先日放送されたNHK「所さん!大変ですよ」〜着物にタイル 大正ロマンがなぜかブームを〜 はたいへん面白い特集でした。観ていると何気に鳥瞰図絵師・吉田初三郎の作品も解説に使われていて、ついついにんまり^_^。
マジョリカタイルを世界中へ輸出していた佐治タイル、輸出先のアフリカ・ザンジバルを示す数少ない資料なんですね。この回の放送は、初三郎が密かにライバル視していた同い年の竹久夢二をはじめ高畠華宵ら、絵葉書作家から人気画家となった大正ロマン・昭和モダンの断片が紹介され、とても面白い回でした。
実は、画業が友禅染めの画工から出発した吉田初三郎、彼が描く着物美人の着物柄にも当時の流行が見られます。着物を描くことにもかなりこだわりがあったことは作品に現れています。
吉田初三郎は、アート作品というわけではなく依頼主(企業や行政など)の依頼で鳥瞰図を描く商業画家、今でいうアートディレクター&プロデューサーでした。そのため企業の依頼で描いた作品がたくさんあります。販売網を描いた作品にはタキイの種などもあり、同社に絹本肉筆画もあります。広畑製鉄所や室蘭製鉄所、名古屋地方の繊維工場の作品もたくさんありますし、国会議員の依頼で国会議事堂を描いたり、全国に広がる済生会病院の依頼で描いた作品もあり興味は尽きません。
「大正広重」と呼ばれ、鳥瞰図の大家とされた吉田初三郎ですが、仕事で描く鳥瞰図とは異なり、普段描く絵は美人画や花鳥画、謡曲をテーマにした作品などでした。それらは色紙や肉筆画としてもゆかりの地随所に遺っています。
印刷配布された鳥瞰図の表紙絵に美人画などが多いのはそのためです。上の作品は博多商工会議所(現・福岡商工会議所)からの依頼で1935(昭和10)年に製作された絵葉書セットの一枚。博多祇園山笠の飾り山笠を背景に「博多小女郎波枕」をモチーフに博多情緒を描きました。この年、翌年の「博多築港大博覧会」PRのために、博多祇園山笠の舁き山笠が歴史上初めて那珂川を越えて福岡入りしています。
機会があれば、初三郎の鳥瞰図作品本だけでなく、美人画などの作品の紹介本も書いてみたいですね。
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