以下は、先の配信に対して、長年活動をされてきたKさんからの返事です。
*****にある伏せ字は、オープンには許可をいただく内容です。又、特にメールの趣旨にはまったく関係ないためです。世的にどこでも読もうと思えば見ることの内容はオープンにしています。
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前略 ごめんください。拙いメ-ル年賀への返信ありがとうございました。併せて、退院報告=元気に退院されてよかった!安心しました。また、****共産党や共産主義についての疑問など率直なご意見をいただきました。昨年来、あなたに「入党」のお勧めなど無理難題を提起したことで一抹の不安を感じていましたが、この長文に込められたあなたの気持ちを知り、お互いの信頼を深めることができたと喜んでいます。ありがとうございました。
それだけに、あなたの疑問については慎重にお答えする必要がると考え、改めて「しんぶん赤旗日曜版」の志位委員長と青年たちとの対談を読み直し、また第29回党大会決議案や日本共産党101年の歴史、科学的社会主義の基礎理論(勤労者通信大学)などに目を通して再学習をしました。お陰様で、日本共産党の綱領方針(人間の社会は、資本主義社会を乗り越えて次の新しい社会に進む必然性と、その「未来社会=社会主義・共産主義の社会」に到達するには、まず、当面する国民の苦難軽減を図る民主主義革命・多数者革命を実現することと、日本共産党の役割)に確信を持つことがだきました。感謝します。
****この後、数行、新聞のことが書かれています。日本共産党は政党助成金などではなく、活動に賛同する人々の新聞購入代など募金によりなりたっている。*****
次に、日本共産党の議員活動を支援する募金については、あくまでも支持者の主体的判断に基づいていただいています。たとえば私が担当している日曜版の読者は、新聞代930円+募金70円の人、また930円+募金200円の人、年に2回1000円ずつ募金の人など様々ですが、いずれにしても募金は党員(私は年に4~5万円)を含めて国民一人ひとりの浄財からいただくのが原則です。他の党は政党助成金(国民一人当たり250円、憲法違反であり共産党は拒否)315億円を山分けしている他、自民党などは禁止されている筈の企業団体献金(パ-テ-券など裏金を含む)を貰って「政治不信」の根源になっています。これを止めさせるためにも日本共産党への募金支援の輪を大きくしたいと思っています。
(1)あなたの疑問の件ですが、次のように私なりに整理してみました。
①まず人間の自由の問題です。日本共産党が言う「『人間の自由』が花開く社会」について一面では 理解できると言いつつ、「人という生き物」を突き詰めて考えると自己矛盾が生じてくるのでは?
②その上で、北朝鮮や中国の共産党が国民に対し「政府に従え」(つまり自由を束縛する)ということにならないか? 共産党を避ける人はこの点を気にしています。
③次に、資本主義の次に来る「未来社会」について日本共産党は「社会主義・共産主義」と表現していることに関連して、社会主義まではよいが共産主義はみんな嫌っていると指摘されました。
④さらにマルクスとエンゲルスの時代と現代とでは、時代も変わり、国も変わり、思想や制度も変わってきているのに、彼らの言うことをそのまま受け入れるのは問題でないか?
⑤つまりマルクスらの思想を土台にして共産主義の政治を行う北朝鮮や中国などと日本共産党は同じことになるのでは?という疑問が出てきます。
⑥あなたは人間の思想イデオロギ-が先にあって行動する訳ではない。つまりいつの時代も人の欲望にそって行動してきた?のであって、その結論は「人とは 何なのだ」に行きつきます。
⑦ その国に、その時代に、生きているそして普遍的に命ある人を変革することの難しさは志位委員長も理解していると思うが、体制に安穏として満足している 大衆に「宗教はアヘンである」と語ったマルクスのことばは理解できます?
以上、あなたの言い分からみて見当外れもあると思いますが、これに一つ一つ答える前に、私が学んだ科学的社会主義の基礎理論について紹介します。この中に回答の一部が含まれていますので…。
(2)科学的社会主義とは、人間解放のための理論であり、運動です。―—解放の対象は、資本主義社会の現実のなかで自由を奪われ苦難を余儀なくされている働く人々、つまり人間そのものです。→「人間とは何か」一つの生命体(知性的であることで他の生物と区別される)→「労働が人間をつくった」とも言われる。科学的社会主義では→人間について自然的存在、社会的存在、歴史的存在、共同労働→言語→意識と意思(心の問題)として、精神的存在が前3者に関わって重要な位置を占めます。
◆この理論は、人間、社会、自然の現実をありのままにとらえ、その運動と発展の姿をとらえる「ものの見方・考え方」をもっています。それが「哲学」です。
◆そして資本主義社会を調査・分析し、その矛盾を明らかにし、変革の方向を解明する「経済学」をもっています。 ――生産力と生産関係の矛盾――生産と消費の矛盾――資本主義の基本的矛盾――
◆さらに、歴史の発展法則をとらえ、労働者階級を中心とした民衆のたたかいこそが未来社会をきりひらく「階級闘争の理論」を主張します。 ――階級闘争(経済闘争・政治闘争・思想闘争)――
(3)マルクスとエンゲルスについて
二人は資本主義を徹底的に調査・分析し、資本主義の現実と闘い、人々の解放を願い、問題の本質を深く考え、解決の方向を明らかにする態度を一貫してとっています。
・そこには真理を究明する「科学の目」と、困難な現実を打開する「変革の精神」が満ち溢れていました。
・この科学的社会主義の基礎理論を学ぶうえで大切なことは、 二人の個々の言説を絶対化するのではなく、この「科学の目」と「変革の精神」を吸収することです。
(4)共産党はいつの時代でも資本家階級・権力者の目の敵であった。 1848年マルクスの著書『共産党宣言』の開巻第1㌻に、「ひとつの妖怪がヨ-ロッパをさまよっている―—共産主義の妖怪が」という有名な言葉で書き始めていますが、この時代でも反共攻撃があった証拠の一つとして紹介しました。
◆志位委員長が、資本主義社会は「利潤第一主義」が第一の特徴で、長時間労働、使い捨て労働、貧困と格差の拡大、もうけのためなら地球環境などお構いなし「あとは野となれ山となれ」と告発。つまり、もうけは「労働者から搾取」し、権力を持つ資本家階級・政府は国民を抑圧し、権力の横暴に抗する労働者階級・共産党は、いつも資本家の目の敵であり、「共産党は怖い」と大衆が支持しないよう仕向ける(反共攻撃)のが常套手段で、共産党はこれとたたかう運命にあります(現に100年間たたかってきた)。
◆日本における「反共攻撃」の特徴は、「共産党は何でも反対」「共産党には自由がない」「共産党は財産を取り上げる」「共産党は暴力革命」などの古典的なものから、最近は「旧ソ連、中国、北朝鮮と同じ(共産主義は恐ろしい)」「役員選挙が民主的でない」「委員長の任期が長すぎる」「反対意見を抹殺する」「自衛隊を解散して国を護れるか」「市民と野党の共闘の要を潰せ」「共産党は言うことは良いが力がない」などのほか、芳野友子連合会長の「共産党と共闘する政党は支持しない」や馬場伸幸日本維新の会代表の「共産党は日本にいらない」など、国民の反共意識に直かに訴える卑劣なものまで出てきました。
(5)日本共産党の反論 反共攻撃にひるまず堂々と反論しているのが「日本共産党第29回党大会決議案」であると私は受け止めています。特に、「社会主義社会に自由がない」は国民が騙されて誤解しているのであって、社会主義・共産主義社会はそれとは正反対に、「人間の自由」が花開く社会にすることが目的であり最大の特質であるとして三つの角度から説明しています。①「利潤第一主義」からの自由、②「人間の自由が全面的に発展」する、③発達した資本主義での社会変革は「人間の自由」でも計り知れない豊かな可能性があることを強調しています(この3点の共通項は「たたかいとる」ことにある)。
◆この3番目で大事なことは、社会主義への転換は、唯一、発達した資本主義から転換するもので、しかも資本主義の中で作られた①高度な生産力、②経済を社会的に規制・管理する仕組み、③国民の生活と権利を守るル-ル、④自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的な経験、⑤人間の豊かな個性などがそのまま引き継がれます。たとえば、ジェンダ-平等などいま私たちが要求したたかって「いいもの」にすることが即新しい社会につながる訳で、遠い将来の夢物語ではないということです。
(6)旧ソ連や中国のような「自由がない社会」にしないための二つの保障 ①日本共産党の綱領に、「社会主義・共産主義の日本では、民主主義と自由をはじめ資本主義時代の価値ある成果のすべてが受けつがれ、いっそう発展させられる」と明記し、個人の思想・信条の自由、反対政党の存在と活動の自由、一党制は取らない、特定の世界観を国民に押し付けないと約束しています。
②日本の発達した資本主義国を土台にして社会変革を進める事業は、1917年ロシア革命、1949年中国革命、いずれも資本主義の発達が遅れていた中での革命であり、自由、民主主義、人権、議会がないなどの制約、また国民の文化水準たとえば、ロシア国民の7割は字が読めない、中国は8割以上でした。そのうえ国の指導者が遅れ克服の努力を怠り、逆に弾圧など間違った政策を取ったことが現在の一党制になっているのです。これに比べて日本は、現在の憲法の下で、自由、民主主義、人権の制度、議会制民主主義など国民のたたかいが育んできたもので、「自由のない社会」への逆行は起こりえないということです。
(7)その他の回答について
①「人という生き物」の自己矛盾について—―どんな人間でも自然と社会と繋がって生きています。今は資本主義社会(階級社会)ですのでその影響を受けるのは当然で、政府が国民の声を聞かずに強権政治を押しつけてきたとき、それを甘んじて又は我慢するのか、強権政治を止めさせるために戦うのかで道(心)は分かれます。死後の世界はともかく、現世で命や自由や平和を守るために一緒に行動することは可能ですし、現にやってきました。自己矛盾とは、真心を込めて祈っても人間らしく生きられない現実に迫られたときに生じるのでないでしょうか。マルクスがたった一度だけ言った「宗教はアヘンである」という言葉は、自己矛盾と関係あるように思います。私はあまり気にしていませんでしたが。
②「社会主義・共産主義」の表現については、日本共産党は「同意語」として使っており、厳密に区別する必要はないようです。あなたが言うように社会主義までは良いが「共産主義はダメ」というのは、反共攻撃で、理屈抜きで「共産党はダメ」と思い込んでいるからだと思いますが、どうでしょうか。しかし、共産との立場からすれば、これを無視する訳にいきませんから、資本主義の次に来る社会主義・共産主義の社会を「人間の自由」を保障する社会で、それを三つの角度から丁寧に説明していこうというのが今回の大会決議案のテ-マであると言っている訳です。
③マルクスとエンゲルスが生きた時代と現代とは200年も経って、何もかも違っているのはご指摘の通りです。ですから(3)で述べているように、彼らの言ったことをそのまま使う(絶対化)のでなく、その言わんとすることを吸収することなのです。日本共産党は不破哲三さんが『資本論』はじめ古典と言われる著書の全てを研究し、その成果を日本の社会に当てはめて新しい論建てをしているのです。「日本共産党綱領」改正もその一つです。
⑧人間らしい生き方についてです。 科学的社会主義の立場は、世界の事物はすべて運動し、変化し、発展するものとみており、日本共産党の党組織も例外ではありません。しかし、あなたも言うように共産党に対する偏見は、教育やメディアの影響もあって日々増幅していることは無視できません。
さらに人間そのものも変化します。特に、人間らしい生き方をもとめて意識的に行動することで前向きの変化をつくりだすことは可能です。「どうせ世の中は変わらない」「自分も変わらない」と考えている人の意識と意思に対し、たたかって変えた事例を知らせ、いっしょに行動し、話し合うことで人間の意識を変えることができ、意識が変われば「よしやろう!」と意思が動き出します。
いま日本共産党は、多くの支持者に「入党」を呼びかけています。それは「人間らしい生き方」=たたかう生き方をごいっしょにやろうということです。いろいろ立場の違いはありますが、観覧席で応援することも大事ですが、グランドに降りて党員として行動する意思をお持ちの方は、いまこそ絶好のチャンスであることを訴えます。よろしくご検討ください。お願いします。
以上、大変長くなりました。不足な分はまたお話し合いしましょう。ではおやすみなさい。
2024年1月11日 23時38分 K
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