2016年8月6日 奥只見ダム
奥只見ダムは左岸が新潟県魚沼市湯之谷芋川、右岸が福島県南会津郡桧枝岐村の阿賀野川水系只見川源流部にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富で急流河川の只見川では戦時中から日本発送電(株)により電源開発が進められてきましたが、一方で各種利権の対立もあり尾瀬分水や只見川分流など様々な開発案が検討され混迷を極めていました。
1953年(昭和28年)に只見川上流域は電源開発、中下流から阿賀野川については東北電力というすみ分けが決まったことを受け両社は積極的な電源開発に邁進します。
電源開発は最上流部に奥只見、上流部に田子倉という日本屈指のダム・発電所建設を同時に進め、まず1960年(昭和35年)に奥只見ダム・発電所が、翌1961年(昭和36年)に田子倉ダム・発電所が完成しました。
奥只見ダムは総貯水容量6億100万立米(全ダム中第2位)、湛水面積1150ヘクタール(全ダム中4位)、堤高157メートル(重力式コンクリート第1位)と日本屈指のスケールを誇っています。
またダム直下の奥只見発電所は当初の最大出力32万キロワットから2003年(平成15年)の4号発電機増設により最大56万キロワットに増強され、これは一般水力発電としては日本最高出力となっています。
奥只見ダムは日本ダム協会により日本100ダムに選ばれているほか、豪雪地帯の水資源と地形を巧みに利用したダム・電源開発等の河川史や地域資産として高く評価され2023年(令和5年)に『只見川ダム施設群』として土木学会選奨土木遺産に選定されました。
またダム湖の奥只見湖もダム湖百選に選ばれています。
今回は訪問時に偶々発電所見学会が実施されており、一般水力発電日本一の発電所内部や、堤高Gダム日本一の堤体を直下から見上げることができました。
見学会についてはこちらをご覧ください。
小出から国道352号~シルバーラインが車でのアクセスルートとなります。
クレストにはラジアルゲート2門装備
すっきりとした堤体や直線状の導流壁など同時期に建設され田子倉ダム との共通点が多いデザイン。
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電源開発のダムではおなじみ、ダムの銘版プレートが埋め込まれています。
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天端はゲート手前で立ち入り禁止。
右岸にはガントリークレーンが鎮座。
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減勢工はジャンプ台式、
河川維持放流を利用した小水力発電もおこなわれています。
小水力とはいえ落差157メートルを生かして最大出力は2700キロワットもあります。
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導流部と減勢工
重力式コンクリートダム日本最高、堤高157メートルの迫力!
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総貯水容量6億100万立米と日本第2位の貯水量を誇るダム湖(奥只見湖)
右奥のなだらかな山は日本百名山の平ヶ岳、その彼方は尾瀬になります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/e1/4e0f45c65c1222bd143bc18d10d4ba96.jpg)
上流面。
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左岸から俯瞰。
日本屈指の豪雪地帯、ダム下流右岸側にはアバランチシュートが幾筋もできています。
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今回は発電所見学会に参加できたので、普段は立ち入れないダム直下から見上げることができました。
導流部中段にハウエルバンガーバルブがあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/dd/b73a62ab8f852785148545b98d5e7c2f.jpg)
ゲートをズームアップ。隣はエレベーター棟。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/11/c95813f6317ca5c0a16add4ad8a43757.jpg)
ジャンプ台式の減勢工。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/aa/c8c953af5687f9f4f8f3a48325557da5.jpg)
(追記)
奥只見ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
0500 奥只見ダム(0504)
左岸 新潟県魚沼市湯之谷芋川
右岸 福島県南会津郡桧枝岐村
阿賀野川水系只見川
P
G
157メートル
480メートル
601000千㎥/458000千㎥
電源開発(株)
1960年
◎治水協定が締結されたダム
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