2023年7月21日 笠堀ダム(再)
9月23日
笠堀ダム(再)は新潟県三条市笠堀の信濃川水系五十嵐川右支流笠堀川にある新潟県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
五十嵐川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、三条市への上水道用水の供給、新潟県企業局笠堀発電所(最大出力7200キロワット)でのダム式発電を目的として1964年(昭和39年)に竣工しました。
しかし1969年の昭和44年8月豪雨にて当初計画量を上回る出水となったことから、新たに五十嵐川本流への多目的ダム建設が進められ1993年(平成5年)に大谷ダムが完成、両ダム連携しての洪水調節が開始されました。
ところが2011年(平成23年)の新潟・福島豪雨では改訂された計画雨量をさらに超える流入量が記録され、下流域で甚大な洪水被害が発生しました。
これを受け当ダムの嵩上げ再開発が着手され2017年(平成29年)に竣工、堤体を4メートル嵩上げすることで新たに180万立米の洪水調節容量が確保され、笠堀ダム(再)・大谷ダム合わせて最大毎秒1200立米の洪水カットが可能となりました。
笠堀ダムには2023年(令和5年)7月に初訪、その後渇水による水位低下の情報を得て同年9月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
ダムサイトまで県道365号線が通じていますが、ダム下へ通じる管理道路は関係者以外立ち入り禁止。
ダムを正面から見学するポイントはありません。
左岸から
堤高78.5メートル、堤頂長250メートルの堤体
コンクリートが白くなった襟が4メートル嵩上げされた部分です。
(2023年9月23日)
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洪水吐は堤体右岸側に寄っています。
ゲート部分をズームアップ
と言ってもわずかにアームが見えるのみ
非常用洪水吐としてクレストラジアルゲートおよびオリフィスラジアルゲートを1門ずつ、常用洪水吐としてコンジット高圧ラジアルゲートを1門装備。
(2023年7月21日)
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アングルを変えて。
(2023年9月23日)
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監査廊入り口
右手のパイプは既得灌漑用水向け水路。
(2023年9月23日)
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ダムサイトに建つカモシカの銅像。
ダム周辺は手つかずの自然が残り1971年(昭和46年)に『笠堀のカモシカ生息地』が天然記念物に指定されたのを機に設置されました。
(2023年9月23日)
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ダムサイトの竣工銘板
嵩上げ以前は親柱にあったものが移設されたようです。
(2023年9月23日)
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天端は取水設備手前まで立ち入り可能。
(2023年7月21日)
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堤体直上の浮桟橋と巡視艇。
(2023年7月21日)
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天端からダム下を望む
左は新潟県企業局笠堀発電所
堤体から張り出しているのがコンジットゲートハウス
その右手にオリフィス、クレストの導流部が並びます。
(2023年9月23日)
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導流壁の並びが独特です。
ダム下から見てみたいなあ。
(2023年9月23日)
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ダム湖は総貯水容量1720万立米
嵩上げ再開発により180万立米増量しました。
常時満水位は草付き上端のEL207メートルですが、訪問時は洪水期のためEL194.5メートルが制限水位となっています。
(2023年7月21日)
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再訪時は渇水の影響で貯水量が大幅に低下。
貯水率は30%まで低下していました。
(2023年9月23日)
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選択取水設備
発電後に利水利用されるため、基本表層取水となります。
(2023年7月21日)
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取水設備建屋。
(2023年7月21日)
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水利使用標識。
(2023年7月21日)
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こちらは大谷ダム上流からの導水路流入口で発電容量はすべてこの間接流域33.5平方キロにより補給されます。
これは笠堀ダム(再)の流域面積103.5平方キロのうち約3割に相当します。
(2023年9月23日)
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ゲート配置や減勢工の形状に特徴のあるダムですが、立ち入り制限区域が多く肝心な場所が見れないのが残念なところ。
新潟県営ダムでは5人以上で事前予約すれば堤体内も含めた見学が可能とのこと。
機会があれば人数を揃えて、当ダムや奥胎内ダムなど規制が多いダムをじっくり見学してみたいものです。
(追記)
笠堀ダム(再)には洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
0753 笠堀ダム(元)
新潟県三条市笠堀
信濃川水系笠堀川
FNWP
G
74.5メートル
224.5メートル
15400千㎥/13300千㎥
新潟県土木部
1964年
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3676 笠堀ダム(再)(2013)
新潟県三条市笠堀
信濃川水系笠堀川
FNWP
G
78.5メートル
250メートル
17200千㎥/15100千㎥
新潟県土木部
2017年 再開発事業竣工
◎治水協定が締結されたダム