2021年10月19日 日南ダム
日南ダムは宮崎県日南市酒谷甲の広渡川水系酒谷川にある宮崎県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受け、酒谷川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給を目的とした補助治水ダムとして1984年(昭和59年)に竣工しました。
2016年(平成28年)に河川維持放流を利用した宮崎県企業局酒谷発電所(最大520キロワット)が稼働しました。
利水従属発電になりますが、これにより宮崎県ではダムの目的を『FN』から『FNP』に、治水ダムから多目的ダムに変更しており当ブログでもこれに従うことにします。
下流から
一部樹木に隠れていますが、クレスト自由越流頂と自然調節式オリフィスを備えたよくあるゲートレスダムに見えます。
ダム下には2016年に完成した宮崎県企業局酒谷発電所
これにより治水ダムから多目的ダムに変更されました。
左岸高台、国道222号線日南ダム展望所から
ここから見るとダムの様相は一変します。
まず目につくのが右岸側の半円形越流式オリフィス。いわゆるダム穴風洪水吐
さらに上流側にせり出した左右両側のクレスト自由越流堤
滋賀の青土ダムも衝撃的ですが、それに引けを取らない『異形』のダムです。
直線の天端管理道路に対して、屈曲したクレスト越流頂や導流壁が立体交差。
こちらは半円形越流式オリフィス
越流部には振動防止のスポイラーが並びます。
いよいよダムサイトへ
ダムの説明板。
堤体左岸側は『逆Z字』に折れ曲がり『カド』になっています。
上流面
左岸クレスト越流頂は上流側にオフセット。
左岸は逆Z、右岸は円形と文字通りの左右非対称。
オリフィスの左手は取水ゲート。グリーンの予備ゲートが格納されています。
左岸導流部は減勢のために階段状になっています。
天端から減勢工。
右手は酒谷発電所
左手は低水放流用バルブ。
オリフィスは越流中
ダム湖は総貯水容量600万立米で細長く上流に続きます。
右岸から。
左右非対称かつ不規則に折れ曲がった堤体
上流にオフセットセットされたクレストとダム穴風オリフィス
訪問前から楽しみにしていたダムでしたが、生で見ると期待以上の衝撃。
惜しむらくは九州の最果てにあるため、知る人ぞ知る存在になっていること
もし首都圏近郊にあったなら、日本100ダム間違いなし。
2840 日南ダム(1732)
宮崎県日南市酒谷甲
広渡川水系酒谷川
FNP
G
47メートル
189メートル
6000千㎥/4640千㎥
宮崎県県土整備部
1984年
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