記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

七夕の夜に、古代から現代に到る「情報」について考える。

2009年07月08日 00時53分49秒 | 博多湾
 七夕である。博多の町は旧暦でやる処も多い、というか今は祇園山笠一色
だから七夕そっちのけ(笑)。とにかく日中の蒸し暑さにはまいった。いつ
ものように自転車で博多部から天神を抜けて走り廻ったが、折からの睡眠不
足で体力の消耗が夕方にピークになって、自宅へ戻るなり倒れ込むように眠
った。

 夜、地下鉄で姪の浜へ向かう。西区まるごと博物館推進会の企画広報会議
が今日であった。夕刻、部会長の川岡さんに「今日は中止なら良いな」と思
いながら電話をしたが、そんなことはない訳で7月、8月、そして9月に小
戸ヨットハーバーで開催するイベントが目白押しの状態で、しかも私は9月
のイベントの中心行事「手漕ぎボート競争」の責任者になっているものだか
ら、出席せねばならない。重い身体を引きずって(大げさ!)出掛けた。

 メンバーは皆、タフである。私が一番年下、60代の方が多いがとにかく皆
さんバイタリティの固まりなのだ。普段、他人から見れば同じようにウザイ
くらいバイタリティ溢れるように見られる私だが、ここでは普通の存在(笑)。
博多部の活動とこの会の活動でアップアップの私と違い、皆さん複数の団体
の活動、地域の活動、区の市民活動・役職もこなしている。

 毎年恒例7月21日「親子博多湾クルーズ」は今年も応募が殺到、西区民だ
けの特典で無料だから当然だろうが、夕涼みコンサートや自然教室など、西
区ならではのイベントが、メンバーや地域の方々の努力で根付いているのは
嬉しいものである。

 会合が終わり、川岡氏らと軽く飲みに行く。川岡氏も推進会企画広報部会
の代表だけでなく、唐津街道姪浜まちづくり協議会の代表など複数の役職を
務めておられる。先日もRKB「今日感テレビ」の姪の浜特集に登場している。

 その川岡さん、小戸大神宮や小戸公園一帯が日本の国づくり発祥地である
との説を唱える、在野の郷土史家でもある。神功皇后伝説をはじめ、博多湾
沿岸に遺る古代の伝説や伝承、地理的歴史的背景を考えた時、私も川岡さん
と同じく博多湾それも小戸一帯が「筑紫の日向の小戸のあわぎはら…」と続
く日本神話の発祥地だろうと思っている。ブログでも再三書いているが、状
況証拠が揃いすぎているのである。

 少し前までは、この説を唱える人は識者にはほとんど見られなかったが、
最近は事情が違ってきているようで、大学の先生や名の知れた史学家でも同
様の説を唱える方が日増しに増えているそうだ。日本書記や古事記など、我
々が歴史の教科書で習うのはいわば「勝者の歴史」である。戦争に勝ったも
のが敗者の歴史を抹殺し、都合の良い解釈を加えて後年になって記されたも
のだという認識は、現代人には少ないだろう。

 しかも、最初は文字がないのだから「言い伝え」である。漢字表記をとっ
ても、元々の音である言葉に漢字を後から充てたものが多い事も、誤認を増
やす理由である。さらに現代と古代の地形の違いも忘れがちである。

 これを強く意識し始めたのは、つい数年前の事実でさえ、曖昧な記憶や誤
認で間違って伝えられることが多いためだ。情報化社会と言われ、様々な記
憶メディアが溢れる現代でさえそうなのだ。言葉ひとつとっても同じ、例え
ば「情報は常に変化する、新しい情報を手に入れねばビジネスに乗り遅れる」
と言われれば「そうだな」と思う。

 しかし、情報は「変化しない」ものだ。時間の経過で情報が古くなること
があっても、その一瞬に提示された情報は勝手に変化したりしない。情報を
受け取る側が「変化」しているために「情報が変化した」と思ってしまうの
である。この件は養老孟司さんの本に詳しい。

「情報は変化しない」この一文を見つけた時、多くの謎・疑問が解けた思い
がした。「私は変わらない」はあり得ない。日々加齢するし、体調だって違
う。知識だって人脈だって少しずつ増えていく。人間は成長し続け「変わり
続ける」生き物なのだと思うだけで、人の話を聴く際の姿勢はどうあるべき
かのヒントが見えた。

 同じ話を聴いても、私と他人とでは受け取り方が違うことは日常茶飯事で
ある。理解度もそう、判ったつもりでも人間というものは自分の経験則でし
か理解できない。それに近い経験がなければ、本当の意味で理解できるはず
がないのだ。

 これは時にはマイナスに働くこともある。すなわち「思い込み」である。
自分の経験則で判断するので、事実を事実として認めないことも多い。「そ
んなはずはない、私は正しい」と思うのである。長くそのことに関わった人
ほど、この「思い込み地獄」に陥りやすい。しかも、人間は器用な生き物で、
思い込みがいつしか「本当」のように記憶できるのだから大したものである。

 たまには思想っぽく、理屈っぽく語るのも悪くない。というか他人から見
れば「いつも理屈っぽかろうが!」と言われそう(笑)。

今日の写真は、福岡市東区馬出の崇福寺境内にあるお百度石。
大正初期に選定された、幻の「福博八十八カ所霊場」捜索の過程で立ち寄る。
境内の墓地には黒田家の墓、玄洋社・頭山満の墓などもある。
膨大な数の地蔵様が安置され、その数は年々増加中。その中にめざす霊場の
碑をみつけた。

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