2016年3月20日 犬上川ダム
犬上川ダムは滋賀県犬上郡多賀町の淀川水系犬上川にある多目的重力式コンクリートダムで犬上川沿岸土地改良区が管理を行っています。
近江盆地は日本屈指の穀倉地帯ですが、河川の多くが天井川で安定した灌漑用水の確保が課題となっていました。
犬上川流域も事情は同じで1932年(昭和7年)には水争いの結果流血事件が起こるほどの騒ぎとなりました。
この事態を受け滋賀県は1934年(昭和9年)に犬上川南谷源流部に犬上川ダムを着工しますが、戦争激化により工事は中断、終戦直後の1946年(昭和21年)にようやくダムは竣工しました。
犬上川ダムは灌漑目的のコンクリートダムとしては日本で最古の部類のダムの一つとなっています。
また1954年(昭和29年)に関西電力犬上発電所が増設され最大1100キロワットの発電を行っています。
甲良から県道226号~34号を東進すると犬上川ダムに到着します。
赤いゲートが際立ちます。
コンクリートの打継面、越流部の苔やしみ出た骨材の錆色の着色
戦後すぐにできた時代感が伝わってきます。
天端とゲート操作室
円形の機械室は戦前の設計ではよくみられるデザインです。
天端は歩行者と二輪車が通行可能。
発電所の取水口。
すり鉢状の減勢工。
アングルを変えて
独特のすり鉢に加えて錆び、苔、つぎはぎ…ある意味これがこのダムのエッセンスかも??
現実には物資不足の戦中に建設されたため人間でいえば骨粗しょう症のような状態。
上流面
ぎざぎざのゲートは恐竜っぽい。
ダム便覧では昭和21年竣工ですがこちらは22年。
この辺のデザインは同じ農業用コンクリートダム黎明期の埼玉の間瀬ダムに共通するものがあります。
植林を下りなんとか下流から。
犬上発電所への水圧鉄管。
至る所でオールドダムの魅力を感じることができるダムです。
できれば河原に下りてすり鉢状の減勢工を至近で見てみたいものです。
追記
犬上川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに85万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
1351 犬上川ダム(0260)
滋賀県犬上郡多賀町萱原
淀川水系犬上川
AP
G
45メートル
135メートル
4500千㎥/3700千㎥
犬上川沿岸土地改良区
1946年
◎治水協定が締結されたダム
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