ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

椿山ダム

2021-09-24 12:18:34 | 和歌山県
2021年9月20日 椿山ダム
 
椿山ダムは和歌山県日高郡日高川町初湯川の二級河川日高川本流にある和歌山県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1953年(昭和28年)の7・18水害(紀州大水害)により和歌山県各河川では甚大な洪水被害が発生し、県は各河川の治水対策に乗り出します。
日高川では1966年(昭和41年)から多目的ダム建設事業が着手され、1988年(平成元年)に竣工したのが椿山ダムです。
椿山ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、日高川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、関西電力美山発電所《2005年(平成17年)に県企業局から関西電力に移管》での最大出力1万1400キロワットのダム式水力発電を目的としています。
総貯水容量4900万立米は和歌山県最大のダム湖を擁し、湖面は美山漕艇場としてカヌー競技に利用されるほか、湖畔には温泉施設や各種レクリエーション施設が整備されダム湖百選に選ばれています。
またクレストゲート6門、コンジットゲート5門という特異なゲート配置になっており下流からの奇抜な眺めも相まって日本100ダムにも選定されています。
 
下流から
クレストラジアルゲート6門、コンジット高圧ラジアルゲート5門という特徴的なゲート配置
デフレクターを兼ねる5本の扶壁はモアイ像の鼻のようにも見えます。
向って右手は関西電力美山発電所。
 
左岸から。
 
上流面
多彩なゲートを映して上流面も賑やか。ラジアルゲートの間にコンジット予備ゲートが並びます。
選択取水設備のスクリーンは目の細かいメッシュ。
対岸高台にはクレーン台座が残ります。
 
左岸ダム下の関西電力美山発電所。
当所は和歌山県企業局による公営発電所として稼働いましたが、2005年(平成17年)に関西電力に移管されました。
 
ダム湖は『椿山ダム湖』
見た目は大きくありませんが上流まで細長く続き総貯水容量4900万立米は県下のダム湖最大。
上流には美山漕艇場があるほか、湖畔には美山温泉や日本一長い藤棚、やまびこスポットなどがありダム湖百選に選ばれています。
 
ダムサイトのダム湖百選の銘版。
 
右岸にある艇庫
艇庫はありますがインクラインが見当たりません。
右手の青いクレーンで昇降させるようです。
 
天端は車両通行可能
多彩なゲートを映して下流側6棟、上流側5棟のゲートハウスが並びます。
 
右岸から下流面。
 
右岸から上流面
予備ゲートに木が生えています。
 
堤体右岸上流側にあるドア、監査廊入り口です。
 
上流もクレストラジアルゲート6門とコンジット予備ゲート5が並び華やか。
 
追記
椿山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1649 椿山ダム(1691)
和歌山県日高郡日高川町初湯川
日高川水系日高川
FNP
56.5メートル
236メートル
49000千㎥/39500千㎥
和歌山県県土整備部
1988年
◎治水協定が締結されたダム 


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