ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

宇曽川ダム

2016-03-24 20:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 宇曽川ダム
 
宇曽川ダムは滋賀県東近江市の淀川水系宇曽川にある滋賀県営の治水目的ロックフィルダムで、宇曽川の洪水調節と既得取水権の補給・河川流量の維持を目的に1979年(昭和54年)に竣工しました。
ダム周辺は県立湖東自然公園に指定され、ダム湖上流は景勝地の宇曽川渓谷になっています。またダム付近には湖東三山と呼ばれる名刹もあります。
 
八日市インターから国道307号を北上すると金剛輪寺の手前で宇曽川ダムを示す標識が現れます。これに従い東進すると宇曽川ダムに到着します。
当初は車でダムの上まで上がる予定でしたが、ダムの手前に『ダム下公園』と書かれた分岐がありそちらに向かってみました。
減勢工の手前から洪水吐導流部に沿って階段があるので下から歩いて登ります。
 
堤高56メートルを登り切ると・・・
洪水吐導流部から減勢工を見下ろします。
 
洪水吐。
 
洪水吐と取水棟、管理事務所 
背の高い角ばった洪水吐の越流壁が特徴。
 
洪水吐導流部の脇にモノレールみたいなものがあります。
これは??
 
堤体の下にダム下公園があります。
天端は絶好の展望台で、晴れていれば琵琶湖を挟んで湖西の山まで見えるそうですが・・・
 
天端は車両が通れるっぽい。
 
淡海展望台
淡海とは湖、つまり琵琶湖のことです。
ダム周辺には湖東三山など名刹がありそれをモチーフにした和風のデザイン。
 
上流面。
 
下流面。
ともに黒っぽい石が使われています。
 
追記
宇曽川ダムには235万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに25万立米の洪水調節容量が確保されることになりました
 
1362 宇曽川ダム(0259)
左岸 滋賀県東近江市平柳町
右岸    愛知郡愛荘町松尾寺
淀川水系宇曽川
FN
56メートル
192.8メートル
2900千㎥/2600千㎥
滋賀県土木交通部
1979年
◎治水協定が締結されたダム
 

蔵王ダム

2016-03-24 16:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 蔵王ダム
 
蔵王ダムは滋賀県蒲生郡日野町にある灌漑用ロックフィルダムで、農水省の日野川地区農業水利事業により1990年(平成2年)に建設されました。
近江盆地は日本有数の穀倉地帯ですが、天井川が多く安定した灌漑用水の確保が課題となっていました。
そのため各河川で灌漑専用ダムの建設が進みましたが蔵王ダムもそんなダムの一つです。
運用開始後は日野川流域土地改良区が受託管理を行っています。
 
日野から国道477号を進むと蔵王ダムが見えてきます。
灌漑専用ダムとしては比較的規模の大きなダムで、黒と白の石が混じるリップラップが特徴です。
向かって左に利水放流設備があります。
 
洪水吐をズームアップ
越流しています。
 
左岸の洪水吐。
 
減勢工を見下ろす
晴れていれば琵琶湖まで見えるんですが・・・。
 
上流面も色違いのロックフィル。
 
堤体直下は芝生が張られていますが立入禁止。
 
天端は車両通行止め。
 
右岸の取水設備。
 
余談ですが蔵王ダムのすぐ下には金峰神社があります。
これはもちろん吉野の金峰山寺を勧請したものでしょう、金峰山寺の本尊は蔵王権現です。
さらに下流には熊野神社がありこの地域が吉野の山岳信仰とかかわりが深いことを示唆しています。
ちなみに日野川流域は鎌倉時代の公家日野氏の荘園があった場所です。
日野氏といえば後醍醐天皇の建武の中興の立役者で当初は南朝方でした。
南朝といえば吉野、ダムには全く関係ないけどこういう推理も楽しいものです。
 
 
追記
蔵王ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに7万4000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1366 蔵王ダム(0257)
滋賀県蒲生郡日野町蔵王
淀川水系日野川
56メートル
370メートル
4790千㎥/4600千㎥
日野川流域土地改良区
1990年
◎治水協定が締結されたダム

日野川脇ダム

2016-03-24 14:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 日野川脇ダム
 
日野川脇ダムは滋賀県蒲生郡日野町の日野川ダムのダム湖右岸の低地部に建設されたアース式の副堤です。
堤頂長は本堤の4倍近い388メートルもあり一見するとどっちが本堤かわからないほどです。
 
脇ダム下流面
天端は車道になっています。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
奥に日野川ダム本堤とゲートが見えます。
 
副堤の下は果樹畑。
奥に止まっている車は釣り客のものです。
 
堤体は屈曲しています。
 
3601 日野川脇ダム(0256)
滋賀県蒲生郡日野町村井
淀川水系日野川   
FN
19メートル
388メートル
1388千㎥/1038千㎥
滋賀県土木交通部
1965年

日野川ダム

2016-03-24 12:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 日野川ダム
 
日野川ダムは滋賀県蒲生郡日野町の日野川にある滋賀県土木交通部が管理する治水目的のロックフィルダムで、日野川中流域の洪水調節と既得取水権への補給を目的として1965年(昭和40年)に建設されました。
滋賀県営のダムとしては最小級のダムで洪水調節機能も大きくありません。
日野川ダムはダムを建設する河川の砂礫をロック材に利用したグラベルフィルという珍しい工法のダムです。
また本堤の3倍の長さのアース式の脇ダムがあるのも特徴です。
 
近江商人発祥の地とされる日野町中心部から国道477号を東に向かうと日野ダムへの標識が現れます。
左岸の洪水吐
洪水吐と堤体が離れており、ここだけ見ると重力式コンクリートダムのようです。
 
ゲートをズームアップ。
 
アングルを変えて。
 
洪水吐と堤体
管理事務所のある地山を挟んで離れた場所にあります。
 
天端は車道になっています。
日野川の砂礫を使った丸い石が積まれています。
 
下流面
草が生えているのでアースのようです。
 
脇ダムからゲートを遠望
 
グラベルフィルという珍しいダム、堤体と離れた洪水吐、本堤よりも大きな副堤といろいろ複雑な日野川ダムだが、それゆえ見学して歩いていても楽しいダムです。
ダムカードが貰えなかったのでまたカードをもらいに来るとしよう。
 
追記
青土ダムには92万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに30万2000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1358 日野川ダム(0255)
滋賀県蒲生郡日野町大字村井
淀川水系日野川
FN
25メートル
105メートル
1388千㎥/1038千㎥
滋賀県土木交通部
1965年

野洲川ダム(再)

2016-03-24 10:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 野洲川ダム(再)
 
野洲川ダムは滋賀県甲賀郡土山町の野洲川上流にある灌漑用重力式コンクリートダムで野洲川土地改良区が受託管理を行っています。
近江盆地は全国有数の穀倉地帯ですが、中小河川の多くは天井川で安定した水源の確保が悲願となっていました。
そこで滋賀県は1939年(昭和14年)から野洲川上流部での農業用貯水ダムの建設に着手しますが戦争激化によって事業は中断します。
戦後農林省による『野洲川農業水利事業』がスタートし1951年(昭和26年)に野洲川ダムはようやく完成しました。
2001年(平成13年)から大幅な再開発が行われ2009年(平成21年)にリニューアルしています。
 
青土ダムから県道9号を北上、国道477号線に合流すると野洲川ダムに到着します。
クレストから流下する水紋が美しい。
 
左岸から
6筋の水紋はまるで6尾の魚が遡上しているようです。
 
導流壁に沿ったカスケードを下る水もまた美しい。
 
導流壁上部に庇のような波返しがついています。
 
残念ながら天端は立入禁止。
 
農水省直轄ダムです。
 
上流から
奥に半円形の取水設備があります。
 
堤体直下にはベンチがありますが、手前に防獣ネットが張られてっきり立ち入り禁止かと思っていました。
帰宅後調べたらネットのドアを開けて中に入れたようです。
きれいな水紋が見れただけに残念。
 
追記
野洲川ダム(再)は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1353 野洲川ダム(元)
滋賀県甲賀市土山町大河原
DamMaps
淀川水系野洲川
52.7メートル
142メートル
8500千㎥/7280千㎥
1951年
-------------
3195 野洲川ダム(再)(0254)
滋賀県甲賀市土山町大河原
淀川水系野洲川
54.4メートル
142メートル
8500千㎥/7280千㎥
野洲川土地改良区
2009年再開発事業竣工
◎治水協定が締結されたダム

青土ダム

2016-03-24 08:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 青土ダム
 
青土で『おおづち』と読みます。
青土ダムは滋賀県甲賀市土山町の淀川水系野洲川にある滋賀県営の多目的ロックフィルダムです。
野洲川は琵琶湖に流入する川としては最長で、水源の鈴鹿山脈は花崗岩質で豪雨のたびに洪水被害をもたらし『近江太郎』の別名を持っていました。
野洲川上流には戦後間もなく野洲川ダムが建設されますが灌漑目的で洪水調節機能はなく、洪水調節機能を持つダムが求められました。
一方新幹線や名神高速道路の開通により、湖南地方では工場進出や人口増による水需要の高まりが予想され新たな水源の確保が課題となりました。
そこで1987年(昭和62年)に滋賀県最初の多目的ダムとして建設されたのが青土ダムです。
青土ダムは野洲川中・上流部の洪水被害の軽減、既得取水権の補給と河川流量の維持、甲賀市への上水道の供給、湖南工業地帯への工業用水の供給を目的とするほか河川維持放流を利用して最大250キロワットの管理用電力の発電を行っています。
 
このダムの特徴はなんといってもその特異な形状の洪水吐です。
常用洪水吐は自然越流式が2門とラジアルゲート1門で構成されており、2つの自然越流式洪水吐に水が吸い込まれてゆく様はまるで巨大なアリ地獄の様相です。
 
土山から県道9号を北上すると青土ダムに到着します。
左岸の洪水吐は下から見てもちょっと複雑な形状です。
 
ズームアップ
自然越流式2門の間に縦長のラジアルゲートがあります。
 
右岸から
堤高はさほどありませんが美しいリップラップです。
堤体直下は公園になっています。
 
天端は県道9号線。
 
右岸の取水設備
奥は青土エコーバレーの管理棟です。
 
洪水吐と減勢工
 
これが噂の洪水吐
まるで二つ並んだ巨大なアリ地獄!
 
 
右岸の山は採石場になっておりダンプがひっきりなしに行き交っています。
 
今回の滋賀県のダム巡りの最大の目的と言っても過言ではない青土ダムの洪水吐。
写真では何度も見ていましたが実物を見るとびっくり仰天。
期待通り越流していてよかったよかった!!
 
追記
青土ダムには410万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに250万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1364 青土ダム(0253)
滋賀県甲賀市土山町青土
淀川水系野洲川
FNWI
43.5メートル
360メートル
7300千㎥/6600千㎥
滋賀県土木交通部
1987年
◎治水協定が締結されたダム

大原ダム(再)

2016-03-24 06:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 大原ダム(再)
 
大原ダムは滋賀県甲賀市甲賀町にある灌漑用アースダムで、滋賀県の事業で1962年(昭和37年)に建設され大原貯水池土地改良区が管理を行っています。
2007年(平成19年)から2011年(平成23年)にかけてに耐震補強のための再開発が行われました。
 
国道1号から県道129号に入り新名神をくぐると左手に大原ダムが見えてきます。
右岸には竣工記念碑や座標軸などが設置されていますが天端は立ち入りできません。
 
左岸の取水設備。
 
ダム湖畔には神社が祀られています。
名前は『大原ダム神社』。
 
左岸に回り込みます。
驚くべきは堤体上流面に並ぶ太陽光パネル。
上流面に太陽光パネルはたぶんここだけじゃないでしょうか?
 
左岸の洪水吐
越流しています。
 
洪水吐導流部
杉林の中の長い導流部です。
 
堤体下流面と分水工
ガンダムのホワイトベース!!
 
 
1356 大原ダム(元)
滋賀県甲賀市甲賀町神
淀川水系大原川     
27.4メートル
191.7メートル
2120千㎥/2120千㎥
大原貯水池土地改良区
1962年
---------
3625 大原ダム(再)(0252)
滋賀県甲賀市甲賀町神
淀川水系大原川     
27.4メートル
209.2メートル
2120千㎥/1830千㎥
大原貯水池土地改良区 
2011年再開発竣工