2022年10月24日 素波里ダム
素波里(すばり)ダムは秋田県山本郡藤里町粕毛の一級河川米代川水系粕毛川にある秋田県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1963年(昭和38年)7月豪雨による粕毛川流域での甚大な洪水被害を受け秋田県は粕毛川へのダム建設を決定、これに総合農地開発事業能代地区を進めていた農林省(現農水省)と発電事業者として秋田県企業局(現秋田県公営企業)が事業参加し1970年(昭和45年)に竣工したのが素波里ダムです。
素波里ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、粕毛川の洪水調節、米代川河口左岸の秋田県能代地区土地改良区への特定灌漑用水の供給、秋田県公営企業素波里発電所(最大6300キロワット)でのダム式発電を目的としています。
秋田県能代市二ツ井の国道7号から粕毛川沿いの県道322号を約16キロ北上すると素波里ダムに到着します。
まずはダム下の県公営企業素波里発電所へ
向って左は粕毛川右支流不動滝川で、右手が発電所の放流口となります。
ダムサイトに向かう途中、眼下に素波里発電所が見えます。
減勢工から地山を挟んだ右岸側にあります。
残念ながらダムを下流から正対できるポイントはなく、これが精いっぱい。
クレストラジアルゲート2門のほか放流管1条を装備しています。
右岸管理事務所前に展示された約2000万年前の化石が入った玉髄。
右岸から
灌漑用のヒンジ式表面取水設備。
中段の赤い部分が表面取水口で斜めの管を通して堤体下部より放流します。
実は斜めの管は『く』の字型に折れ曲がっておりこれにより取水口を上下させます。
ヒンジ型の取水口は全国に複数例見られますが、このタイプは他では見たことがありません。
パンフレットの断面図
当ダムのヒンジ型取水設備の仕組みがよくわかります。
こちらはダム湖右岸側にある発電用の選択取水設備。
親柱に嵌め込まれた銘板。
ゲート越しの洪水吐導流部
2門のラジアルゲートのうち、左岸側はフラッシュボードがついていますが河川法の改正で使用することがなくなったためか?溶接されています。
ダム建設地点は江戸時代より風光明媚な渓谷として知られ、ダム下流には菅江真澄の碑もあります。
洪水吐減勢工は岩盤上に設置されジャンプ台となっています。
このジャンプ台の下に放流管があります。
ヒンジ式取水設備
中央の赤い部分が表面取水口。
左岸から
貯水池の素波里湖は総貯水容量4250万立米
7月の豪雨の影響でまだ濁ったまま。
ダムの下流にある素波里頭首工
フラップゲートが並び左手(右岸)に取水口があります。
国営能代地区総合農地開発事業により建設され、当初は3670ヘクタール、現在は受益農地の減少で2459ヘクタールの水田・畑地に灌漑用水を供給しています。
(追記)
素波里ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
0382 素波里ダム(1907)
秋田県山本郡藤里町粕毛
米代川水系粕毛川
FAP
G
72メートル
142メートル
42500千㎥/39500千㎥
秋田県建設部
1970年
◎治水協定が締結されたダム
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