2022年5月23日 鶴田ダム(再)
鶴田ダム(再)は左岸が鹿児島県薩摩郡さつま町鶴田、右岸が同町神子の一級河川川内川本流にある国交省九州地方整備局が管理する重力式コンクリートダムです。
1964年(昭和39年)に建設省九州地方建設局(現国交省九州地方整備局)の直轄事業により竣工、翌年に川内川の洪水調節、発電事業者として参加した電源開発(株)川内川第1発電所での最大12万キロワットのダム式発電を目的とした特定多目的ダムとして運用が始まりました。
しかし、ダム完成後も川内川での洪水被害は絶えず、特に2006年(平成18年)の鹿児島県北部豪雨においては下流域約2000戸が浸水するなど甚大な被害となりました。
これを受け2008年(平成20年)に鶴田ダム再開発事業が着手され、10年の歳月をかけて2017年(平成29年)に鶴田ダム(再)が竣工しました。
再開発事業ではダム右岸部への新放流ゲートが3門増設と導流壁の改修が行われ、これにより死水容量2050万立米が有効貯水容量化されました。
併せてダムの運用変更により洪水期の洪水調節容量が大幅に増加し、特に6月から7月の第1期洪水期には有効貯水容量9800万すべてを洪水調節容量に配分となりこの間は治水専用ダムとしての運用が可能となりました。
鶴田ダム(再)は九州屈指の多目的ダム且つ大規模な再開発事業の実施などを受け日本ダム協会により日本100ダムに選ばれているほか、ダム湖の大鶴湖もダム湖百選に選定されています。
川内川左岸の県道404号は隘路のため、ダム右岸に続く町道利用が便利です。
目の前に亜夢が現れると、思わず「おお!」と声が出ます。
従来のクレストラジアルゲート4門、コンジット高圧ラジアルゲート3門に加え、向って左手(右岸側)に新放流ゲート3門が増設され、併せて導流壁の大規模改修が行われました。
新ゲート増設のため右岸法面が掘削され多くのアンカーが並んでいます。
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増設された新放流ゲートは高圧ローラーゲートを装備
このゲートの設置によりダムの最低水位はEL130メートルから115.6メートルに低下し、死水容量2050万立米が有効貯水容量化されました。
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ずらりと並ぶ新旧ゲートと導流壁、発電所
モザイク状のコンクリートと併せたメカっぽさが堪りません。
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電源開発川内川第1発電所
九州の一般水力発電としては九州電力一ツ瀬発電所に次ぐ12万キロワットの発電能力を有します。
最低水位の低下により発電所への水圧鉄管も付け替えられています。
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右岸から超広角で
堤高117.5メートル、堤頂長450メートル、堤体積111万9000立米と九州では最大規模のスケール。
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奥が発電所
水圧鉄管が付け替えられたのがよくわかります。
手前は新放流ゲート操作建屋。
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ダムサイトに展示された増設放流管の模型
直径は6.4メートル
ダムを運用しながら全長60メートルに及び掘削が行われました。
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天端右岸からダム下を見下ろします。
新ゲート増設に伴い、右岸側法面が大きく掘削されました。
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ダム湖の大鶴湖
総貯水容量1億2300万立米は宮崎の一ツ瀬ダムに次いで九州第2位の容量。
洪水期に備えて水位は大きく下がっています。
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天端に鎮座する巨大なガントリー
吊られている補助ゲートは珍しいキャタピラゲート。
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天端左岸より
ひしめき合う発電所や導流壁、山留
まるで鉄道のターミナルを見ているようで全く飽きが来ません。
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左岸高台の鶴田ダム公園から俯瞰
ダムは両側が屈曲、対岸に管理事務所があります。
木が伸びて視界が悪いのが難。
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ダム湖上流にある曽木発電所遺構
1909年(明治42年)竣工の発電所で鶴田ダム完成により水没しました。
遺構は国の登録有形文化財および通産省の近代化産業遺産に選定されており、水位が下がる洪水期のみ全景を見ることができます。
残念ながら2021年(令和3年)の台風により手前側の壁が倒壊してしまいました。
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(追記)
鶴田ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
3587 鶴田ダム(再)(1843)
左岸 鹿児島県薩摩郡さつま町鶴田
右岸 同町神子
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