ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

三永貯水池堰堤

2017-05-11 13:28:54 | 広島県
2017年5月5日 三永貯水池堰堤
 
三永貯水池堰堤は広島県東広島市の黒瀬川水系三永川にある呉市上下水道局が管理する工業用水供給を目的とする曲線重力式コンクリートダムです。
呉市では1917年(大正6年)に本庄ダムが完成していましたが、これはあくまでも帝国海軍呉鎮守府の軍用水道水源として建設されたもので、一般水道の建設が待望されていました。
これを受け1938年(昭和13年)に着工され、1943年(昭和18年)に竣工したのが三永水源地堰堤で、戦中戦後を通じ長く呉市の貴重な上水道水源として活躍しました。しかし1970年代後半から太田川流域の土師ダムや温井ダムを水源とする広島水道用水供給事業がスタートしたことに伴い呉市の水源としての役割は終了、現在は東広島市八本松にある吉川工業団地に工業用水を供給しています。
 
三永貯水池堰堤本体はほぼ竣工当時の姿をとどめており、その歴史的、文化的価値から国の登録有形文化財に指定されているほかCランクの近代土木遺産、近代水道百選にも選定されています。 
三永貯水池および堰堤は上水道水源だったということで普段は立ち入りが制限されていますが、毎年藤の開花に合わせて2週間程度一般公開されています。
湖畔の藤棚は西日本一の規模といわれ、公開期間中には多くの人が貯水池を訪れるます。
今回はゴールデンウィークの真っただ中、子供の日の昼時の訪問となり15分ほど駐車場待ちを余儀なくされました。
 
ようやく車を止めて正門から貯水池へと向かいます。
 
貯水池右岸に園地が広がり、訪れた皆さんは芝にシートを広げたりお弁当を食べたりとくつろいでいます。
一方我が家は藤にも目もくれず堰堤へと一直線!!
ところで公園各所に設置されたベンチ?どう見ても堰堤の一部分を転用したもののようです。
 
 
ようやく堰堤が見えてきました。
大きなアーチと堰堤中央の丸い取水設備という構図は兄貴分の本庄ダムとそっくりです。
 
堤体も本庄ダムと同じ曲線重力式。
 
天端高覧にはアーチ状の装飾が施されています。
 
下流面
本庄ダムとの最大の違いは石張りではない点
本庄ダムの竣工から遅れること25年、既にコンクリートダムの技術が確立しています。
この先左岸には洪水吐もありますが残念ながら望むことは叶いません。
 
貯水池中央の水神と円形の取水設備も本庄ダムと同じ構図。
 
貯水池右岸上流に水路があります。
 
実はこれ黒瀬川からの導水路です。
三永川だけでは貯水量を賄えないようで、黒瀬川からも導水しています。
 
本庄ダムとは異なり堤体に接近して見学することはできません。
警備の方の話では過去に子供の転落事故があり、以来公開期間中でも堤体への立ち入りは制限しているようです。
 
S503 三永貯水池堰堤(0967)
登録有形文化財
近代土木遺産Cランク
近代水道百選
黒瀬川水系三永川
14.2メートル
100メートル
呉市上下水道局
1943年
◎治水協定が締結されたダム


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