記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

吉田初三郎「菊池戦績図(熊本・菊池市)」絹本原画を確認

2007年03月21日 21時10分39秒 | 吉田初三郎
 昨日、ブログを書き込んだあとに改めて初三郎の「佐敷日記」
を読み返した。日記の初日は昭和22年3月20日。つまり丁度
60年前の同じ日であった。偶然というか、たまたまこの日は初
三郎の原画探索の続きを書こうと気楽に思いついたのであるが、
これは初三郎の念が訴えかけた必然ではなかろうか、と単純な私
は考え、21日の朝起きて鯛生金山と菊池神社へ行くことにした。

 なぜ菊池か、それは初三郎60年前の21日の日記には、熊本
県菊池市の菊池神社の記述があったのだ。前年の昭和21年3月、
初三郎は民族学の城義臣氏の仲立ちにより、菊池神社へ「菊池史
蹟図」絹本原画を献納している。城氏の新刊「民族の歌凡平歌集」
の広告を熊本日日新聞に見つけ話題として記したのだ。

 さらにこの日の日記には、午後に日本観光の井上靖先生が佐敷
の画室へ来られて、「日本温泉名所大観画集」の打合せをしたと
書いてある。また、21日は初三郎の母・ハルの命日でもあり彼
岸の中日である旨も書かれていた。つまり初三郎にとって、とて
も大切な日という訳である。

 初三郎研究をしている者として「これは今日は初三郎図の捜索
に行かねばならない」と思った訳である。そして行き先は、献納
されたと書かれている熊本・菊池市の菊池神社と、そこから30
分ほどの鯛生金山地底博物館とした。ここには初三郎「星野金山」
「高嶺金山」の絹本原画があることが判っている。ついでに確認
したいと思った訳である。

 朝8時に娘とともに自家用車でドライブに出発。久留米、八女
から黒木町を経て、鯛生金山まで博多から2時間ちょっと。博物
館の館内を見学したあと、娘のお楽しみ!砂金採り体験をした。
ここは2002年サッカー・ワールドカップの際にカメルーンの
選手がキャンプを張った旧中津江村である。館内にはカメルーン
の記念グッズや坂本元村長の写真が飾られてあった(笑)。

 そして最初の目的、福岡県星野村にあった「星野金山」と鹿児
島県にあった「高嶺金山」2つの原画の確認を依頼。アポなしで
あったが丁寧に対応いただき、所在は確認した。以前は中津江村
所有であったが今は日田市と合併し、正式には日田市文化財課の
許可なければ実物の閲覧等も不可とのこと。画像や状態はメール
で教えてくれるとのことで、中津江村を後にした(帰宅すると、
早速画像が届き、立派な原画だと判った)。

 中津江村をあとにし、菊池へ向かう。車内のBGMは、娘の大
好きな?三谷幸喜の傑作舞台「バッド・ニュース&グッド・タイ
ミング」DVDである。テーマ曲「カルメン」に乗って、生瀬勝
久・沢口靖子・伊東四郎・角野卓造・八嶋智人、久野綾希子らが
絶妙のテンポで喜劇を繰り広げる。あっという間に菊池へ着いた。

 菊池神社へ参拝し、本殿左にある資料館へ向かう。300円の
入場料を払い中へ入ると、正面に初三郎「菊池史蹟図」原画はあ
った。横2m30cm余りの図は保存状態も良く、しかも戦後の
原画であるが大病を煩う前であり素晴らしい出来である。

 早速、社務所へ行き詳細を尋ねたが、いきさつは殆ど判らない
とのこと。企画展開催の際の貸出等は正式な依頼であれば可能と
のことでひと安心した。同じ時期に描かれた「阿蘇大観図」と比
較しても見劣りはしない。翌年の天覧作「山口全県景勝図」原画
よりは数段良い出来である。

 帰りは時間があれば山鹿温泉で捜索をとも考えたが、それは次
回の楽しみに取っておこうと決めた。というのは菊池川の光景を
観てしまい、4月になったらすぐにカヤック(カヌー)での川下
りに来たいと思ってしまったからである。カヤックは18年来の
趣味であり、年に数回であるが娘や妻も伴って菊池川や遠賀川な
どで遊ぶ。今日は菜の花も満開で風もなく、絶好のカヌー日より
だったのだ。

 カヌーはこの菊池川で、学生時代の友人に誘われて始めた。菊
水丸太村という所で、故石原氏らの指導で始めたのが最初だった。
菊水はカヌーイスト・野田知佑氏の故郷で石原氏は野田氏の親友
である。丸太村は椎名誠氏らが行き来し、九州のカヌー好きのメ
ッカであったが、十数年前に石原氏は亡くなり、私を誘った友人
も十年前に他界した。その当時のことを思い出しながら、博多へ
の帰路についた。

※写真は菊池神社所蔵「菊池戦績図」絹本原画
 縦670×横2370mm
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 吉田初三郎の軌跡を求めて~... | トップ | 天覧作「景勝山口全県図」の... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
訪問コメント&リンクありがとうございます。 (松屋旅館の従業員ちょいワル子)
2007-03-22 13:39:15
松屋ブログへは、初めてのご訪問ですね?
また、コメントだけでなく、ご丁寧にリンクを張ってくださって、ありがとうございます。
お礼に、こちらもリンクを・・・と思いましたが、トラックバックにしました。
よろしくお願いします。
返信する

吉田初三郎」カテゴリの最新記事