ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

相沼内ダム

2018-10-03 18:26:00 | 北海道

2018年9月24日 相沼内ダム

相沼内(あいぬまない)ダムは北海道二海郡八雲町熊石泉岱の相沼内川上流部にある北海道電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
明治以降道南の中心として発展した函館では大正時代に入り函館水電を中心に発電事業が展開され、同社は発電のほか路面電車、バス事業をにも事業展開しました。
相沼内ダムはもともと個人が自家用として建設したものを函館水電が買収して再開発を試みますが、貯水池からの漏水が激しくダムは未完のまま1930年(昭和5年)に使用許可が下りました。
1942年(昭和17年)の電力統制令により日本発送電に接収されたのち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により北海道電力がダムと発電所を継承しています。
相沼内ダムで取水された水は水圧鉄管で相沼内ダムへ送水され認可出力2000キロワット、常時出力300キロワットでダム水路式発電を行っています。
 
相沼内ダム最大の特徴は階段状の下流面です。不規則に積み上げられた積み木細工のような堤体は、再開発事業の中断という経緯を知らなければ不可思議以外の何物でもありません。
戦前の貴重なダムであり、その特異な形状を評価してBランクの近代土木遺産に選定されています。
 
ダムへの道はダートの荒れた林道です。
きつい登りを進むと水圧鉄管が現れます。
 
足元を見下ろすと発電所に続く水圧鉄管が遥か下方に続いています。
 
 
水圧鉄管を過ぎるとようやく相沼内ダムに到着します。
 
ダムへの道は門扉で閉ざされており、ダム直下に架かる橋から見学するのみ。
 
ダムとしては異形とも言える階段状の下流面
 
テオティワカンのアステカのピラミッドか、それとも不規則に積み上げられたレゴ作品か?
いずれにしてもこんなダムは初めてです。
 
 
アングルを変えて
 
 
再開発事業ではもっと堤高を高くする予定でしたが、貯水池からの漏水が激しいためこの高さでダムの建設を中止したようです。
意図して階段状にしたのではなく、結果としてこうなったというのが実情のようです。
 
0086 相沼内ダム (1383)
北海道二海郡八雲町熊石泉岱
相沼内川水系相沼内川
25.3メートル
90.9メートル
758千㎥/739千㎥
北海道電力
1930年


コメントを投稿