ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

松川ダム(元)

2016-08-03 15:45:38 | 長野県
2016年7月30日 松川ダム(元)
 
松川ダム(元)は長野県飯田市上飯田の天竜川水系松川にある長野県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
松川水源部は風化した花崗岩の影響で土砂流出量が多く下流域や天竜川との合流部周辺では常習的に洪水被害が発生していました。
松川ダム(元)は建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、松川の洪水調節のほか安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、飯田市への上水道用水の供給を目的として1974年(昭和49年)に竣工しました。
また1986年(昭和61年)には利水放流を利用した長野県建設部が管理する松川ダム発電所が増設され最大1200キロワットの利水従属発電が開始されました。
 
しかし、運用開始以降計画を超える堆砂が進行したため1987年(昭和62年)より土砂搬出作業が実施される一方、翌1988年(平成元年)に堆砂除去および排砂促進目的のバイパス水路建設を軸としたダム再開発事業が採択されました。
具体的には貯水池入り口に分派堰を設け、土砂流入を伴う出水の際にはダム湖には貯留せずバイパス水路で下流へ流下させる仕組みです。
再開発事業はいまだ進行中ですが、バイパス水路はすでに運用が開始され土砂搬出作業と併せて事業着手前に比べ貯水容量は10%程度回復しています。
 
飯田市内から県道8号を大平方面に進むと松川ダムに到着します。
左岸から。
1970年代竣工ということでゲートを装備
クレストにラジアルゲート2門、コンジットに高圧ラジアルゲート1門を備えています。
 
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
まっすぐな導流壁と減勢工
減勢工右岸に松川ダム発電所がありますが、利水従属発電のため利水放流時のみ稼働します。
 
総貯水容量740万立米のダム湖
ダム湖入り口にバイパス水路用分派堰がありますが、ここからは見えません。
 
天端は徒歩のみ開放。
右手は管理事務所、左手は上記艇庫。
 
上流面。
 
下流面。
 
上流から
ラジアルゲート2門にコンジットの予備ゲートが見えます。
 
下流からなんとかゲートだけ見えることができました。
 
追記
松川ダム(元)には洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
  
1024 松川ダム(元)(0493)
長野県飯田市上飯田
天竜川水系松川
FNW
84.3メートル
165メートル
7400千㎥/5400千㎥
長野県建設部
1974年
◎治水協定が締結されたダム
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3082 松川ダム(再)
天竜川水系松川
FNW
84.3メートル
165メートル
7450千㎥/6400千㎥
長野県建設部
1988年~


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