2015年12月30日 比奈知ダム
2016年 7月31日
比奈知ダムは三重県名張市上比奈知の淀川水系名張川にある水資源機構が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
琵琶湖を主水源とする淀川は文字通り『関西の水ガメ』となっていましたが、流域が2府3県にまたがり利害の対立もあり統合的な河川総合開発は難航を余儀なくされました。
1962年(昭和37年)に『淀川水系水資源開発基本計画』(フルプラン)が採択され、淀川水系では水資源開発公団(現水資源機構)による河川総合開発が進められることになりました。
そして淀川主要支流である木津川流域においては木津川上流ダム群とよばれる高山、青蓮寺、室生、布目、比奈知の5基の多目的ダム建設が進められ5ダム最後となる1998年(平成10年)に竣工したのが比奈知ダムです。
比奈知ダムは水資源機構法(当時は水資源開発公団法)による多目的ダムで、他の4ダムと連携した名張川・木津川・淀川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、京都府・奈良市・名張市への上水道用水の供給、比奈知発電所(三重県企業局から中部電力に移管)での最大1800キロワットのダム式水力発電を目的としています。
また比奈知ダムには木津川上流5ダムを統合管理する木津川ダム総合管理所(木津川総管)が置かれています。
比奈知ダムには2015年12月に初訪、2016年7月のダム見学会に合わせて再訪しました。
ダム見学会についてはこちらをご覧ください。
ダム右岸を国道368号線が通っておりいます。
右岸上流の国道から
ダムは全体的に丸みを帯びたデザイン。
手前はゲート操作室、奥は取水設備。
クレスト自由越流頂は全国でも珍しい天端側水路形式を採用。
呑口6門、吐口3門で呑口から入った水は天端側水路で中央に集められ吐口から流下する仕組み。
天端側水路(2016年7月31日)
天端は車両通行可能。
左にカーブする減勢工。
手前は河川維持放流用ゲート操作室
左奥は中部電力比奈知発電所。
(2016年7月31日)
左岸上流から
ダム見学会で普段は立ち入れない堤体直下へ下りてゆきます。
(2016年7月31日)
洪水吐導流部
目の前にコンジットゲート(2016年7月31日)
扶壁の穴は放流の際に放流管の中の空気を抜くためのもの。
(2016年7月31日)
洪水吐
クレスト放流の際は6門の呑口に流入した水はこの3門から放流されます。
ただし運用開始後は一度もクレスト放流はないそうです。
下流から
天端側水路方式の非常用洪水吐に加え、常用洪水吐としてコンジット高圧ラジアルゲート2門を装備。
減勢工は約90度に曲り、副ダムは横向き。
追記
比奈知ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合に事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
1330 比奈知ダム(0154)
三重県名張市上比奈知
淀川水系名張川
FNWP
G
70.5メートル
355メートル
20800千㎥/18400千㎥
水資源機構
1998年
◎治水協定が締結されたダム
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