ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

木之川内ダム

2021-10-25 16:14:04 | 宮崎県
2021年10月17日 木之川内ダム
 
木之川内(このかわうち)ダムは宮崎県都城市山田町山田の大淀川水系木之川内川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
都城盆地は広く霧島の火山堆積物で形成され、透水性が高く水利に乏しいため零細な畑作営農を余儀なくされていました。
1987年(昭和62年)に農水省による国営都城盆地かんがい排水事業が着手され、その灌漑用水源として2009年(平成21年)に完成したのが木之川内ダムです。
事業全体も2012年(平成24年)に完了し約4000ヘクタールに及ぶ畑地の灌漑設備が整備され農業経営の大規模化や採算性向上が図られています。
管理は都城市が受託しています。
 
県道42号都城野尻線に木之川内ダムを示す案内板があり、これに従うとダムに到着します。
下流から
堤体越しに霧島連峰の高千穂峰が頭を出しています。

 
左岸から下流面
堤高64.3メートル、堤頂長409.7メートルと西日本の農業用ロックフィルダムとしては相当のスケール。 
完成から10年ちょっとしかたっていないのにリップラップにはかなりの草が生えているのはちょっと残念。

天端は徒歩のみ開放。

 
ダムサイトの水利使用標識
流域面積23.5平方キロのうち8割弱の18.4平方キロが水利権のある庄内川からの導水に依ります。
かんがい面積は4000ヘクタール弱の畑地で、年間を通して水利権が配分されています。

 
総貯水容量は627万立米
貯水池越しの高千穂峰は本当に絵になります。
この眺めが見たいがために、当ダムの訪問は快晴を選びました。

 
ズームアップ。

 
右岸から下流面
洪水吐導流部が長く伸びます。

 
減勢工と放流設備・調圧水槽
受益地への供給はパイプラインが使われます。

洪水吐。


横越流式洪水吐。
 

上流面。


左岸の管理事務所、斜樋。

 
洪水吐を上流側から
白い敷石が青空に映えます。

 
ダムからの高千穂峰の眺めは秀逸です。
これだけの眺望なら観光スポットとしての活用法もあるんじゃないかと思うんですが、農業用施設だけいろいろ問題があるのでしょう。
でも本当にいいダムです。
 
(追記)
木之川内ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2848 木之川内ダム(1715)
宮崎県都城市山田町山田
大淀川水系木之川内川
64.3メートル
409.7メートル
6270千㎥/6010千㎥
都城市
2009年
◎治水協定が締結されたダム


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