2024年4月25日 大倉ダム『ダム研見学会』
昨年8月に日本ダム協会よりダムマイスターを拝命以降、フェイスブックの勉強会グループ『ダム研』メンバーを中心に平均月1回ペースで見学会を開催してきました。
ゴールデンウィークに休みが取れない代休として4月25~27日に2泊3日で宮城・福島のダム歴訪を計画し、その中で宮城の大倉ダム、福島の新宮川ダムと大川ダムの3基のダムで職員様同行による見学が叶いました。
ここではまず宮城県土木が管理する大倉ダム見学の詳細を紹介したいと思います。
大倉ダムについての詳細は『大倉ダム』の項をご覧ください。
2024年(令和6年)4月25日、午前中に鳴子ダムのすだれ放流を見た後約束の午後1時前に大倉ダム右岸ダムサイトにある管理事務所前に集合。
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今回ダムを案内、解説していただくのは大倉ダム管理事務所の技術次長様、技術主幹のお二人です。
管理事務所内で簡単なレクチャーを受けた後見学開始。
まずはダム操作室。
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操作盤はパソコンを使った最新のものに置換されていますが、古いダムコンも残っています。
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管理事務所内に掲示された完成直後の写真
当時は中央のスラストブロック(人工アバット)上に管理事務所がありました。
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建設中の貴重な写真も残っています。
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ダムの上流には名刹『定義如来 西方寺』があります。
こちらは大正期の観光絵図でダム地点は西方寺参詣途中の風光明媚な渓谷だったようです。
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管理事務所からダムの天端へ移動します。
ダム右岸の大倉ダムバス停。赤が鮮やか。
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上流面
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同じく右岸側のアーチ堤体下流面。
右奥がスラストブロック。
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アーチ堤体とスラストブロックの間にはくびれがあります。
スラストブロックは堤体を面というよりは点で支えている感じ。
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左岸側のアーチ堤体下流面。
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クレストはローラーゲート4門でゲートピアは鉄骨製。
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減勢工。
手前には非常用放流バルブ、奥には左岸農業用取水管があります。
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非常用放流バルブをズームアップ
大倉ダムでは利水放流や水位低下放流は発電所経由で行われますが、発電所の点検や改修際にこのバルブが使用されます。
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天端は県道55号線
交通量の多い土日祝日は時計回りの一方通行となります。
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ダム建設地点周辺は全幅200メートル程度の渓谷ですが、左岸側が深く浸食され大倉川の流路になり右岸側は河岸段丘となっています。
下流にアーチ型の副ダムがあり、右手段丘上はダム下公園です。
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左岸から見たスラストブロック
アーチ堤体との接続点にくびれがあるのが分かります。
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ゲートピア横には艇庫があります。
格納された巡視艇。
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超広角で左岸アーチ堤体下流面。
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24ミリで。
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先述の非常用放流バルブ。
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こちらは左岸農業用水取水管
広瀬川沿岸の仙台市大倉川土地改良区に専用水路で灌漑用水を供給します。
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左岸農業用水の水利使用標識。
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東北電力大倉発電所の取水口
昭和30年代ということで大掛かりな取水設備になっています。
主要な利水のほか、水位低下放流などもここを経由して行われます。
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発電所の水利使用標識。
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アーチ堤体と接続する県道55号線の橋梁
地震等の際に堤体に圧力がかかるのを防ぐため、ダム側は橋台に乗っているだけ。
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車でダム下に移動します。
ダムの下流400メートル地点にある東北電力大倉発電所
もともと当地には水路式の旧大倉発電所がありましたがダム建設で水没するため新たな発電所に置換されました。
最大出力は5200キロワットでダムに発電容量はなく利水従属発電となります。
この発電所からの放流水が下流で灌漑・上水・工水として利用されます。
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左右二つのアーチ堤体を支えるスラストブロック。
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洪水吐を備えた左岸側のアーチ堤体。
手前にはダムカード風の写真フレーム。
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ダム手前にはフェンスがあり一般の見学はここまで。
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フレーム越しに。
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ゲートをズームアップ。
例年ゴールデンウィーク前のこの時期は融雪放流が見られるのですが・・・・
今年は記録的な少雪の影響で放流はなし。
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もう少しダムに接近して見たかったのですが、見学はここまで。
最後に記念写真。
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見学会といってもといっても見学コースは一般の見学とほぼ変わりません。
でも常時職員様随行ということで逐次解説を聞きながらの見学は内容が濃く、参加者一同全国でたった一つしかないダブルアーチを堪能しました。
翌日は福島県の新宮川ダムと大川ダム見学のダブルヘッダーに加えて、鶴沼川防災ダム群取材見学という過密日程です。
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