ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

葛野川ダム

2018-12-31 00:54:11 | 山梨県
2018年12月24日 葛野川ダム
 
葛野川ダムは山梨県大月市の相模川水系土室川源流部にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
首都圏への人口集中や東京湾臨海部への工場集積を受け電力需要のピークが急上昇を続けていた東京電力も1980年代より積極的に純揚水発電所建設を進め、同電力4番目の純揚水発電所として1999年(平成11年)に葛野川発電所が建設されました。
葛野川ダムは同発電所の下部調整池として同年竣工し、上部調整池である上日川ダムとの有効落差714メートルを利用して最大120万キロワットの揚水式発電を行っています。
この有効落差は国内水力発電としては最大です、また上日川ダムは富士川水系、葛野川ダムは相模川水系となっており、水系を超えた河川同士での揚水式発電となっています。 
 
かつては国道139号線から葛野川ダム左岸へと通じる管理道路を使い天端の見学が可能でしたが、2014年(平成26年)の松姫トンネル開通により天端へ続く道路は通行禁止となり、葛野川ダムは『到達できないダム』という認識でした。
しかし、その後ダム便覧フォトアーカイブにダム下からの写真が投稿され、調べてみるとダム下へと通じる山梨県営林道葛野川線は徒歩での通行が可能であるとわかり今回訪問することにしました。
 
国道139号線の深城トンネル北出口の先に林道葛野川線のゲートがあります。
路肩に車を止めてゲートから歩くこと約15分で正面に葛野川ダムが現れます。
 
冬枯れのおかげでダムの全景が拝めますが、夏場は視界が遮られるかもしれません。
一方で堤体下半分が影となり、ちょっと露出が難しい写真となりました。 
非常用洪水吐としてクレストに2門のローラーゲート、常用洪水吐としてオリフィスゲートが1門
さらにダム下右岸には河川維持放流を利用した東京電力土室川発電所があり最大350キロワットの小水力発電を行っています。
 
クレストゲートをズームアップ
導流壁が途中から外側にずれる珍しい形です。
 
(追記)
葛野川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
3107 葛野川ダム(1428)
山梨県大月市七保町
相模川水系土室川
105.2メートル
263.5メートル
11500千㎥/8300千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1999年
◎治水協定が締結されたダム


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