2017年8月 5日 豊丘ダム
2023年7月30日
豊丘ダムは左岸が長野県須坂市塩野、右岸が同市豊丘の信濃川水系百々川支流灰野川にある長野県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
須坂市域を東西に横断して千曲川に注ぐ百々川は酸性度が強いため灌漑用水としては不適で、酸性度の低い支流の灰野川の水を求めて古来より水争いが続いていました。
一方高度成長により百々川流域の氾濫原での市街化が進み、治水対策も重要な課題となっていました。
そこで1978年(昭和53年)に長野県は灰野川最上流部への多目的ダム建設を軸とした百々川総合開発事業を採択、1986年(昭和61年)に着工され1994年(平成6年)に竣工したのが豊丘ダムです。
豊丘ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、灰野川および百々川の洪水調節(最大毎秒90立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、須坂市への上水道用水の供給を目的とするほか、河川維持放流を利用し豊丘ダム管理用発電所(最大出力150キロワット)の小水力発電を行っています。
豊丘ダムには2017年(平成29年)8月に初訪、2023年(令和5年)7月の豊丘ダムまつりに合わせて併せてに再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
豊丘ダムまつりでのダム見学会については下記のリンクをご参照ください。
建設がバブル期と重なっていることもありダム周辺はよく整備され、ダム下は池や東屋を備えた親水公園になっています。
ただ残念なことにダムと正対できず、これが精いっぱい。
クレスト自由越流頂4門、自然調節式オリフィス1門を備えたゲートレスダムです。
(2017年8月5日)
左岸から
堤高81メートル、堤頂長238メートルと補助ダムとしてはなかなかのサイズ。
上段は堤体導流壁、中段以下は堤趾導流壁。
(2017年8月5日)
左岸から上流面
一見水位は低そうですがこれで常時満水位。
堤体前面の建屋はエレベーター棟、上流側は取水設備、その奥は艇庫とインクライン。
(2017年8月5日)
さらに高い位置から
(2017年8月5日)
天端から減勢工を見下ろす
エンドシルの下流には洗堀防止のためのブロック工が敷かれています
右手は小水力発電所を兼ねた放流設備
当所は管理用発電所として建設されましたが2023年7月現在運転休止中で、今後県企業局により新たな発電施設として刷新される予定。
(2023年7月30日)
天端からは須坂、長野市街を挟んで遠く北アルプスまで遠望できますが…
訪問時は霞んでアルプスは見えず。
(2023年7月30日)
天端は車両通行でき対岸に広い駐車スペースがあります。
向って左手は管理事務所、右手は艇庫
右岸ダムサイトも小公園になっており、地元豊丘地区の皆さんが清掃や花壇の手入れなどを行っています。
(2017年8月5日)
右岸ダムサイトも小公園になっており、地元豊丘地区の皆さんが清掃や花壇の手入れなどを行っています。
(2017年8月5日)
ダム湖(昇竜湖)は総貯水容量258万立米
百々川ほどではありませんが、灰野川も硫黄成分を含むため湖面は独特のエメラルドグリーン。
(2023年7月30日)
艇庫とインクライン
再訪時は豊丘ダムまつりのため各所に誘導要員が立っています。
(2023年7月30日)
右岸から下流面。
(2017年8月5日)
左岸の山留はまるで断崖のよう
右手上部にクレーン台座が残っています。
(2017年8月5日)
須坂は『蔵の街』として知られ、艇庫は蔵をモチーフにした意匠。
この辺りいかにもバブル期のダム。
(2017年8月5日)
右岸に建つ女性像
裸婦像かと思ったら水着着用です
(2017年8月5日)
右岸から上流面。
(2023年7月30日)
さらに上流から。
(2017年8月5日)
バブル期のダムということで建屋などは凝った意匠、ダム下やダムサイトも公園としてよく整備されています。
最近は財政難や人手不足もあり、ダム建設に併せて整備された公園も荒れていることが多いのですが、ここは地元の皆さんがボランティアで清掃や手入れをされており、今も美しい環境が保たれているのが印象的。
もりみず旬間での見学会も地元地域との共催による『豊丘ダムまつり』として毎年盛況を博しているのも注目に値します。
(追記)
豊丘ダムはには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
1039 豊丘ダム(1098)
左岸 長野県須坂市塩野
右岸 同市豊丘
信濃川水系百々川支流灰野川
FNW
G
81メートル
238メートル
2580千㎥/2120千㎥
長野県建設部
1994年
◎治水協定が締結されたダム
はじめまして。
フォロー申請ありがとうございます。
ダムのオーソリティーさんですね。
十勝にもいくつかダムがあります。
いくつかは自転車で訪問しましたが、
説明できるような知識はありません。
この際、つながりができましたので、
少し知識を分けていただければ嬉しいです。
よろしくお願いします。
今週末より北海道に伺う予定で、北海道ネタのブログをあれやこれや拝見していたらTOGZ様のブログに行き当たりました。
これをご縁に末永きお付き合いを頂ければ幸いです。
素晴らしいですね。
信州黒姫山から、後立山。
鹿島槍は見えるのか?良いですねぇ~。
空気が澄んだ今の時期なら戸隠や後立山が一望できること請け合いかと?
また、地元の方によれば川中島あたりの花火大会の隠れ展望スポットだそうです。