ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

一方井ダム

2022-11-29 22:05:05 | 岩手県
2022年10月22日 一方井ダム
 
一方井(いっかたい)ダムは岩手県岩手郡岩手町黒内の北上川水系一方井川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
1972年(昭和47年)に農水省の補助を受けた県営かんがい排水事業一方井地区が着手され、その灌漑用水源として1990年(平成2年)に竣工したのが一方井ダムです。
運用開始後は岩手町が管理を受託し、一方井土地改良区管内約360ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
事業の竣工により従来の稲作に加え畑作も推進され、特にキャベツは『いわて春みどり』のブランドで全国展開する特産品となっています。
さらに2020年(令和2年)には利水放流を利用した一方井ダム小水力発電所(最大出力49.9キロワット)が稼働しました。
 
ダムへ通じる町道の入り口にある一方井ダムの標識。


まずはダム下へ
堤体直下まで立ち入ることができますが、近すぎて堤頂長390メートルの堤体全貌を見ることはできません。
ロックフィルですが下流面には芝が張られ見た目はアース、また提体中段に『一方井』の植栽が施されていますが、この位置からは見ることができません。


監査廊入り口。


ダム下には建屋が二つ並びます。
左は既存の放流設備、右は2020年(令和2年)に新設された小水力発電所。


ダム下への道は洪水吐減勢工を跨ぎます。
導流部は堤体との間に地山を挟んでいるのでこういう眺めになります。


右岸ダムサイトへ向かいます。
横越流式洪水吐
越流した水は上の写真の減勢工へと流下します。


右岸から見た上流面
こちらから見るとロックフィルダムだとわかります。
それにしても長い堤体。
ダム湖は総貯水容量224万立米。


今度は左岸ダムサイトへ
入り口には門扉があり車両進入禁止。


管理事務所があるダムサイトは公園になっており東屋もあります。


下流面は芝が張られて見た目はアース。
凍上防止目的と思われます。


堤頂長390メートルの天端は立ち入り禁止。


管理事務所裏手に艇庫がありこれはそのインクライン。


0260 一方井ダム(1891)
岩手県岩手郡岩手町黒内 
北上川水系一方井川 
 
 
40メートル 
390メートル 
2240千㎥/2170千㎥ 
岩手町農林環境課 
1990年

根石ダム

2022-11-29 18:15:05 | 岩手県
2022年10月22日 根石ダム
 
根石ダムは岩手県八幡平市根石の一級河川米代川水系根石川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
火山堆積物が多い岩手県は農地防災ダムの建設に積極的で、防災ダム13基は岐阜県に次ぐ全国2番目の多さとなっています。
根石ダムは岩手県で最も新しい農地防災ダムで、農水省の補助を受けた県営防災ダム事業根石地区により2000年に竣工、完成後は八幡平市が管理を受託し根石川流域85ヘクタールの農地防災を担っています。
なお、八幡平市の大半は太平洋に注ぐ北上川や馬淵川水系となっていますが、当ダムは日本海に注ぐ米代川水系です。

八幡平市田山の国道282号線から根石川沿いの市道を約6キロ北上すると根石ダムに到着します。
まずはダム下から
提体やダム下はきれいに草が刈られ、非常に美しい佇まい 
ロックフィルダムですが凍上防止のため下流面には芝が張られ見た目はアースのよう。


洪水吐導流部から越流しています。
当ダムでは横越流式洪水吐にオリフィス流出孔を設けてあり、流入量はそのまま洪水吐を流下するため常に越流が見られます。
左手は仮排水路の吐口で緊急低位放流ゲートを兼ねています。


右岸から下流面
右岸を長ーい洪水吐導流部が流下します。


農水省の補助ダムではおなじみダムの説明板
こういうの非常にありがたい。


天端から減勢工を望む
減勢工下流の擁壁の絞りがエロい。


非常用洪水吐と常用洪水吐を兼ねる横越流式洪水吐
奥の穴がオリフィス流出孔で通常は流入量がここから流下します。
奥は管理事務所ですが職員の常駐はありません。


上流側から見たオリフィス流出孔
農地防災ダムにおいてこのタイプの常用洪水吐は初見、というか全国でもここだけじゃないかな?


天端は徒歩のみ通行可。
路面を見ればわかりますが、かなりの雨。


下流面とダム下広場
ちょうど草刈りを終えたタイミングでの訪問ということもあるんですが、とにかくきれいに整備されている印象。
ダム下の広場は公園として開放してもいいのでは?とも思えるんですが立入禁止。


上流面
これを見ればロックフィルダムだとわかります。


有効貯水容量=農地防災容量の防災専用ダムですが、総貯水容量142万5000立米のうち堆砂容量が55万立米も確保されており、この分が貯留されています。

ちょうど草刈りを終えたタイミングでの訪問ということもあるんですが、芝が張られた美しいリップラップなど非常に好印象。
今回は雨中での見学となりましたが、できれば好天時に再訪したいダムです。

(追記)
根石ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2924 根石ダム(1890)
岩手県八幡平市根石
米代川水系根石川
41メートル
187.6メートル
1425千㎥/875千㎥
八幡平市
2000年
◎治水協定が締結されたダム