ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

丸山溜池(千代田湖)

2020-06-26 16:00:00 | 山梨県
2016年2月27日 丸山溜池(千代田湖)
2020年6月23日
 
丸山溜池は山梨県甲府市下帯那町の富士川水系荒川左支流帯那川上流部にある農地防災および灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によればもともと荒川沿岸には30余カ所の灌漑用取水堰が設けられていましたが、1930年(昭和5年)に甲府市が上水道事業拡張目的のため荒川からの取水量増大を決めた際、既得取水権としての灌漑用取水に棄損が生じることへの補償として国の補助を受けた県営農業水利改良事業が採択され丸山溜池及び後沢溜池の建設が決定しました。
丸山溜池は1937年(昭和12年)に竣工し、総貯水容量145万立米は県営ダム事業が開始される昭和40年代まで人工貯水池としては山梨県内最大を誇っていました。
運用開始後は受益者で組織された荒川沿岸用水利用組合が管理を行い、現在は約1600ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
その後1988年(昭和63年)の改修でダムの目的に洪水調節(農地防災)機能が付加され新たに37万立米の洪水調節容量が設定されました。
丸山溜池は本堤のほか針原副堤及び丸山副堤の2基の副堤がありますが、いずれも堤高が15メートル未満のためダムの要件を満たしていません。
 
丸山溜池はボートや釣りなどのレジャー施設が整備され、とりわけ県内有数のヘラブナ釣りスポットとして多くの釣り客の人気を集めています。
ただ正式名称の丸山溜池よりも通称の『千代田湖』の方が認知度が高く、道路マップや観光ガイドでも千代田湖と表記されており、地元でも『丸山溜池』と聞いても首をかしげる方が大半です。
 
丸山溜池には2016年(平成28年)2月に初めて訪問、2020年(令和2年)6月に再訪しました。
甲府市街から県道104号を北上、和田峠を越えると丸山溜池に到着します。
下流から遠望
145万立米の貯水池を支えるには意外に小ぶりな堤体。
基部はコンクリートブロックの擁壁です。
 
2度目の訪問で
前回訪問時は綺麗に耕されていた下流の水田は休耕になったのか、草が繁茂しています。
(2020年6月23日)
 
洪水吐からのトンネル式導流部
写真では分かりづらいですが『丸山隧道』と書かれています。
(2020年6月23日)
 
下流面
秋に草刈りが行われたようで、非常にすっきりした下流面となっています。
 
天端は貯水池を周回する道路が通っており、車両も通行可能。
(2020年6月23日)
 
上流面
草が生えているのでわかりづらいですが、石張りのようです。
 
天端から
初回訪問時はダム下の水田も綺麗に耕されていました。
遠方の山は昇仙峡です。
 
総貯水容量145万立米と灌漑用溜池としては大規模で、事実昭和40年代までは山梨県内では最大の人工貯水池でした。
県内有数のヘラブナ釣りスポットとして釣り客の人気を集めており、この日も多くの釣り師が糸を垂れていました。
 
右岸の横越流式洪水吐
導水路はトンネル式で、流下した水は3枚目の写真のトンネル出口へと向かいます。
(2020年6月23日)
 
対岸から斜樋と洪水吐を遠望
(2020年6月23日)
 
上流から堤体と斜樋、洪水吐を遠望
(2020年6月23日)
 
(追記)
丸山溜池には農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0963 丸山溜池(千代田湖)(0242) 
ため池コード
山梨県甲府市下帯那町
富士川水系帯那川
FA
19メートル
89メートル
1450千㎥/1398千㎥
荒川沿岸用水利用組合        
1937年竣工
1988年改修
◎治水協定が締結されたダム


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