ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

滝波ダム

2022-08-27 20:00:00 | 福井県
2022年7月27日 滝波ダム

滝波ダムは福井県福井市滝波町の九頭竜川水系滝波川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
滝波川が注ぐ志津川は九頭竜川水系日野川の2次支流ですが、洪水時は日野川からのバックウォーターによる氾濫が絶えず抜本的な治水対策が求められていました。
滝波ダムは1978年(昭和53年)に農水省の補助を受けた県営防災ダム事業滝波地区によって着工され、1986年(昭和61年)に竣工しました。
完成当初は当時の清水町が、現在は市町村合併により福井市が管理を受託し志津川流域の約90ヘクタールの農地防災を担っています。
ダム湖上流一帯は福井市営のアウトドア施設であるSSTランドが開設され、キャンプ場やバンガロー、バーベキュー設備、パターゴルフ場などを備えた市民の憩いの場となっています。

滝波ダムは県道6号福井四ケ浦線沿いにありアプローチは簡単です。
県道から下流面
センターコアロックフィルダムということですが、下流面には草木が茂りフィルダムの面影はありません。
何とか洪水吐斜水路の位置は確認できるものの、あとは何が何やら…


左岸ダムサイトのダムの概要説明板
本当にこういう説明板はありがたい。


こちらは竣工記念碑裏側の由来文。
概要説明板ともどもダムを理解する重要な手がかりです。


左岸の洪水吐導流部。


横越流式洪水吐。


天端は車両通行可能。
天端からダムの下流面を撮影しようと思いましたが、草深く断念。


右岸から見た上流面
こちらにも木が伸び始め、早晩森になりそう。


総貯水容量57万7000立米の貯水池。
堆砂容量15万1000立米分が貯留されています。


右岸湖畔にある常用洪水吐となる放流ゲートで、平時は流入量をそのまま放流します。
奥は管理事務所ですが、職員の常駐はありません。


ダム湖上流側は親水護岸が設置され多くの釣り客が釣り糸を垂れています。


SSTランドの看板
かなり傷んでいます。


ダム湖に架かる吊橋。


SSTランドはアウトドア施設としてはなかなかのクオリティー
でもダムの下流面は放置されジャングル状態。
木が根を張り巡らせれば提体の性能にも影響が出ると思うんですが…。

(追記)
滝波ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0949 滝波ダム(1870)  
福井県福井市滝波町 
九頭竜川水系滝波川 
 
 
30.3メートル 
136.3メートル 
577千㎥/426千㎥ 
福井市 
1986年
◎治水協定が締結されたダム

小倉見ダム

2022-08-27 15:00:00 | 福井県
2022年7月27日 小倉見ダム

小倉見ダムは福井県丹生郡越前町佐々生の九頭竜川水系和田川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1900年(明治33年)竣工とあるだけで事業者等の記載はありません。
管理は受益者で組織される佐々生農家組合が行っています。
またダム便覧では堤高が15.3メートルとなっている一方、福井県ため池データベースでは12.2メートルとなっています。
ため池データベース作成に合わせて測量を行っているようなので、これが正しいならダムの要件未達となります。
貯水容量も6万立米と小さく、名前にこそ「ダム」がついていますが、事実上は溜池です。

県道189号線沿いの有限会社小林商事という産廃業者の敷地の北側に池への入り口があり、100メートルほど歩くと池に到着します。
ダム便覧には堤頂長の記載はなくため池データベースでは12メートルとなっていますが、さすがに堤頂長12メートルは誤記でしょう。
見た目は50メートルと言ったところ。


天端から
直下に上記産廃業者の敷地があります。


上流面中央の取水栓。


貯水容量6万立米の小さな貯水池。


下流面
盛夏にもかかわらず草がきれいに刈られ、整備は行き届いています。
現在も受益農家にとっては重要な水源であることが伺えます。


上流面
コンクリートで護岸。


右岸の越流式洪水吐。


越流部には穴が三つ
木栓を差し込んで水位や越流量を調整するようです。


洪水吐導流部。

できればダム下も見学して底樋なども確認したかったのですが、産廃業者の私有地に立ち入ることになるので自重しました。

3430 小倉見ダム(1869)
福井県丹生郡越前町佐々生
九頭竜川水系和田川
15.3メートル(ため池データベース 12.2メートル
--メートル(ため池データベース 12メートル)
60千㎥/60千㎥
佐々生農家組合
1900年

開谷ダム

2022-08-27 12:00:00 | 福井県
2022年7月27日 開谷ダム

開谷ダムは福井県丹生郡越前町八田の九頭竜川水系開谷川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
開谷川は流路延長4.2キロの小河川ですが、急こう配に加え水源の『蛇ヶ池』という地名からも窺えるように暴れ川で洪水被害が多発していました。
開谷ダムは1972年(昭和47年)に農林省の補助を受けた県営防災ダム事業八田地区によって着工され、1977年(昭和52年)に竣工しました。
現在は越前町が管理を受託し開谷川流域の約110ヘクタールの農地防災を担っています。

センターコア型式のロックフィルダムということですが、下流面には木々が茂り『森』状態
ダム下はおろか、下流面をまともに撮影することもできません。


天端は車両通行可能。


右岸ダムサイトの事業説明板。


左岸の管理事務所と放流ゲート
これが常用洪水吐となり最大3立米/秒まで、流入量はそのまま放流するのですが?


天端高欄には竹の意匠
ダムの受益地となる旧宮崎村は竹細工が盛んな地域で、それを受けての装飾でしょう。


総貯水容量10万7000立米のダム湖
ダムの目的は『F』のみで堆砂容量は7000立米以外は農地防災容量のはずなんですが、実際の貯水量はほぼ満水。
農地防災ダムとして建設されたものの、実際には灌漑用貯水池として運用されているのかも?


奥にはコンクリート構造物が、
たぶん水位計。


洪水吐導流部
木が茂り何の写真かよくわかりません。


左岸の横越流式洪水吐。


アングルを変えて。


左岸の竣工記念碑と祠。

天端からダム下に通じる道はありますが、ダム下も木が密生しており堤体の写真撮影は叶いませんでした。
防災専用ダムにもかかわらず、満水のダム湖が謎です。

0946 開谷ダム(1868)  
福井県丹生郡越前町八田 
九頭竜川水系開谷川 
 
 
24.5メートル 
50メートル 
107千㎥/100千㎥ 
越前町 
1977年

総ヶ谷ダム

2022-08-27 08:00:00 | 福井県
2022年7月27日 総ヶ谷ダム
 
総ヶ谷ダムは福井県越前市千合谷町の九頭竜川水系馬戸谷川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
受益地となる福井県の旧白山村は地域の大半が丘陵地のため水利に乏しく零細農業が大半となっていました。
1975年(昭和50年)に農水省の補助を受けた県営事業が着手され1980年(平成55年)に竣工したのが総ヶ谷ダムです。
運用開始後は武生白山土地改良区が管理を受託し、水田53.6ヘクタール、畑地39.8ヘクタール、計93.6ヘクタールへの灌漑用水の供給が開始されました。

越前市千合谷町の県道19号武生米ノ線から馬戸谷川沿いを南西に折れます。
谷筋に水田が続き、一番のドン詰まりに総ヶ谷ダムがあります。
ダムと言っても見た目は大きめの溜池、堤高31.4メートルの均一型アースフィルダムです。
手前の水路管は受益地への送水管。


右岸には底樋門があります。
この水路とは別に上の写真の送水管で受益地に送水されます。


左岸ダムサイトに上がります。
天端は開放され車両の通行もできます。


概要説明板。
ネットではこのダムの情報はほとんどないのでこういう説明板はありがたい。


洪水吐越しの上流面。


右岸の斜樋
シャフトは5本で最大取水量は0.631立米/秒。


左岸の横越流式洪水吐。


天端からの眺め
谷筋に水田が続きます。


総貯水容量は23万立米。


右岸にある管理事務所、この裏手に斜樋があります。


0948 総ヶ谷ダム(1867)
福井県越前市千合谷町 
九頭竜川水系馬戸谷川 
 
 
31.4メートル 
113.5メートル 
230千㎥/210千㎥ 
白山土地改良区
1980年