ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

笹流ダム

2018-10-02 12:18:43 | 北海道
2018年9月23日 笹流ダム
 
笹流ダムは北海道函館市陣川町の亀田川水系笹流川にある函館市企業局上下水道部が管理する上水道用水目的のバットレスダムです。
函館市水道事業は横浜市に次ぐ我が国2番目の近代水道として1889年(明治22年)に創設されました。
水道整備に伴い事業の拡張が行われ函館初の本格的水源として1923年(大正12年)に竣工したのが笹流ダムです。
ダム建設に際してはアースダムや重力式コンクリートダムよりもコストが低く工期も短いバットレス方式が採用され、日本最初のバットレスダムとして完成しました。
1949年(昭和24年)と1984年(昭和59年)の二度の改修で梁や扶壁の強化が行われたことで、竣工当時の姿とは大きく変わりましたが、その土木技術的価値や函館の近代化への貢献などを評価して土木学会選奨土木遺産、Aランクの近代土木遺産、近代化産業遺産、近代水道百選、ダム湖百選、さらに日本100ダムに選定されており、日本を代表するビンテージダムの一つとなっています。
 
現在も現役の水源として活躍する一方、ダム下は笹流ダム前庭公園として整備され函館市民の憩いの場となっています。
広場を進むとバットレスの堤体が見えてきます。
選奨土木遺産のプレート。
 
笹流ダムの石碑とともに。
 
白い堤体が青空に映えます。
 
堤高25.3メートル、堤頂長199.3メートルは他のバットレスの追随を許さないスケール。
改修により梁と扶壁が肉付け強化され、他のバットレスダムとは異質の独特のスタイルになりました。
 
ダムというよりもビルの様です。
 
下流面はほぼ垂直です。
 
端正に並ぶ格子状の堤体は人工美の極限と言っても過言ではありません。
 
 
天端から前庭公園を見下ろします。
 
天端は非常に薄くなっています。
この日は水位が非常に高かったのでわかりませんが、上流面には結構な傾斜がついています。
バットレスダムは荷重が軽いため、上流面に傾斜をつけ水圧を利用してバランスをとっています。
 
笹流貯水池は総貯水容量60万6000立米
ダム湖百選に選ばれています。
笹流川だけでは十分な集水ができず、亀田川からの導水路で補給を受けています。
 
右岸洪水吐
洪水吐を見たかったのですが残念ながら立ち入り禁止で叶わず
洪水吐導流部はトンネル式です。
 
改修によって竣工当時とは異なりずいぶん骨太のバットレスになったようですが、それでも青空に映える白亜の堤体は美しいの一言。
上流の新中野ダム下公園に笹流ダムのミニチュアがあるのでこれも必見です。
 
0014 笹流ダム(1379)
亀田川水系笹流川
25.3メートル
199.3メートル
606千㎥/576千㎥
1923年
函館市企業局上下水道部


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