2008年3月9日(日)
#26 ジョン・プライマー「Knocking At Your Door」(Knocking At Your Door/Telarc)
45年生まれ、おん年63才のジョン・プライマー、初登場である。
マディ・ウォーターズやマジック・スリムのバックバンドにいたころは、「そういやぁそんなヤツ、いたかなぁ?」程度の、存在感の薄~いひとだったが、90年代に40代後半でソロ・デビューしてからは、次第に頭角をあらわしてきた。
で、テラーク・レーベル移籍第一弾、この「Knocking At Your Door」なるアルバムで、ついに本領発揮したといっていいだろう。プライマー、54才の作品だ。
タイトル・チューン「Knocking At Your Door」は、まさにプライマーの魅力のショーケース的一曲。
ストレートでストロングな歌声。繊細さにはちと欠けるかも知れんが、とにかく力強いのひと言。
バックをつとめるマックレイ兄弟のギター&ドラム、そしてマシュー・スコーラーのダウンホームな味わいのハープもまた強力な援軍だ。エディ・テイラー・マナーとでもいうべき、ホンマに見事なリズム・ワークなり。
同時代ブルースの中では、けっして「いま風」な音ではないが、筆者はこういうのを聴くとホッとする。白人ブルースマンに多い、みょうにロック色の濃い演奏より、絶対こっちのほうが好きだな。
なにより、歌に「キャリア」が感じられるんよ。このひとの歌は、もともとはうまくないけど、長年のキャリアの中から、なにかをつかみ取ってきた。それが50代なかばで、ようやく開花したのだろう。
そう、歳月を経ることによって「熟成」するブルースもあるのだ。
大器晩成型ブルースマン、ジョン・プライマーが50代にしてたどり着いたブルースの境地。ぜひ味わってほしい。深いぜ。