2018年3月23日 別所上池(浦伐池)
別所上池は愛媛県今治市大三島町宮浦にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では経緯度が記載される一方位置未確認とされ、また所在地と設置河川にも矛盾があります。
ただダム便覧の安部塁氏の『位置未確認ダムを探して・・・別所上池』から宮浦本川左支流明治川源流部にある『浦伐(うらぎり)池』が別所上池である公算大として、今回は浦伐池を訪問しました。
ただしダム便覧に掲載された河川やダムの諸元については矛盾があるため、ここではため池データベースの浦伐池のスペックを採用します。
便覧には1937年(昭和12年)に当時の大三島町の事業として建設と記されています。
一方ため池データベースや今治市のハザードマップ、農水省の資料ではすべて浦伐池となっています。
2015年(平成27年)に農水省の補助を受けた愛媛県の事業で改修が行われ、堤体、洪水吐、取水設備等が刷新されました。
県道21号線から大山祇神社南側の鶴姫ロードを東に折れ、川沿いの道を進みます。
すぐに隘路となりますが構わず進むと急坂の先に池が現れます。ただし池には転回スペースがないので注意が必要です。わが家のBMWは向きを変えるのに10回以上の切り返しを余儀なくされました。
池は2015年(平成27年)の改修で刷新され、基礎にはコンクリートブロックが積まれ、右岸に洪水吐があります。
ただどう見ても堤高は15メートル以上あるとは思えません。
ため池データベースでは堤高は10メートルとなっています。
洪水吐の先に底樋樋門があり維持放流が行われています。
洪水吐脇には宮祇池と記された石碑があり、浦伐池のほかに宮祇池の呼び名もあるようです。
大山祇神社の裏手の池とでもいう意味でしょう。
改修されたばかりでコンクリートは真っ白
上流面はコンクリートで護岸され洪水吐はラビリンスです。
ラビリンス越流頂を真上から。
ラビリンスをこのアングルで見るのは初めてです。
右岸の洪水吐導流部。
天端からは海が見えます。
対岸は広島県の大崎上島。
天端と下流面
改修で植えられた芝生がようやく根付いてきたところ。
土砂吐が開けっ放しで、防災専用ダムのように流入水はそのまま流下しています。
取水設備として傾斜式のシャフトが一本、さらに多孔式斜樋が設置されています。
安部塁氏の検証で浦伐池が別所上池である可能性が非常に高いと思われます。
一方でため池データベースでは堤高は10メートル。
仮にここが別所上池だとしてもダムの要件は満たしていません。
2234 別所上池(浦伐池)(1283)
ため池コード
愛媛県今治市大三島町宮浦
宮浦本川水系明治川
A
E
10メートル(ダム基準未達)
50メートル
7.千㎥/7.5千㎥
管理者未確認
1937年
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