ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

萱瀬ダム(再)

2019-05-28 14:15:08 | 長崎県
2019年5月23日 萱瀬ダム(再)
 
萱瀬(かやぜ)ダムは長崎県大村市黒木町の郡川水系郡川上流部にある長崎県営の土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1957年(昭和32年)7月豪雨により大村市街で甚大な被害が発生したことを受け、長崎県初の多目的ダムとして1961年(昭和36年)に萱瀬ダム(元)が完成しました。
しかしその後も2度にわたり計画洪水を上回る豪雨に見舞われたほか、長崎空港開港に伴う上水道用水需要の増加への対応から萱瀬ダム嵩上げ再開発事業が着手され、2000年(平成12年)に萱瀬ダム(再)が竣工しました。
再開発により堤高は51メートルから65.5メートルに嵩上げされ、総貯水容量は303万立米から681万立米へと2倍以上に拡大しました。
萱瀬ダム(再)は現在でも長崎県で最も堤高が高いダムとなっています。
萱瀬ダムは郡川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、大村市及び長崎市への上水道用水の供給を目的としています。
 
萱瀬ダム(再)は国道444号線沿いにあり大村市街から佐賀県鹿島方面に進むとダムに到着します。
ダム下は公園になっていますが、草が茂りかなり荒れ気味。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート10門、常用洪水吐として自由調節式オリフィスゲート2門を備えています。
 
右岸の国道から
再開発により堤高が14.5メートル嵩上げされました。
旧ダムの高さは今のオリフィスの下あたりになります。
 
 
右岸ダムサイトにある竣工記念碑
文字は金箔です。
 
上流面
多良岳一帯は成層火山でダムサイトには安山岩の岩峰が並びます。
 
天端から減勢工
副ダムの下流は河床に石が敷かれています。
左右両岸に建屋が見えますが、右手は放流設備、左手は長崎市向けの上水道用水送水設備ののようです。
 
総貯水容量681万立米のダム湖に名前はありません。
上流には独特の容貌をした多良岳主峰群が並びます。
 
左岸の取水設備。
 
左岸から下流面
左右両岸に堤趾導流壁があります
正面の建物は管理事務所ですが職員は常駐しません。
 
天端は車両通行可能で車でダム湖を一周できます。
 
上流から。
 
(追記)
萱瀬ダム(再)には洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。  

2640 萱瀬ダム(元) 
長崎県大村市黒木町
郡川水系郡川
FW
51メートル
180メートル
3030千㎥/2630千㎥
長崎県土木部
1961年
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2645 萱瀬ダム(再)(1431)
長崎県大村市黒木町
郡川水系郡川
FNW
65.5メートル
240メートル
6810千㎥/5940千㎥
長崎県土木部
1961年 旧ダム竣工
2000年 再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム


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