ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

山須原ダム(元)

2021-10-28 08:23:24 | 宮崎県
2021年10月18日 山須原ダム(元)
 
山須原ダム(元)は左岸が宮崎県東臼杵郡諸塚村家代、右岸が同郡美郷町西郷三ヶの二級河川耳川にある九州電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
宮崎県は主要河川がいずれも包蔵水力豊富なことから戦前から活発な電源開発が進められてきました。
耳川水系では九州送電(株)による電源開発が進められ、1929年(昭和4年)の西郷ダム・田代発電所(現西郷発電所)、に次いで、1931年(昭和6年)に竣工したのが山須原ダム(元)です。
ここで取水された水は山須原発電所に導水され最大4万1000キロワットのダム水路発電を行います。
当ダムを始めとした耳川水系の発電施設は日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編により九州電力が事業継承しました。
同社は戦後の電力需要増加に対応して1960年(昭和35年)に耳川左支流柳原川に新たに諸塚ダムを建設、同ダムを上部ダム、当ダムを下部ダムとする同社初の揚水式発電所である諸塚発電所(最大出力5万キロワット)を完成させました。
完成当初は揚水発電としては日本最大出力を誇り、豊水期に一般水力、渇水期に日周期の揚水式発電を行う混合揚水式発電所となっています。
 
しかし2005年(平成17年)の台風14号により耳川水系では大量の土砂が河川および貯水池に堆積し、流域の浸水リスクが高まるとともに河川環境の悪化が危惧されました。
これを受け県・九州電力などは耳川の『総合土砂管理』に取りかかり、西郷ダムおよび山須原ダムの『通砂運用』機能付加のための再開発事業に着手します。
事業は2011年(平成23年)に着工され、2018年(平成30年)にまず西郷ダム(再)が誕生、当ダムの再開発も2022年度中に竣工予定です。
再開発事業では、台風などの出水時にダムの水位を下げることで貯水池を本来の川のような状態に近づけ、上流から流下する土砂を下流へ通過させる『通砂運用』を可能にするため、ダムの一部が切り下げられ新たに大型洪水吐ゲートが設置されます。

国道327号線諸塚トンネル手前から山須原ダムを遠望できます。
 
ズームアップしますが、ダムの一部が見えるのみ。
 
場所を変えると、再開発で堤体を切り下げ新たに設置された大型ラジアルゲートが見えました。
 
工事中のため、天端への立ち入りはできません。
中央の大型ゲートを挟んで左右に3門ずつラジアルゲートを備えます。
堤体直上には戦後増設された第二取水口が隣接します。
 
第二取水口をズームアップ。
 
こちらは1931年(昭和6年)の第一取水口。
 
再開発事業は2022年(令和4年)に竣工予定です。
西郷ダム(再)では新たにダム展望広場が設置されましたが、山須原ダムでもぜひ同様の施設が設置されることを期待します。

2807 山須原ダム(元)(1723)
左岸 宮崎県東臼杵郡諸塚村家代
右岸      同郡美郷町西郷山三ヶ
耳川水系耳川
29.4メートル
91.1メートル
4194千㎥/1261千㎥
九州電力(株)
1931年
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3672 山須原ダム(再)
左岸 宮崎県東臼杵郡諸塚村家代
右岸      同郡美郷町西郷山三ヶ
耳川水系耳川
29.4メートル
91.1メートル
4194千㎥/1261千㎥
九州電力(株)
2011年~
2022年 再開発事業竣工予定


2 コメント

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Unknown (佐之(さゆき))
2021-11-02 10:44:02
雑木林で見え隠れしているとはステキですね( *´艸`)
かつてはアーチ式の迫力に魅力を感じてダム好きになったのですが最近は周囲の自然と融合しているような重力式の良さにも目を向けております。
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Unknown (match1128)
2021-11-04 10:30:21
佐之さま、多くのダムを回っていると大小、有名無名にかかわらずどのダムにも魅力を感じ(時には欠点も)ます。
最初はスルーしていた溜池も、今は大好物です。
百のダムに百の魅力ありですね。
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