券店値付けカード客から言われること、当店でもよくあります。
もちろん「masumiノートで検索」を渡します。
「同系列の安値」問題視 商慣習是正強く求める
3月4日燃料油脂新聞より
JX・TG相次ぎ処理能力削減を発表 2次告示、目まぐるしい精製分野
3次告示は新段階へ 分解能力活用が課題
輸入コストと等価でなければ日本の製油所は生き残れない。
2次告示は経営統合を後押しする要因になったが新会社が目指す「国際競争力を持つアジア有数の企業グループ」として発展するための通過点にすぎない。
利益をあげるためには付加価値を高める。製油所の供給コストを下げるなどの方法があるが、これに加え、エイジアム研究所の比留間氏は
「国内の石油製品の価格政策を抜本的に見直す必要がある」と言い切る。
「高いところを下げて、安いところを上げ、業転価格を含めた日本の卸価格の内々価格差を縮小しなければ、日本の石油産業の継続的な発展は望めない。法律の力をもってでもやるべきだと思う」と力説する。
国際競争力強化の道筋は価格政策と切り離せない。
日産ノート「将来への脅威」と警告
3月6日燃料油脂新聞「社説」
深刻なガソリン購入量減少
元敏腕店長が苦言「お客さま目線どこに」
イメージ低下懸念
「かつてガソリンを売る立場、今はよく消費する立場になった。最近とても気になる体験をしている」として一例をあげた。
ある店を複数回訪れるなかで、毎回スタッフから「前タイヤがパンクしている」と指摘される。
お客さまの立場に立った販売とはほど遠く、売らんがための姿勢、行動になっている。
ユーザー目線を失った販売に、もはや「競争」など存在しない。
石油販売業界が目指すべき競争のあり方をもう一度見直す時期に来ている点を元店長は強調し、本当の意味でユーザーの安全と安心を守る環境回復にあらためて期待を寄せている。
※私も環境回復を願っています。世の中全体のために。
「やめるにやめられない」の声
ギリギリ経営続く
ガソリンマージンの圧縮と油外収益の減少に見舞われ、苦しい経営を強いられているSSが多い。
なかには「ここが潮時か」と撤退を検討し始める動きもある。
だが、業者のなかには改装や設備投資にともなって借入金を抱えているところもあるなど「やめたいけどやめられない」苦しい状況のところもある。
SSを続けることで、儲かるわけではないが「少しづつでも借金は返せる」と厳しさを理解しながらも撤退しない理由を話す。
ただSSと地下タンクの老朽化は待ってはくれず「いずれにしても数年で答えを出さなければいけない」と実情を語る。
55年の歴史に幕(岡山)
(奥さまの晴れやかなお顔が素敵でそのまま載せようかとも思ったのですが、公人ではないので配慮させて頂きました)
二人三脚これからも
「店を閉めよう」-。決断したのは昨秋。
吉井社長と英子夫人の二人三脚で歩んできたSSだが、2人でやっていくには体力的な限界を感じたことが廃業を決断するに至った最大の理由。
「決めるまではまだやれるんじゃないかと正直悩んだが、今ではすっきりした気持ち」と晴れやかだ。
最後の客を見送った夫人は、夕方早い時刻に自宅へ帰った時「普通の日のこんな時間に家にいるなんて」と少しだけ戸惑ったという。
社長と二人で店頭に立った歳月は40年近く。
慣れない生活リズムへの戸惑いこそが、夫婦で歩んできた歴史を物語っているようにみえる。
吉井社長は「本当にいいお客さまに恵まれとったなぁ」と振り返る。
「今はお客さまへの感謝の気持ちが一番。だからこそ55年も商売を続けられた」と目を細める。
また苦楽をともにしてきた家族に対して「妻や子どもたちの支えがあったからこそ、苦しい時期も乗り越えてこられた」
今後のプランは白紙の状態だが、第二の人生への期待は大きく膨らむ。
「楽しい老後を送れればいいかな」(吉井社長)
「スカイツリーを絶対見に行きたい!」(英子夫人)
新たな人生の目標に向かって、二人三脚の歩みはこれからも変わらない。
******
超、羨まし~~~~~!!!!!!!!!!!!!
「私は絶対保津川下り~~~~!!!!!!!」
「その次はUSJで絶叫マシーン!!!!!」
・・・
・・・こうちゃんは無言で配達へ行きましたとさ(^^;
3月1日ぜんせきより(※青系文字がmasumi)
石油精製・流通研究会 元売・SS共存共栄が不可欠
エネルギー高度化法3次告示の方向性提示
法律で業転格差解消との提言も
「業転格差の問題について、元売とSS業界の話し合いで解決すべき(石油連盟)というお話もあったが、それだけでは解決しない。現実に(エネ庁の販社ヒアリングで)5社中3社が営業赤字であった。元売がそうした体質にあるということについて、ある程度行政が対応して頂かないと問題解決は難しい」全石連河本副会長
北関東の仲間の悲鳴に共鳴
県平均粗利が7円を割った群馬を筆頭に、9円以下という北関東エリアの中から、その惨状を直接行政に届ける陳情行動がこの2月27日に行われた。
悲惨な状況を作ったのは、元売完全子会社である。
我々全国の地場店は、彼らの痛みを自らの痛みとして共有したい。
15円粗利の経営者はそれが半減した経営を容易に想像できるだろう。
そうした商圏に立地する仲間の苦痛を共有できるだろう。
*****
>15円粗利の経営者はそれが半減した経営を容易に想像できるだろう。
私もそう思うのですが、できない方もいらっしゃるようです。
やはり、経験した者にしか分からないのかも知れません。
当店は、
粗利5円を経験しました。
18円もの業転格差を経験しました。
13円の販売価格差を経験しました。
毎年600万円赤字経営を数年間経験しました。
顧客の流出、法人掛け客の発券店値付けカード化も経験しました。
貸し倒れも経験しました。
20年程前から、地場店が見舞われるであろう“嵐”の渦中での経営をほぼ経験しました。
そして、その渦中から抜け出しました。
だから、「書ける」。
経験したことのない者が、上から目線で批判する。
或は問題の本質から目を逸らせようとする。
懸命に供給責任を果たそうとして踏ん張っている同業者、そしてまた果たし切れずに断腸の思いで店を畳んだ同業者を貶める。
当ブログではそんなことは許しません。
コストコ射水“異常値”続く
県内平均と格差15円 公取委へ申告も(富山)
セルフとフル価格差縮小 2~4円前後に接近 激戦地で顕著
かつてはセルフでは10円近く安く販売していたSSも多かったが、「大幅に安く販売するセルフ店が少なくなっている」という。
価格差が縮小している理由について「セルフは小刻みで変わる仕切価格(業転指標?)に合わせて販売価格を決めていたが、最近では価格をあまり変えずに販売している。利益を確保するためには必然的にやや高い価格を設定せざるを得ないためにフルに近づいてきたのではないか」と分析する。
※当市でも同じです。最大13円あったセルフ等の安値店との価格差は現在数円しかありません。
(当店が粗利を削って安値店に近付けているのではありません)
PS
>悲惨な状況を作ったのは、元売完全子会社である。
当市では元売販売子会社ではなく、2者店です。
業転問題は現在の混乱(卸格差)の始まりであり、現在進行形の問題です。
安い業転玉で商売をするPB-SSに対抗するための他社買い(系列店が正規ルートではない業転玉を仕入れること)が始まり、
そして系列マークを下ろしてPBになるSSが増加しました。
即ち、業転市場の増大=系列市場の縮小です。
そもそも系列店とは“元売の精製した燃料油を売るための”店です。
元売の精製コスト以外にも品質保証料や安定供給保証料が含まれた「ブランド料」を課された価格で仕入れを行っているのが系列店です。
その元売の製品を売るための系列店(特に他社買いをせず100%正規ルートでの仕入れを続ける系列店)が、
その元売が放出する(継続的に供給を約束されていないがために安価な)業転玉によって苦境に立たされたのです。
世間ではマークを付けている店(系列店)は、そのマークの元売の庇護を受けていると思っている方が多いのですが、
規制緩和以降、大手特約店を除いては真逆の扱いを受けてきたのです。
問題は業転との格差だけではありませんでした。
より深い闇は、系列内格差の存在です。
規制緩和以前から何店舗も運営しているような大手にはリッター10円以上の安値仕切りがあったようですが、当時は販売価格には差がありませんでした。
規制緩和以降の価格競争の始まりによってPBに対抗できる系列店の存在(系列内格差)が明らかになりました。
しかし、例え高値仕切り組の小規模系列店であっても価格競争に参加する術がありました。
それが他社買いです。
元売のマークを掲げながら、ブランド料というコスト負担から逃れて安価な業転玉を仕入れることです。
また、他社買いすることによって、系列仕入れの値引きを実現させることも出来たようです。
>「実力行使で、業転を取ることです。そうすれば数量を減らしたくない特約店は次の月から安くしてくれるから」
仕入れ努力(つづき)、より
安値量販で販売数量を伸ばせば、更に値引き交渉で優位に立てる。
反対に、系列仕入れを貫いた販売店は販売数量を激減させ、値引き交渉でも不利な立場。
格差は拡大するしかありません。
2014年頃には全量を安値業転玉仕入れをしているPBであっても、1SS運営の小規模店では真似のできない安値看板を掲げる大手系列店の出現が顕著に。
PB天国の終わりの始まりです。
とはいえ、系列と業転との格差は今でも5-6円、3者店では10円近くになることもありPB優位に変わりはありません。
しかし結局、その業転が元売の首を絞めることにもなりました。
2月27日のエネ庁第6回目石油精製・流通研究会会合で、外部委員からこのような提言がありました。
「業転価格問題が30年以上にわたって続いている。日本では業転価格を含めた内々価格差が大き過ぎる。法律の力を持ってしてでも、この内々価格差を解消しなければ、日本の石油産業の継続的な発展にはつながらない」
※ガソリンスタンド業界の、「不都合な事実」の(後日転載)としていた部分を記事として、ここではmasumiのコメントを青系文字で付けます。
2月27日燃料油脂新聞より
元売販売子会社 5社中3社が営業赤字
ヒアリングは1月下旬、ガソリンの仕入価格や販売方法などに関し、公正で透明な市場の形成に向けた元売各社の取り組みが販売子会社に周知、浸透しているかを確認するために行われた。
5社は一部を除き親会社の元売との特約店契約に基づきガソリンなどを購入、SSで販売している。
SS総数は1919ヵ所で元売所有の割合は93.1% セルフSSが89.5%を占め、敷地面積が500坪を超える大型SSは37.9%にのぼる。
1SS当たりの従業員数は、運営形態が異なる1社を除く4社平均で12.1人。
卸販売を行っている3社の販売店向け仕切価格は、販売子会社が元売から通知された仕切価格に一定のマージンを加えているほか、市況やフレート代、販売量などとの関係から販売店ごとに異なると回答。
各社とも市況に応じた価格調整や値引き交渉を踏まえた価格調整があった場合は、調整結果を販売店の価格にも反映させているとしている。
※これは販社の良い所。
一般特約店の中には調整金を販売店には還元せず自分のものにしているところもある。
(何年か前にどこかの掲示板で「自社が元売社員を接待して手に入れたものだから販売店にやる必要はない」みたいな書き込みを見たこともあります)
2月27日ぜんせき
元売の販売子会社 エネ庁によるヒアリングで「質より量」の姿勢露呈
不健全な経営実態浮き彫り
各社で経営形態の違いや需給・市況などの影響を受けているものの、5社とも直近の決算において赤字または赤字すれすれの不健全な経営状況に陥っていることが分かった。
油外収益に傾注する一方、燃料油単体で充分な利益が確保できていない実態も浮き彫りになった。
15年度から16年度直近のSS数推移は、1社を除き各社とも減少させているものの、5社合計でもわずか9SSで、毎年1千ヵ所以上のSSが閉鎖・撤退に追い込まれているなかで微減にとどまっている
一方、14~16年度の直近のSS新設は56ヵ所に上った。
3月1日燃料油脂新聞「社説」
「案の定、販社ヒアリング結果」
やっぱりと言うべきか。案の定と記すべきか、元売販売子会社の経営は厳しいことが分かった。
指摘するまでもないが販社の安値量販は浸透している。
量販可能な前提は大型セルフだが、販社のセルフ比率はほぼ90%、敷地面積が500坪を超える大型SSは37.9%に達する。
元売直売の拠点として量販が義務付けられた店舗ともいえよう。
赤字の背景の一つが競合SSの安値に追随しマージン不足に陥ったためという。
もう1つの赤字理由はコスト増という。
系列SSのモデル(※)の役割を担う販社が惨たんたる業績では元売りの系列指導も説得力を持てない。
※系列SSのモデル
JX顧客目線で“SS総点検”
2016年度リテール販売方針 競争力強化へ全面展開(2016年3月25日燃料油脂新聞より )
サービスサイクルマネジメントは、入店から退店までの全場面で顧客の期待や気持ちに応えられているかどうかを点検し、自店の課題を把握して解決策に取り組む手法。
2016年度は洗車、オイル、車検、ENEOSカードの重点商品別に同手法の活用を提案。
接客サービスなどの基本活動の定着と、カーメンテナンス商品の継続購入につなげる。
人材育成のための各種研修やカード戦略などの販売支援策を用意し、SSごとの課題解決を支援する方針だ。
(2016年03月26日 顧客目線には、耐えられないデス(汗))
入店から退店までの全場面で顧客の期待や気持ちに応えるためには従業員数は12人必要ということですね。
そしてガソリンは安値廉売でマージンが取れないので、「利益は油外で」なのですね。
その結果、元売のお客様センターへの苦情が増えて
このような配布物が。
きょうから元売ヒアリング
これまでのヒアリングで多くの元売がJA全農やプライベートブランドSS、需要家などの非系列取引先を「安定的で重要」な取引先と位置付けられていることが明らかになっている。
廉価な非系列玉が市場に出回ることにより、結果として、元売りが系列防衛上(※)事後的な価格調整をせざるを得ない状況に陥っているため、非系列取引で留意している点を質す。
*****
>系列防衛上(※)
この系列というのは販売数量の多い大手特約店のことです。中小特約店は含まれていないと思います。当然小規模な3者店は蚊帳の外です。
>非系列取引先を「安定的で重要」な取引先と位置付け
廉価な非系列玉を放出しているのは元売です。
市場で、廉価な非系列玉の販売シェアが増え、「安定的で重要」な地位を確立するのは当然の成り行きです。
だから系列3者店への高値仕切りは「結果ありきの冷遇です」と書いてきました。
それにしても、
過去のヒアリングで元売は業転玉を「継続的に供給を約束するものではない」と回答しています。
「顧客のために燃料油を切らすわけにはいかない」という思いで(安定供給を信じて)(10円も高いと承知で)系列仕入れを貫いている系列店を、これほど蔑ろにする必要があるでしょうか。
3月7日追記
3月3日燃料油脂新聞「社説」より
軽すぎる 系列に属する重み
平成27年度版実態調査によれば「系列外仕入れが可能となった場合、系列外取引を行おうと思いますか」に対する回答は
ガソリン(レギュラー)で
「はい」31.4%
「いいえ」52.1%
灯油は
「はい」29.4%
「いいえ」53.8%
※灯油は5円30銭、軽油も6円30銭の系列高で、仕入れ不利は否めなかったはずだが系列仕入れを優先する回答が過半数超え。
実態調査の結果を見る限り半数以上の販売業者が系列に属することを望んでおり、しかも安定供給を担うネットワークの中心をなす事業者でもある。 (※系列玉には安定供給保証が付帯されているのだから)
元売は系列の重みをどう受け止めるのだろう。
※前記事で書いたように、この記事には私のコメントを添えていません。
2月24日ぜんせきより
16年度経営実態調査 赤字30%超、小規模ほど苦境に
厳しさ続く1SS業者
2月27日燃料油脂新聞より
元売販売子会社
5社中3社が営業赤字
(後日転載)
2月27日ぜんせき
元売の販売子会社 エネ庁によるヒアリングで「質より量」の姿勢露呈
不健全な経営実態浮き彫り
2月28日燃料油脂新聞「社説」
(実態調査での黒字6割も)最大の要因は原油安が続き仕入れ値が低下し粗利率が上向いたためで販売環境の好転ではない。
3月1日燃料油脂新聞「社説」
「案の定」販社ヒアリング結果
(後日転載)
きょうから元売ヒアリング
先ず最初にジブさんとの過去のやり取りを載せておきます。
2015年06月26日 無題
2015年07月07日 高速道路 “SS空白” 83区間
*****
>誤解ですね。業界の姿をお伝えしているだけです。
貴方の意見が業界の姿ではないでしょ!?
そういう傲慢な意見は業界の「レベルの低下」になるので止めて下さい。
こういうコメントが入るたびに私の意見を入れずに業界紙を書き写すだけにしようかと考えるのですが、それでは面白くないでしょうし、単なる転載はブログとしてのマナー違反だと考えます。
自分が共感する記事にフォーカスして自分の意見を書くーそれがブログというものでしょう。
でも試しに次の記事は私の意見を入れずに業界紙に載っている「業界の姿」を書き写すだけにしてみましょう。
私の意見が業界の低下になる?
そんなに凄い影響力があるのですか?
はっきり言ってガソリンスタンドは「儲かる商売」です!
来店客のほぼ全員が商品を購入する商売がどこにありますか?
商品に「流行もない」「好みもない」何より「痛まない」
在庫ロスがない上に回転率が早い
こんな「簡単な」商売他にはありません。
本当に「簡単」ですよね(笑)私もそう思います。
でも、
ならば何故、ピーク時の半数にまで減ったのでしょう。
それはまぁ恐らく数が多すぎたと言えるのかも知れません。
が、
「これ以上減らしてはならない」と組合で声が上がって以降も、
一昨年は1日に4店、昨年は3.5店と減少が止まらないのは何故でしょう。
発券店値付けカード問題委員会が発足され、経営相談室まで開設されたのは何故でしょう。
回収率は25%しかないですが(実態調査で)3割が赤字なのは。
販社へのヒアリングでも5社のうち3社が赤字なのは。
私はこの「masumiノート」でその事柄を伝え、自分の考えを添えたいと思い、事実そうしています。
貴方のお店から離れていったお客さんと同じように、貴方自身もこの業界から早く離れて下さい。
ジブさんにそんなことを言う権利があるのですか?
とはいえ、私自身は系列店が品確法を無視して業転仕入れを行うことが罷り通っている、そして又それを正当化しようとするような同業者が存在しているようなこの業界から「早く離れたい」としょっちゅう思っています。
けれども当店のような店でもご愛顧下さるお客様が居てくださいます。
又、当店が無くなると困るとおっしゃって下さる方もいて、その方たちのお顔が浮かんでくると主人の言うように「やれるところまでやらなきゃしょうがないな」とも思うのです。
真っ当に利益を上げ、人を雇用し納税をして地域に貢献している多くのSS業界の方の迷惑です。
迷惑?
何かジブさんのお店に実害がありましたか?
ジブさんにとって“不都合な事実”が記されているだけでしょう。
というか、
>こんな「簡単な」商売他にはありません。
こっちの方がよっぽど“業界の「レベルの低下」”になるのでは?
以前にも書きましたが、これは個人のブログです。
余計な広告が表示されないように有料会員として開設した、私のブログです。
業界紙の記事を紹介して私個人の意見を載せることを「迷惑」だと思うことはジブさんの自由ですが、止める権利はありません。
*****
サービスに徹したいと言える、マスミさんのファンさん
「簡単で」「儲かる」商売で、真っ当に利益を上げ、人を雇用し納税をして地域に貢献している、ジブさん
サービスを提供したくても出来なくなった、従業員を雇用したくても出来なくなった、私
私からすればお二人とも羨ましい存在です。
そのような方々が、メジャーでもないこのブログを気にされることが不思議です。
マスミさんのファンさんも、「サービスなど付加価値で生き残ってこそ業界を変えられる」とお考えなら、ご自身がそれを行えばいいだけのことです。
人は皆それぞれの考えがあり、それぞれの信念で事を行っているのです。
最後に
頂いたコメントを公開するかどうかもブログの管理者である私が決めることです。
コメントへのお返事をどうするかは初めてご訪問くださった方へで記しています。
もしも又コメントをされることがありましたら、これをご理解頂いたうえでどうぞ。
このようなコメントもブログ記事を更新する活力とさせて頂くことにします。
ありがとうございました。
※コメント欄に続きます。
2月27日燃料油脂新聞より
店主の高齢化
季節配送員の確保困難
ローリー買い替え見送り
投資回収のメドが立てにくいため老朽化したローリーの買い替えを見送らざるを得ないーという主に3つの要因から
*****
昨年秋、当店は新車のローリー(350万円)に買い替えました。
地下タンクの消防法改正に対応させるための工事(投資700万円)は回収不能を覚悟の上で行いましたが、
ローリーの分の投資は回収するつもりです。
投資回収後の「儲け」は、“間に合えばラッキー” くらいのつもりにしておきます。
※地下タンクの工事代には配管工事も含まれています。当時は配管は補助の対象外でした。
※投資資金は個人資産からの捻出です。