2016年4月1日 千松ダム
千松ダムは岩手県一関市藤沢町大籠千松の北上川水系二股川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
岩手県最南端に位置する旧藤沢町は気候は温暖ながら標高100~500メートルの波状丘陵が続き、耕地は分散し農業の大半は零細経営を余儀なくされていました。
1982年(昭和57年)に農水省による国営農地開発事業藤沢地区が着手され、その灌漑用水源として1996年(平成8年)に相川ダムが、1998年(平成10年)に千松ダムが竣工しました。
事業全体も1998年に竣工し、約450ヘクタールの新規農地が開拓されるとともに既耕地約40ヘクタールの区画整理が進められました。
両ダムとも運用開始後は藤沢土地改良区が管理を受託しています。
ダムのある大籠地区はかつてたたら製鉄が盛んな地域でしたが、ダム名はこの地にたたら製鉄法を伝えたとされる千松兄弟の名に由来しています。
千松兄弟がキリシタンだったことから大籠地区ではキリシタン信者が増えましたが、その後の禁教令により多くの殉教者を出しました。
大籠地区にはキリシタン資料館が作られキリシタンの里として知られており、千松ダムの管理事務所や取水設備、揚水機場などもキリスト教の教会をイメージしたデザインで統一されています。
気仙沼市本吉から国道346具を西進、岩手県一関市に入り千松で市道を北上すると千松ダムに到着します。
まずは下流から
洪水吐はクレスト自由越流頂2門だけのいかにも小規模な農業用コンクリートダムと言った造り。
右岸から
管理施設や機械室、取水設備などはキリスト教の教会をイメージした青い屋根で統一されたデザインになっています。
天端は車両通行禁止。
天端高欄には藤の装飾
藤は旧藤沢町の町花でした。
減勢工と放流設備。
ダムの管理事務所。
教会をイメージしたデザイン。
ダム下流面。
上流面。
時間があればキリシタン資料館を見学したかったのですがまだ金越沢ダムと相川ダムが残っていたのでスルーしました。
追記
千松ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。
0271 千松ダム(0278)
岩手県一関市藤沢町大籠千松
北上川水系二股川
A
G
26.8メートル
111メートル
260千㎥/220千㎥
藤沢土地改良区
1998年
◎治水協定が締結されたダム
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