ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大谷池

2018-04-12 12:26:47 | 愛媛県
2018年3月25日 大谷池
 
大谷池は左岸が愛媛県伊予市上三谷、右岸が愛媛県伊予郡砥部町七折の大谷川本流上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大谷川下流域は天井川のため干ばつや洪水被害が頻発していました。
1925年(大正14年)に中、当時南伊予村村長であった武智惣五郎は私財を投じて耕地整理組合を設立し、大谷池築造事業に着手しました。
その後事業は県営に移管されますが、地盤の脆さや台風被害、さらには戦争突入による資金・人員不足の中、村民・組合員の奉仕的働により終戦間際の1945年(昭和20年)3月にようやく大谷池は完成し、流域住民の悲願が達成されました。
1967年(昭和42年)から道前道後平野農業水利事業からの補給がスタート、2000年(平成12年)~2005年(平成17年)にかけての県営ため池等整備事業により大規模改修が行われ現在に至っています。
管理は大谷池土地改良区が行い838ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
大谷池は総貯水容量175万9000立米と愛媛県内最大のため池で2010年(平成22年)には農水省のため池百選に選ばれています。
一方で、大谷池は松山周辺では知らぬものがないほどのミステリースポットとなっています。この根拠は定かではありませんが、築堤に際して多数の殉職者を出していることが主因ではないかと推察されます。
 
ダム下は工事のため立ち入りできませんでした。
 
下流面
堤高39メートル、堤頂長190メートルとアースダムとしては立派な堤体です。
 
右岸ダムサイトには10基近い記念碑や顕彰碑が並びます。
手前は池建設に尽力した武智惣五郎氏の顕彰碑。
 
右岸にある斜樋の操作室
六角形の洒落た建屋です。
 
総貯水容量179万立米は県下溜池としては最大。
この日は黄砂の影響もあり猛烈な春霞、こんな写真しか撮れませんでした。
 
天端は車両通行可。
 
左岸の洪水吐導流部。
 
横越流式洪水吐。
 
上流面は石で護岸されています。
 
左岸には築堤殉職者供養のための社と供養塔があります。
これがミステリースポットになった主因か?
 
池完成までに幾多の困難を乗り越えた大谷池、なによりも10基近い記念碑や顕彰碑が先人たちへの感謝と悲願達成の喜びを物語っていると思います。
一方で中予では知らぬものがないといわれるミステリースポット。それはそれで悪くはないかと思います。
なお天端から微かに海が見えるようですがこの日は猛烈な霞みのため確認できず、よって海が見えるダム認定は保留とします。
 
2237 大谷池(1305)
ため池コード
ため池百選
左岸 愛媛県伊予市上三谷
右岸 愛媛県伊予郡砥部町七折
大谷川水系大谷川
37メートル
190メートル
1759千㎥/1759千㎥
大谷池土地改良区
1944年


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