2021年7月17日 聖台ダム
聖台(せいだい)ダムは北海道上川郡美瑛町明治の石狩川水系宇莫別川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
聖台という名前は当初皇室御料地だった周辺一帯の土地を、開拓進展に伴って払い下げられたことへの『聖恩』の念を地名としたことに由来します。
ダムは1932年(昭和7年)に国庫補助を受けた道営事業により建設され、建設当時は国内最大規模の農業用ダムでした。
現在は旭川土地改良区が管理し1021.94ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
聖台ダムは農業用ダムとしては日本で唯一コンクリート中心遮水壁(コンクリートセンターコア)が採用されているほか、基礎岩盤の亀裂に対してセメントミルク注入によるグラウトが施工されるなど当時としては先端的技術が駆使され、この点を評価して2008年(平成20年)に土木学会選奨土木遺産に選定されました。
また、湖畔に聖台公園を整備する一方、カタクリ自生地の保護や桜の植樹などにより人々の憩いの場となっておりダム湖百選にも選ばれています。
北美瑛から道道543号線を東進すると聖台ダムに到着します。
今回は貯水池上流側から見学を始めました。
向かって左手がアースフィルの堰堤、右手は幅が広い特徴的な横越流式洪水吐。
洪水吐をズームアップ。
自然の地形を活用した結果このような洪水吐になったようです。
深さはない代わり幅の広さで放流量を確保します。
堰堤上流面。
水利使用標識。
立派なダム説明版。
ダム湖百選のプレート。
下流側からの洪水吐
融雪期には美しい越流が見られます。
洪水吐導流部
こちらも広い幅を維持したまま流下してゆきます。
導流部右手にカタクリ自生地があり春には可憐な花を咲かせます。
天端は立ち入り禁止。
コンクリートセンターコアという希少な遮水方式を採用したアースフィルダムですが、外見からは全くわかりません。
総貯水容量は376万7000立米。
ダム湖百選に選ばれています。
ダム建設70周年記念碑と選奨土木遺産プレート。
選奨土木遺産プレート。
ダム下の放流設備は確認しませんでした。
(追記)
聖台ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
0035 聖台ダム(1659)
北海道上川郡美瑛町明治
石狩川水系宇莫別川
A
E
29.7メートル
485.4メートル
3767千㎥/3215千㎥
旭川土地改良区
1937年
◎治水協定が締結されたダム
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