ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

松部ダム

2017-02-07 17:57:20 | 千葉県
2017年2月4日 松部ダム
 
松部ダムは千葉県勝浦市松部の夷隅川水系夷隅川左支流にある上水目的のアースフィルダムです。
勝浦市水道事業の第3次拡張事業により1976年(昭和51年)に竣工しました。
しかし当ダムから送水していた松部浄水場は施設の老朽化と南房総広域水道企業団からの受水開始に伴い現在休止となっています。
2025年(令和7年)には 夷隅地域2市2町の水道事業統合が予定されており、松部浄水場及び松部ダムはこのまま運用停止となる公算が大きくなっています。

松部ダムは勝浦市中心部から北西に約4キロ地点、勝浦東急ゴルフコース北側にあります。
ダム北側から遠望
堤高21.2メートル、堤頂長85メートルのアース堤体。 
温暖な房総らしくダム周辺はスダジイなどの常緑広葉樹林に囲まれています。
 
ダムの下流面
右岸(向かって左手)に洪水吐があります。
 
上水道水源のため規制が厳しく堤体への道はゲートが設置され立ち入りできません。
 
2990 松部ダム(0831)
千葉県勝浦市松部
夷隅川水系夷隅川
21.2メートル
85メートル
175千㎥/112千㎥
勝浦市水道課
1976年

御宿ダム

2017-02-07 17:31:50 | 千葉県
2017年2月4日 御宿ダム
 
御宿ダムは千葉県夷隅郡御宿町実谷の夷隅川水系上落合川にある上水目的のアースフィルダムです。
御宿町水道事業の第1次拡張事業により1977年(昭和52年)に竣工しました。
ここで取水した水は御宿町浄水場を経由して町内に送水されます。
英水道道用水も悔い敵のにあるアースダムで、町営水道の水源として1977年(昭和52年)に御宿町によって建設されました。
ここで貯水された水は導水管で下流の御宿浄水場に送られます。
2025年(令和7年)4月に 夷隅地域2市2町の水道事業統合が予定されており、当ダムや浄水場の運営は新たに設立される水道企業団が引き継ぐ予定です。
 
県道273号線から町道を西に進むと御宿ダムに到着しますが、ダムの手前にゲートがあり立入できません。
 
ゲート越しに下流面を遠望。
堤高23.5メートル、堤頂長151メートル
総貯水容量61万立米で御宿町水道事業の中核を担う重要な貯水池です。
 
洪水吐からの導水路に架かる橋。
 
0675 御宿ダム
千葉県夷隅郡御宿町実谷
夷隅川水系上落合川
23.5メートル
151メートル
610千㎥/579千㎥
御宿町
1977年

名熊ダム

2017-02-07 17:00:00 | 千葉県
2017年2月4日 名熊ダム
 
名熊ダムは千葉県いすみ市下布施の夷隅川水系名熊川にあるに灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1979年(昭和54年)に千葉県の事業で竣工と記されており管理はいすみ市布施土地改良区が受託しています。
ダム便覧の堤高18.8メートルに対し、ため池データベースでは堤高13メートルとなっており、これを採ればダムの要件未達となります。

ダムの入り口には厳重なゲートがあり関係者以外立入禁止となっており、詳細は不明です。
 
機会があれば管理する土地改良区に見学許可を要請したいと思います。

0673 名熊ダム
ため池コード 122380152
千葉県いすみ市下布施
夷隅川水系名熊川
18.5メートル(ため池データベース13メートル
119メートル(ため池データベース125メートル)
245千㎥(ため池データベース201千㎥)/201千㎥
いすみ市布施土地改良区
1979年

荒木根ダム

2017-02-07 14:35:00 | 千葉県
2016年2月21日 荒木根ダム
2017年2月 4日 
 
荒木根ダムは左岸が千葉県夷隅郡大多喜町石神、右岸がいすみ市大野の夷隅川水系大野川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
夷隅川は千葉県最大の流域面積を持つ二級河川で、古くから流域の貴重な灌漑用水源となってきましたが、夷隅川流域では地表近くに水溶性天然ガス層があり渇水期に河床や水田からガス成分や塩分を多量に含んだ『かん水』が湧出し、農業に多大な悪影響を与えていました。
そこで千葉県は1970年(昭和45年)に農林省(現農水省)の補助を受けた鉱毒対策事業『夷隅地区』に着手、その中核施設として1978年(昭和53年)に竣工したのが荒木根ダムです。
運用開始後は夷隅町が管理を受託、その後の合併で現在はいすみ市が管理業務を引き継いでいます。
荒木根ダムには通常の灌漑用水容量とは異なり鉱毒希釈用水容量が配分され、灌漑期に流域のガス成分や塩分濃度が上昇した際に希釈用水を放流し灌漑用水の中和を図っています。
農水省の補助を受けた鉱毒対策事業によって建設されたダムとしては千葉県の平沢ダム、宮城県の田ダム、山形県の生居川ダムがあります。
 
荒木根ダムには2016年(平成28年)2月に初訪、2017年(平成29年)2月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。

荒木根ダムには県道82号を南下すると荒木根ダムの標識があり、これに従って右折すると荒木根ダムが見えてきます。
堤高33.5メートル、堤頂長302メートルとアースフィルとしてはかなり大きな堤体です。
(2016年2月21日)
 
ダム下流から。
景観的に一本杉がなかなかいいアクセントになっています。(2017年2月4日)
 
天端は車両通行可。(2017年2月4日)
 
上流面はコンクリートで護岸。
(2016年2月21日)
 
右岸に管理事務所と取水設備があります。
(2016年2月21日)
 
総貯水容量205万2000立米と農業用アースフィルダムとしてはかなり大きな貯水池。
(2016年2月21日)
 
ダム周辺は房総らしい凝灰岩の特異な地形。
(2016年2月21日)
 
ダム下には防風目的の杉が並びます。
(2017年2月4日)
 
下流面。
(2017年2月4日)
 
左岸の横越流式洪水吐。
(2016年2月21日)
 
(2017年2月4日)
 
荒木根ダムはあくまでもかん水対策の農業用ダムですが、下流の大野川は旧夷隅町の上水道水源となっており、当ダムの運用開始により同水道事業も水質改善および取水の安定化という恩恵を受けています。
 
(追記)
荒木根ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。 
 
0671 荒木根ダム(0239)
左岸 千葉県夷隅郡大多喜町石神
右岸    いすみ市大野
夷隅川水系大野川
33.5メートル
302メートル
2052千㎥/1947千㎥
いすみ市
1978年
◎治水協定が締結されたダム

雨竜湖

2017-02-07 13:06:42 | 千葉県
2017年2月4日 雨竜湖
 
雨竜湖は千葉県長生郡一宮町東浪見(とらみ)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1951年(昭和26年)に一宮町東部土地改良期の事業により竣工と記されており、前身となる耕地整理組合の事業で建設されたと推察されます。
九十九里浜最南端に位置する一宮町は海岸沿いに平坦地が広がりますがもとは砂丘で透水性が高いうえに水利に乏しく、営農は貧弱な畑作にとどまっていました。
昭和に入り西側山間部に多数の溜池を築造し砂丘地帯の農地開発がすすめられますが、雨竜湖もこうした溜池の一つと考えられます。
管理は周辺の溜池ともども一宮町東部土地改良区がを行っています。
 
雨竜湖は県道274号線に隣接しており堤体右岸下に駐車スペースがあります。
県道が下流面を横切り、右岸に天端に登る階段があります。
 
県道沿いにある機械室。
 
ダムの下流の眺め
県道はヘアピンを描いて下って行き国道128号線にぶつかります。
 
右岸洪水吐と斜樋。
 
洪水吐
溢れた水は奥のトンネル式導流路を流下します。
 
斜樋。
 
ダム湖と上流面
てっきり奥の建物が管理事務所と思い玄関まで行くと普通の民家でした。
 
天端からは海が見えます。
 
天端
刈り払いされていません。
軍茶利ダムもそうですが、一宮町東部土地改良区は冬場の草刈はしないようです。
 
0657 雨竜湖
ため池コード 124210013
千葉県長生郡一宮町東浪見
河川名不明
15メートル
110メートル
264千㎥/204千㎥
長生郡一宮町東部土地改良区
1951年

軍茶利大堰(軍荼利ダム)

2017-02-07 11:48:02 | 千葉県
2017年2月4日 軍茶利大堰(軍荼利ダム)
 
軍荼利大堰は千葉県長生郡一宮町東浪見(とらみ)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には2006年(平成18年)に一宮町東部土地改良期の事業により竣工と記されていますが、これは改修事業の竣工年度で池の竣工は1935年(昭和10年)まで遡ります。
九十九里浜最南端に位置する一宮町は海岸沿いに平坦地が広がりますがもとは砂丘で透水性が高いうえに水利に乏しく、営農は貧弱な畑作にとどまっていました。
昭和に入り西側山間部に多数の溜池を築造し砂丘地帯の農地開発がすすめられますが、軍荼利大堰もこうした溜池の一つです。
大堰の管理は周辺の溜池ともども長生郡一宮町東部土地改良区がを行っています。
なおダム便覧では軍茶利ダムとなっていますが、ため池データベースや一宮町のため池ハザードマップでは軍荼利大堰となっているため、当ブログでも大堰と記します。
 
国道128号線を北上し東波見駅の先の関東ふれあいの道の小さな標識のある狭い道を左折、線路を渡り東波見寺の参道を分けて杉林を進むと左手に軍茶利大堰が現れます。
 
天端
轍の痕跡があります。
 
ダム湖
貯水容量は30万6000立米。
ダム湖はゴルフ場に隣接していますが、杉林に囲まれているのでそんな気配はなくひっそりとした雰囲気です。
 
右岸洪水吐
洪水吐のコンクリートは白く、最近改修されたようです。
 
 
洪水吐導流部。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
左岸は軍茶利山でスダジイを中心にした常緑広葉樹の原生林が広がり千葉県の天然記念物に指定されています。
 
洪水吐の奥の斜樋。
 
0651 軍茶利大堰(軍荼利ダム)(0826)
ため池コード 124210009
千葉県長生郡一宮町東波見
一宮川水系北川尻川
15.1メートル
106.2メートル
306千㎥/275千㎥
長生郡一宮町東部土地改良区
竣工1935年
改修2006年