ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

川茂ダム

2016-02-29 12:00:00 | 山梨県
2016年2月27日 川茂ダム
 
川茂ダムは山梨県都留市の桂川に架かる東京電力の発電用重力式コンクリートダムで、1924年(大正13年)に桂川電力によって建設され東京電燈、日本発送電を経て1951年の電力分割民営化で東京電力が事業を引き継ぎました。
隣接する川茂発電所で最大2500キロワットのダム式発電を行うほか、川茂発電所の放流水は約6700メートルの導水路で駒橋発電所に送られ最大2万2000キロワットの発電を行っています。
堤高が15メートルに満たないため、河川法では堰堤とされダム便覧にも掲載されていません。
 
大月から国道139号線を南下して禾生駅の先で富士急の線路を渡り桂川の左岸に出ると川茂ダムが見えてきます。
本堤のすぐ下流に副ダムがありますが、これは1907年(明治40年)に建設された駒橋発電所の取水堰堤です。
 
同じ場所からズームアップ
副堤にもゲートがありますが、これがもともと駒橋発電所の取水堰だった名残です。
駒橋発電所は1907年(明治40年)の竣工、川茂ダムは1924年(大正13年)の竣工ですので、もともとあった駒橋発電所取水堰の直上に川茂ダムが建設されたことになります。
 
堤体は全面越流式。
 
右岸のゲート
下段にあるのは排砂ゲート。
ダムの側面は石貼りになっており、越流面も当初は石貼りだったと推察されます。
 
右岸には川茂発電所があります。
こちらの壁面もすべて石貼りです。
 
越流面
対岸に川茂発電所の取水口があります。
手前には付近の田畑用の灌漑用水の取水口です。
 
川茂ダム
左岸 山梨県都留市川茂
右岸       古川渡
相模川水系桂川
13.33メートル
61.57メートル
東京電力リニューアブルパワー(株)
1924年

大野ダム

2016-02-29 08:00:00 | 山梨県
2016年2月27日 大野ダム
 
大野ダムは山梨県上野原市にある東京電力の発電用アースダムで、1914年(大正3年)に東京電燈によって建設され日本発送電を経て戦後は東京電力が継承しています。
大月市の駒橋発電所から八ツ沢発電所に至る導水路の調整池になっており日本で最古の発電用アースダムとされています。
八ツ沢発電所施設は国の重要文化財に指定されており、大野ダムも堰堤、余水路、制水門が重要文化財となっています。
大野ダムの堰堤は規模としては日本最大の重要文化財です。
 
上野原から国道20号を西進、四方津で大野貯水池の標識に従って右折すると大野ダムに到着します。
下流から
目の前の堤体も重要文化財です。
 
上流面は上部が漆喰、下部はアスファルトで補強されています。
 
大野貯水池。
 
下流面。
 
右岸高台から
春になると桜の花で彩られるようです。
 
ダム湖右岸側にある余水路つまり洪水吐。
これも重要文化財ですがフェンスに阻まれそばで見ることができません。
 
取水口の制水門
これも重要文化財ですがやはりフェンスが邪魔をする。
 
八ツ沢導水路11号隧道出口
ダム湖のインレットにありこの隧道も重要文化財です。
 
重要文化財に指定されているにもかかわらず、大野ダムの認知度はいまいちです。。
これはアースダムという地味さに加えて、制水門や余水路がフェンスに囲まれて間近で見れないことも影響してるんだと思います。
現役も稼働している施設の文化財という難しさですね?
 
追記
大野ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに56万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0955 大野ダム(0240)
山梨県上野原市大野
相模川水系谷田川
37.3メートル
309.1メートル
1692㎥/467㎥
東京電力(株)
1914年
◎治水協定が締結されたダム