ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

宮川内ダム

2017-12-05 17:48:39 | 徳島県
2017年11月25日 宮川内ダム 
 
宮川内ダムは徳島県阿波市土成町宮川内の吉野川水系宮川内谷川上流部にある徳島県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、宮川内谷川の洪水調節、既得取水権としての御所地区および大井出地区の農地への灌漑用水への補給と安定した河川流量の保持、御所地区の新規農地への灌漑用水の供給を目的として1964年(昭和39年)に竣工しました。
2003年(平成15年)の改修で堤体を掘削して選択取水設備と低部放流設備が増設され、ダムの運用能力が大きく向上しました。
 
 
宮川内ダムは国道318号線沿いにあり、ダム湖右岸にある『道の駅 どなり』が目印となります。
国道318号線から
ダム下へ通じる管理道路は立ち入り禁止のため下流からはこれが精一杯です。
クレストにローラーゲートが1門
2003年の改修で堤体の掘削が行われた部分だけコンクリートが白くなっています。
 
右岸から下流面。
やはり掘削された白いコンクリートが目立ちます。
選択取水設備と低部放流設備が新設されたせいか、天端にはプレハブ風の建屋があれやこれやと乗っかっています。
 
天端は開放されていますが、職員さんにスズメバチの巣があるので注意とくぎを刺されました。
 
減勢工と放流設備
河川維持放流が行われています。
 
ゲートは超流型2段ローラーゲートという非常用洪水吐と常用洪水吐を兼ねた変わった構造です。
 
ダム湖は総貯水容量135万立米
非需要期ということで水位はずいぶん低くなっています。
ダム湖奥に見える建物は御所温泉で、その先に道の駅があります。
 
左岸から下流面。
 
放流設備をズームアップ。
利水放流を行っている放流管の左手に、2003年に新設された低部放流設備の放流管が見えます。
 
上流面
奥が管理事務所、手前に艇庫とインクライン。
 
上流から
ローラーゲートと選択取水設備
ゲートが2段構成になっているのが分かります。
 
宮川内ダムは四国ダム堰堤88箇所巡り1番札所で判子は天端のフェンスに架かっていました。
 
追記
宮川内ダムには95万立米の洪水調節容量が確保されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに23万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2128 宮川内ダム(1197
徳島県阿波市土成町宮川内
吉野川水系宮川内谷川
FNA
36メートル
130メートル
1350千㎥/1220千㎥
徳島県県土整備部
1964年
◎治水協定が締結されたダム

御所池(相坂ダム)

2017-12-05 14:29:50 | 徳島県
2017年11月25日 御所池(相坂ダム)
 
御所池は徳島県阿波市土成町宮川内の吉野川水系宮川内谷川右支流内谷川にある灌漑目的の表面石張粗石コンクリートおよび粗石モルタル工重力式ダムです。
吉野川北岸地域は阿讃山脈から吉野川に注ぐ各支流が扇状台地を形成し平野部では軒並み伏流するため、古来より農業用水の確保は困難を極めていました。
宮川内谷川流域の旧土成町も同様で、昭和以降灌漑用貯水池建設機運が高まり御所耕地整理組合が結成されました。そして国や県への陳情により国庫の補助を獲得し4年の歳月をかけ1939年(昭和14年)に御所池が竣工しました。
現在は御所耕地整理組合を引き継いだ御所土地改良区が管理を行っています。
ダム所在地の地名から相坂ダムもしくは相坂堰堤とも呼ばれ、四国ダム堰堤88箇所巡りのサイトでも相坂ダムとなっていますが、ここではダム便覧に従って御所池の名称を使用します。
御所池は四国では数少ない石積堰堤となっており、Bランクの近代土木遺産に選定されています。
 
国道318号線の道の駅『どなり』の一つ北側の分岐を西に折れ、さらに二つ目の分岐を左に取ると御所池左岸に到着します。
左岸に建つ立派な竣工記念碑。
 
天端にはゲート巻き上げ機が並びます。
 
副ダムと減勢工
 
貯水池は総貯水容量24万5000立米。
 
上流面
ゲートは左岸から自由越流式4門、ラジアルゲート2門、自由越流式1門という並び。
ゲート中央に取水設備があり、ラジアルゲートの上には巻き上げ機があります。
また自由越流式洪水吐は扶壁に溝が刻まれ、角落しになっています。
 
ダム下へも下りることができます。
堤体には長方形の切石が布積みされています。
 
5番6番ゲートは越流面がやや低く、ラジアルゲートが装備されています
古いゲートのようですが、まさか1939年(昭和14年)製?
 
ダム下から
ちょっと逆光になってしまいました
堤体下部の穴は排砂ゲート。
 
減勢工には副ダムがあります。
 
ラジアルゲートをズームアップ
天端の巻き上げ機でワイヤーを巻きながら動かします。
 
神戸~淡路島~徳島と石積堰堤がラインのように分布しています。
良い花崗岩が取れるといった地質的な背景なのか?それとも何か技術的・文化的な背景があるのか?
気になるところです。
 
2119 御所池(相坂ダム)(1196)
徳島県阿波市土成町宮川内
吉野川水系内谷川
15.9メートル
90メートル
245千㎥/200千㎥
御所土地改良区
1935年

川股池

2017-12-05 12:55:37 | 香川県
2017年11月25日 川股池
 
川股池は香川県東端、東かがわ市川股の馬宿川水系馬宿川源流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
竣工記念碑によればもともと馬宿川流域には1937年(昭和14年)に完成した『初代』川俣池がありました。しかし完成後も漏水が激しい上に災害による被害もあり長く空池となっていました。
戦後、食糧増産機運が高まる中で、香川県のかんがい排水事業により旧堰堤の上流2キロ地点に1962年(昭和38年)に建設されたのが川俣池です。
その後1966年(昭和41年)には旧川俣池も改修により小路池として復活、現在は川俣池、小路池ともに相生土地改良区が管理を行い、併せて112.5ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
県道34号から県道102号へ左に折れるとすぐに小路池が現れます。さらに県道とは名ばかりの隘路を2キロ進むと川股池に到着します。
名前は池ですが立派なコンクリートダムです。
 
天端は車両通行可能ですが、対岸から先の林道は通行止めです。
 
上流面
半円形の取水設備。
 
立派な竣工記念碑ですがひびが入っています。
 
導流面と減勢工
左手に取水設備からの底樋があります。
 
クレストは自由越流式洪水吐が2門。
扶壁に戸当たりがあり、ゲートを嵌めこむようになっています。
試験湛水の際に使用されたと思われます。
 
ダム湖は総貯水容量27万2000立米
山の向こうはもう徳島県。
 
右岸から。
 
上流面。
 
右岸には香川県のダム溜池でよく見られる不動明王像が鎮座します。
 
 
2174 川股池(1195)
香川県東かがわ市川股
馬宿川水系馬宿川
26メートル
103メートル
272千㎥/272千㎥
相生土地改良区
1962年

小路池

2017-12-05 02:25:33 | 香川県
2017年11月25日 小路池
 
小路池は香川県東かがわ市川股の馬宿川水系馬宿川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
水利に乏しい馬宿川下流の旧相生村では明治以降たびたび新池築造が図られ、1938年(昭和13年)に念願かなって完成したのが川俣池です。
しかし完成後直後から激しい漏水が続いたうえに、災害により堤体が被災したため長く空池状態となっていました。
1962年(昭和37年)に川俣池の上流約2キロ地点に新『川俣池』が完成、その4年後の1966年(昭和41年)に旧『川俣池』も改修工事が竣工し、新たに『小路池』と命名され復活しました。
川俣池、小路池ともに相生土地改良区が管理を行い、併せて112.5ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
県道34号から県道102号に入るとすぐに小路池が現れます。
県道が堤体を斜行しています。
 
逆アングルから
車道の下も堤体が続いており堤高は15.2メートルとなります。
 
天端は草ボウボウ。
 
総貯水容量は23万立米
この上流2キロに川股池があります。
 
右岸の斜樋。
 
左岸から上流面
草が覆っていますが上流面はコンクリートで護岸されています。
右岸には香川県らしい三角錐のおむすび山が・・・・
 
左岸の横越流式洪水吐
越流面は緩やかに湾曲しています。
 
洪水吐導流部に架かる県道の橋。
 
上の写真の橋から見た洪水吐。
 
 
当初の名前を新ダムに奪われるなど数奇な運命の小路池ですが、今は新川俣池ともども下流域の貴重な水源となっています。
 
2181 小路池(1194)
ため池コード
香川県東かがわ市川股
馬宿川水系馬宿川
15.2メートル
260メートル
230千㎥/219千㎥
相生土地改良区
1937年竣工
1966年改修工事竣工

千足ダム

2017-12-05 00:22:22 | 香川県
2017年11月25日 千足ダム 
 
千足ダムは香川県東かがわ市川股の馬宿川左支流千足川上流部にある香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、千足川および馬宿川の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水への補給と安定した河川流量の保持、旧引田町への上水道用水の供給を目的として1987年(昭和62年)に竣工しました。
 
県道34号線に千足ダムを示す標識があり、これに従って右に折れると千足ダムが見えてきます。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートが4門、常用洪水吐として高さの異なる自然調節式オリフィスゲートが2門あります。
 
右岸から下流面。
 
ダム湖は総貯水容量185万立米。
 
天端は車両通行可能
管理事務所は左岸の岬の先端部にあります。
 
減勢工とエンドシル。
 
右岸下流側にプラント跡が残り一部が展望台デッキになっています。
 
天端はゲート部分がクランクになっています。
 
左岸にある竣工記念碑
香川県営ダムではおなじみの立派な石碑
 
上流面。
 
こちらも香川のダムや溜池でよく見られる不動明王。
 
初めての香川県営ダム訪問となりました。
ダムカードは管理事務所玄関に置かれ『ご自由にどうぞ』というスタイル。
四国ダム堰堤88箇所巡りの判子も管理事務所入り口にありました。
 
2186 千足ダム(1193
香川県東かがわ市川股
馬宿川水系千足川
FNW
41.4メートル
197メートル
1850千㎥/1690千㎥
香川県土木部
1987年