ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

上来沢川ダム

2016-03-01 09:00:00 | 山梨県
2016年2月27日 上来沢川ダム
 
上来沢川ダムは山梨県韮崎市旭町上條北割の富士川水系小武川左支流上来沢川にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の表面石張重力式粗石コンクリートダムです。
富士川上流部の釜無川流域では大正末期から昭和初期にかけて電源開発が進められ(事業者不明)、これらの発電施設は日本発送電を経て戦後の電力分割民営化により東京電力が事業を継承しました。
上来沢川ダムもそんな発電施設の一つで小武川第三発電所の調整池として1927年(昭和2年)に建設されました。小武川で取水された水が一旦ここに貯留されたのち小武川第三発電所に送られ最大2200キロワットのダム水路式発電を行っています。
上来沢川ダムは戦前の貴重な土木建築物ということで近代土木遺産に選定されています。
 
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により小武川第三発電所及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
また上来沢川ダムは洪水調節目的のない利水ダムですが、近年頻発する豪雨災害に備えて2020年(令和2年)より豪雨の際に事前放流のを行う治水協定が締結され、基準降雨量350ミリの雨が予想される場合には事前放流により新たに最大5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
北杜市武川町宮脇の国道20号線宮脇交差点から小武川林道に入り小武川沿いを遡上します。
上来沢にダムに向かう林道が分岐しておりここから徒歩で約15分ほど歩くとダムに到着します。
林道の大半は舗装済みですが、舗装状態は悪い上に落石が多いため運転には気を使いました。
 
下流から
全面石積みです。
 
堤体直下から
手前の穴は排砂路
中に入ってみたい!!
 
右岸側
赤さびた上に石灰成分が染み出しておりダムの歴史を醸し出します。
 
 
減勢工??そのまま上来沢川となります。
 
ゲートは全面越流式です。
直近の改修で越流部が削り取られコンクリート張りになりました。
改修前はすべて石貼りだったようで、ちと惜しい気がします。
削り取られた部分がよくわかります。
 
 
奥が小武川上流の取水口からの吐口。
手前側に小武川第三発電所への取水口があります。
 
追記
上来沢川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0960 上来沢川ダム(0244)
山梨県韮崎市旭町上條北割
富士川水系小武川
19メートル
49.6メートル
9㎥/3㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1927年
◎治水協定の締結されたダム