ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

神室ダム

2023-09-20 17:00:24 | 山形県
2016年9月 3日 神室ダム
2023年7月24日
 
神室ダムは山形県最上郡金山町有屋の一級河川最上川水系金山川にある山形県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
最上川3次支流の金山川は古くから流域の貴重な灌漑用水源となる一方、洪水や渇水が多く抜本的な治水対策が求められていました。
また高度成長以降の都市用水需要増加への対処も重要課題となっていました。
これを受け、県は1977年(昭和52年)に金山川上流部への多目的ダム建設を採択、1993年(平成5年)に竣工したのが神室ダムです。
当所は金山ダムとして事業化されましたが、同名のダムが北海道にあることから神室ダムに名称変更されました。
神室ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、金山川の洪水調節(最大毎秒272立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、新庄市・真室川町・金山町への上水供給を目的としています。
さらに2017年(平成29年)には河川維持放流を利用した小水力発電所(最大出力420キロワット)が稼働しました。
ダム建設地点は栗駒国定公園内にあることからダム建設に際してはシビックデザインを採用し環境との調和が図られています。
さらにダム建設がバブル期を挟んだこともあり、ダム一帯をレクリエーション拠点化とするためダム下の公園整備など周辺環境整備がことさら注力されました。
しかしダム完成から30年、バブル崩壊以降の景気低迷や財政のひっ迫等もあり公園施設は荒廃、廃墟化。
各種モニュメントや天端高欄の意匠などが当時の面影を残すのみです。
神室ダムには2016年(平成28年)9月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
 
金山中心部から県道72号雄勝金山線を約9キロ東進すると神室ダムに到着します。
クレスト自由越流頂10門、自然調節式オリフィス2門を装備
初訪時は事前に通過した台風10号の影響で水位が上がり2門のオリフィスから放流中。
また堤体直下では小水力発電所の建設工事が進められていました。
(2016年9月3日)

 
再訪時も梅雨前線による大雨を受け薄く越流中
手前の建屋は2017年(平成29年)に稼働した小水力発電所。
(2023年7月24日)

左岸から下流面。
堤高60.6メートル、堤頂長257メートル。
(2023年7月24日)


天端は徒歩のみ開放。
(2023年7月24日)

 
ダムサイトにも種々のモニュメントが並びます。
(2023年7月24日)

管理事務所の壁には巨大なレリーフ。
(2023年7月24日)

天端から
初訪時は発電所が建設中で手前の利水放流設備から放流中。
ダム完成当時、写真左手の森は芝生の公園として整備されましたが今は木が茂り荒廃。
県ダムあるあるです。
(2016年9月3日)

 
ほぼ同じアングルで。
(2023年7月24日)

左が放流設備、右が小水力発電所。
(2023年7月24日)


総貯水容量740万立米の神室湖
一帯は国定公園で豊かなブナ林が広がっています。
山を越えると秋田県。
(2023年7月24日)


初訪時
天端路面は石敷風の化粧型枠、高欄も石積み風とさすがバブル期のダム。
(2016年9月3日)


再訪時、路面はアスファルトに変わっていました。
(2023年7月24日) 


上流面。
(2023年7月24日) 


再訪時、湖畔はヤマユリが満開
気温35度超えの猛暑でしたが、ダム周辺にはユリの馨しい香りが漂い絶好の暑気払いとなっていました。
(2023年7月24日) 


(追記)
神室ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0445 神室ダム(0537)
山形県最上郡金山町有屋
最上川水系金山川
FNW
60.6メートル
257メートル
7400千㎥/5800千㎥
山形県県土整備部
1993年
◎治水協定が締結されたダム


2 コメント

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バブル期のダム (tibineko)
2023-09-20 18:45:38
天端路面は石敷風の化粧型枠、あら、お洒落だなと画像を見て
「さすがバブル期のダム」のコメントに(笑)(笑)
そしてアスファルトに変わった天端路面
を見て
まぁ・・そうなるよねと納得(^^;)
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バブル期のダム (まっち)
2023-09-21 00:31:10
ダムを回っていれば事業着手がいわゆるリゾート法制定を挟む時期のダムはとにかく豪華。
無駄と言えば無駄なんですが、芸術なんてもともと無駄遣いができる時代に熟成するもの。
明日は今日よりいい日になると誰もが信じて疑わなかった時代。
そんな時代の恩恵はお年玉でしか受けていないのが残念と言えば残念。
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