ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大久保山ダム

2018-04-19 00:54:01 | 愛媛県
2018年3月27日 大久保山ダム
 
大久保山ダムは愛媛県南宇和郡愛南町緑甲の僧都川水系大久保川源流部にある灌漑・上水道用水目的のアースフィルダムです。
愛南町が位置する南予地区は瀬戸内沿岸に比べれば降水量は多いものの降雨は夏季に集中し、また大河がなくリアス式海岸が続くという地理的特性から沿岸部を中心に慢性的な水不足に悩まされてきました。
特に1967年(昭和42年)の大干ばつは7月上旬から90日も雨がないという苛烈なもので、一帯農家はもちろん上水道でも断水が続き甚大な被害をもたらしました。
この事態を受け、愛媛県は農水省の補助を受けたかんがい排水事業を採択し灌漑目的のダム建設を決定、さらにこの事業に当時の御荘町・一本松町・西海町によって設立された南宇和上水道企業団(現愛南町水道課)が事業参加し1979年(昭和54年)に竣工したのが大久保山ダムです。
大久保山ダムはかんがい排水事業に合わせて設立された大久保山土地改良区向けの灌漑用水、当時の御荘町・城辺町・一本松町・西海町によって設立された南宇和上水道企業団(現愛南町水道課)向けの上水道用水の水源となっています。
なお大久保山ダムの堤高55.8メートルはアースダムとしては熊本県の清願寺ダムに次いで全国第2位の高さを誇るとともに、洪水吐導流部は全長425メートルと全国のフィルダムの中でも屈指の長さとなっています。
 
愛南町中心部から県道64号を北上すると、梶郷上集落に大久保山ダムを示す小さな案内板があります。
これに従って右手の枝道に入り大久保川沿いの隘路を3キロほど進むと左手に大久保山ダムの大きな下流面が見えてきます。
堤高55.8メートルはアースダムとしては全国第2位の高さ。
 
左岸の洪水吐導流部
全長425メートルとこれまたビッグサイズ。
 
横越流式洪水吐。
 
 
上流面はロック材で護岸されています。
 
天端から下流面
谷間を埋める逆三角形で、途中に地山が残っています。
 
広い天端。
 
総貯水容量は75万立米。
正面に取水塔が見えます。
 
取水塔
管理橋はトラス。
 
上流から
貯水池周辺の桜が満開でした。
 
アースダムとしては日本第2位の高さを誇ります。
天端から見てもその高さは実感できましたが、できればダム下から見上げてみたいものです。
 
2270 大久保山ダム(1326)
愛媛県南宇和郡愛南町縁甲
僧都川水系大久保川
AW
55.8メートル
170メートル
750千㎥/700千㎥
大久保山土地改良区
1979年


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