ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

五十里ダム

2018-04-26 15:39:00 | 栃木県
2015年10月03日 五十里ダム
2016年12月10日 
2018年 5月 6日
 
五十里ダムは栃木県日光市川治温泉川治の利根川水系鬼怒川左支流男鹿川にある多目的重力式コンクリートダムです。
利根川水系最大支流の鬼怒川は『鬼が怒る』という名が示すように有史以来多数の洪水被害をもたらし、とくに川治温泉で鬼怒川に合流する支流の男鹿川の治水こそが鬼怒川本流の治水のカギを握るとされてきました。
 
男鹿川では内務省直轄の河水統制事業として1941年(昭和16年)より湯西川との合流点にロックフィルダム建設が着手されますが戦争激化で中断。戦後事業を引き継いだ建設省はより地盤が強固な鬼怒川と男鹿川合流点直上への重力式コンクリートダム建設を進め1956年(昭和31年)に五十里ダムが完成しました。
堤高112メートルは当時としては日本最高を誇っていました。
その後1966年(昭和41年)に鬼怒川最上流部に川俣ダム、1983年(昭和58年)に男鹿川合流点直上に川治ダム、2012年(平成24年)に男鹿川右支流湯西川に湯西川ダムが完成し、鬼怒川の治水能力は大きく向上しました。
また堤高100メートル以上の巨大ダムが近接する日本屈指の巨大ダム密集地帯となっています。
五十里ダムは五十里ダムは特定多目的ダム法制定以前に竣工している兼用工作物多目的ダムで、他の3ダムとともに国交省関東地方整備局鬼怒川ダム統合管理事務所により一括管理され4ダム連携のもと鬼怒川の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、栃木県企業局川治第1発電所での最大1万5300キロワットのダム水路式発電を目的としています。
 
五十里ダムでは2002年(平成14年)に上流の湯西川運用開始に備えて新たにコンジット放流ゲート2門が増設され、2005年(平成17年)には五十里ダム湖と川治ダム湖である八汐湖の間で連絡トンネルが開削され両ダム一体運用が可能となりました。
さらに2018年(平成30年)完成をめどに五十里ダム堰堤改良事業が行われており選択取水設備の新設と利水放流設備の整備、河川維持放流を利用した水力発電所の増設工事が進められています。
五十里ダムは1950年代を代表する巨大ダムとして日本ダム協会により『日本100ダム』に選定されています。
 
川治温泉から国道121号を北上、九十九折れを登り切ると五十里ダムが見えてきます。
国道121号線沿いの樹木が落葉し、樹間から五十里ダムを見ることができます(2016年12月10日)。
 
クレストの3門のローラーゲートをズームアップ(2016年12月10日)。
 
コンジットから放流されています
このコンジットゲートは日本最初のコンジットゲートといわれています(2016年12月10日)。
 
右岸展望台駐車場から(2016年12月10日)。
 
右岸から上流面。
手前に増設されたコンジットゲートの予備ゲートが2門(2016年12月10日)。
 
ダム湖(五十里湖)
9月の豪雨の影響でまだ水が濁っています。
 
天端(2016年12月10日)。
 
減勢工
右岸の二つの建屋は追加されたコンジットゲートの放流口です。
 
(2016年12月10日)。
 
天端はゲート部分だけクランクしています。
 
ローラーゲート 
 
五十里ダムでは2018年(平成30年)完成をめどに五十里ダム堰堤改良事業が行われています。
同事業では選択取水設備の新設と利水放流設備の整備、河川維持放流を利用した水力発電所の増設が行われます。
選択取水設備の増設工事。
(2018年5月6日)
 
(2018年5月6日)
 
追記
五十里ダムには最大3480万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに1355万4000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0559 五十里ダム(0002)
栃木県日光市川治温泉川治
利根川水系男鹿川
FNP
112メートル
267メートル
55000㎥/46000㎥
国交省関東地方整備局
1956年
◎治水協定が締結されたダム


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