2017年9月21日 五ケ山ダム
2023年5月24日
五ケ山ダムは福岡県那珂川市五ケ山の二級河川那珂川本流上流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
人口規模に対して大河の少ない福岡は慢性的な水不足に悩まされる一方、福岡市中心部を貫流し繁華街中州を形成する那珂川の治水が至上命題となっていました。
県は1965年(昭和40年)に補助多目的ダムとして南畑ダムを建設しますが、以降も福岡の市勢拡大は続き新たな水源確保に迫られることになります。
県は1983年(昭和58年)に南畑ダム上流への新たな多目的ダム建設事業を採択、一時検証対象ダムになるも2011年(平成23年)より本格的な建設工事が着手され2017年(平成29年)に竣工したのが五ケ山ダムです。
五ケ山ダムは国交省の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、南畑ダムと連携した那珂川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、渇水時の都市用水及び灌漑用水への緊急補給、福岡市水道局・福岡地区水道事業団・春日那珂川水道企業団への上水道用水の供給を目的としています。
五ケ山ダムは総貯水容量4020万立米と県内最大の貯水容量を誇るとともに、事業採択ベースでは日本で初めて渇水対策容量が認可されました。
実際には貯水容量の大半を利水容量が占め、さらにその過半が渇水対策容量となっていることから利水重視のダムであるといえます。
ダム建設に際しては自然環境への負荷軽減に配慮され、完成後はダム上流部にジオトープが設けられるなど環境保護に努めています。
一方左岸ダムサイトにはモンベル五ケ山店を誘致したほか、ダム下にはリバーパーク、ダム東方にはモンベル五ケ山ベースキャンプが整備されアウトドアスポットとしての認知度が高まっています。
五ケ山ダムには打設完了後の2017年9月に初訪、2023年5月に再訪しました。
写真はすべて再訪時のものです。
堤体直下国道385号線五ケ山大橋から
堤高102.5メートル、堤頂長556メートル
堤高は福岡県内ダム第2位
洪水吐はすべて自由越流頂で、中央1門だけ越流高が低くこれが常用洪水吐となります。
ダムの規模に対して洪水吐は簡易で、ここからも五ケ山ダムが利水重視であることが伺えます。
ダム直下から
向って右手(左岸)の建屋は管理用発電所を兼ねた放流設備。
水利使用標識
発電は利水放流を利用した小水力発電となります。
ダムの目的の説明
採択ベースでは日本で初めて渇水対策容量が認可されました。
竣工ベースでは長崎県の下の原ダム(再)が日本初。
ダムサイトに上がります
竣工記念碑は福岡では珍しい金箔文字。
下流面
堤頂長は500メートルを超え、左右両岸が屈曲した姿はなかなか勇壮。
天端は徒歩のみ開放
親柱の文字も金箔。
巨大な取水設備
奥はエレベーター棟。
減勢工を見下ろします
左手は管理用発電所を兼ねた放流設備。
この下流に親水公園としてリバーパークが整備されています。
五ケ山大橋越しの南畑ダム湖。
さらに福岡市街まで遠望できます。
左岸の繋留設備。
総貯水容量4020万立米は福岡県内最大、ダム湖は県境を越え佐賀県まで及びます。
右岸接岸点には脆弱地盤があり堤体は屈曲、
また接岸点周辺も厳重な山留が施されています。
556メートルを歩いて右岸までやってきました。
往復1キロ。なかなかいい運動になります。
上流から遠望。
ダム湖上流のジオトープ
各所で自然環境への配慮が見られます。
ダムサイトに道の駅などが併設される例は多々ありますがアウトドアショップの誘致は初ではないでしょうか?
キャンプが人気の昨今、ダムをアウトドアの拠点とする試みは注目に値します。
(追記)
五ケ山ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
2452 五ケ山ダム(1143)
福岡県筑紫郡那珂川町五ケ山
那珂川水系那珂川
FNW
G
102.5メートル
556メートル
40200千㎥/39700千㎥
福岡県県土整備部
2017年
◎治水協定が締結されたダム
そうか・・山留と言うんですね。
それにしても今日のダムは壮大ですね。
上手く表現できないのですが、今まで見てきたダムと比べて、全てがダントツに突出しているという感じ。
天端の往復1kは、想像しただけで・・💦
風が強く眠れないまま、又しても日を跨いでこんな時間になりました。
福岡県内でも屈指のスケールを誇るダムで、それがブログを通じて伝えることができたのは幸甚です。
福岡都市圏は人口250万、経済規模8兆円で福岡最大の経済圏ですが、大河がないという地理的条件もあり慢性的な水不足状態が続いています。
五ケ山ダムは福岡の水不足解消の切り札として建設されました。