2018年2月18日 雨畑ダム
雨畑ダムは山梨県南巨摩郡早川町雨畑の富士川水系早川右支流雨畑川にある日本軽金属(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
1939年(昭和14年)に設立された日本軽金属は、静岡県清水と蒲原に世界最大規模のアルミ精錬工場の建設を進め、精錬用の電力を賄うために富士川に波木井・富士川第一・第二の各発電所を建設し合計11万キロワットの発電能力を有しました。
しかし富士川の流量は季節変動が大きく、渇水期には十分な発電を行うことができませんでした。
そこで水利権を持つ佐野川および早川に河川流量を平準化させる上部調整池として2基のダム建設を進め、柿元ダムに次いで1967年(昭和42年)に竣工したのが雨畑ダムです。
柿元ダム、雨畑ダムから富士川の渇水期に放流を行うことで下流の自社発電所の安定した運用が可能となりました。
また雨畑ダム建設に合わせて新たに角瀬発電所が建設され最大1万3000キロワットのダム水路式発電を行っています。
早川は糸魚川ー静岡構造線と中央構造線が重なる大崩落地帯のため、雨畑ダムでは堆砂が著しく総貯水容量に対する堆砂率は90%を越えています。このため貯水池上流で浸水被害が発生するとともに富士川河口沖の駿河湾の環境への悪影響も見られることから2020年(令和2年)に日本軽金属は雨畑ダムの堆砂について国交省の指導を受ける事態となりました。
この件により、従来発電用ダムでは取水に影響がない限り堆砂対策を積極的に講じてこなかった発電業者の姿勢に一石を投じることになっています。
県道37号線から雨畑川沿いの県道310号に入ると雨畑ダムに到着します。
ダム手前から左に下る枝道に入るとダム直下に飛び出します。
アーチダムをこのアングルで見上げるのはなかなか珍しいのではないでしょうか?
ダム下流が完全に凍結しスケートリンクのようです。
右岸の岸壁に空いた穴、仮排水路の跡でしょうか?
県道からダムへ向かう管理道路は立ち入り禁止。
県道をさらに進むとダムの上流面を遠望できます。
貯水池は堆砂の影響で濁っています。
左岸にローラーゲートが2門。
自家発電を持つことで、日本で唯一アルミ精錬を続けてきた日本軽金属ですが、施設の老朽化を理由に2014年(平成26年)にアルミ精錬から撤退しました。
富士川水系で発電した電力は引き続き静岡県内の自社・グループ工場で使用されています。
(追記)
雨畑ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
0969 雨畑ダム(1249)
山梨県南巨摩郡早川町雨畑
富士川水系雨畑川
P
A
80.5メートル
147.6メートル
11000千㎥/11000千㎥
日本軽金属(株)
1967年
◎治水協定が締結されたダム
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