ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

初瀬ダム

2018-04-16 15:40:47 | 高知県
2018年3月26日 初瀬ダム
 
初瀬(はつせ)ダムは高知県高岡郡梼原町の渡川(四万十川)水系梼原川にある四国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富で急流河川である梼原川では昭和初期から檮原水力電気(株)による電源開発が進められ、初瀬ダムも1937年(昭和12年)に同社によって建設されました。
しかし、檮原川流域の発電施設は電力統制令により日本発送電に接収され、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した四国電力が事業継承しました。
初瀬ダムで取水された水は約1500メートルの導水路で梼原第二発電所に送られ最大出力8000キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
梼原川沿いに県道26号線を南に進むと初瀬ダムに到着します。
竣工から80年経過した渋~いコンクリート、
中央の4門のラジアルゲートを挟んで左右両側は自由越流式洪水吐が2門ずつ、さらに左岸には魚道があります。
 
右岸の自由越流式洪水吐は高さの異なる二つの導流面が並びまるでラージヒルとノーマルヒルが並ぶジャンプ台のよう。
また側壁の練石積は竣工当時のものでしょう。
 
ゲートも竣工当時のものでしょうか?
扶壁上の階段も戦前らしいつくり。
 
天端には巻き上げ機が並びます。
対岸に管理所。
 
左岸の魚道
残念ながら水を流すのは遡上シーズンのみ。
 
艇庫も浮桟橋もなくロープで繋留されただけの巡視艇。
 
右岸から。
 
右岸側の自由越流面。
 
上流面
対岸に発電所への取水口があります。
 
上流から遠望
かなり堆砂が進んでいます。
 
戦前のダムは多数見てきましたが、初瀬ダムはその中でも特筆すべき渋いダム。
時代感あふれるコンクリートもさることながら、ラージヒルとノーマルヒルが並ぶような減勢工は余所では見れません。
 
追記
初瀬ダムは洪水調節容量のない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに75万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2302 初瀬ダム (1316)
高知県高岡郡梼原町佐渡
渡川水系檮原川
23メートル
112.5メートル
1454千㎥/1121千㎥
四国電力
1937年
◎治水協定が締結されたダム


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