ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

鷹島ダム(鷹島海中ダム)

2019-05-31 01:03:44 | 長崎県
2019年5月24日 鷹島ダム(鷹島海中ダム)
 
鷹島ダムは長崎県松浦市鷹島町里免にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
鷹島は伊万里湾口に位置する面積約16平米強、人口約2000人弱の島で長崎県松浦市に属しています。
島内では漁業と農業が主産業となっていますが、目立った森林や河川がなく農業用水については天水に依存せざるを得ず、慢性的な水不足に悩まされてきました。
1986年(昭和61年)に農水省の補助を受けた県営畑地帯総合土地改良事業が着手され、その中核施設として1994年(平成6年)に竣工したのが鷹島ダム(鷹島海中ダム)です。
ダム建設に際して、島内にダム建設適地がなかったことから島東部の里免地区と神崎免地区に跨る入り江を入り江をダムで締め切り淡水化し灌漑用貯水池としました。
海中ダムの名の通り全国で唯一海中に建設されたダムとなっています。
運用開始後は当時の鷹島町が受託管理を行っていましたが、市町村合併に伴い現在は松浦市が管理を引き継ぎ、島内約300ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
2005年(平成17年)に日本で唯一の海中ダム貯水池ということを評価してダム湖百選に選定されました。
 
唐津市肥前町から鷹島肥前大橋で鷹島へと渡ります。同大橋は2009年(平成21年)供用開始の全長1251メートルの斜張橋です。
鷹島は長崎県松浦市に属しますが道路は佐賀県とだけ繋がっています。
 
島に入ると『鷹島海中ダム』を示す標識があり、これに従えばダムのある日比漁港に到着します。
入り江を締め切って建設されたダムは、洪水吐がなければ防波堤と区別がつきません。
 
陸上部分の高さは9.9メートルですが、基礎地盤となる海底からの堤高は29.9メートルでダムの要件を満たしています。
海面に接する部分は消波護岸となっています。
 
自由越流式洪水吐が2門。
 
減勢工は海です
下流面には鷹島の農地風景と古くから伝わる雨乞い神事の様子が描かれています。
 
ダム右岸にある金箔文字の竣工記念碑。
 
左岸から
このアングルで見ても背の高い防波堤にしか見えません。
 
天端から
ダム下は漁港。
 
貯水池はズバリ『淡水湖』
総貯水容量53万9000立米と離島の農業用貯水池としてはなかなかのサイズです。
 
隣接する揚水機場に置かれたダム湖百選のプレート。
 
天端は車道
対岸左手は揚水機場で、背後の台地上に広がる農地に揚水します。
 
上流面
クレストゲート2門と取水設備
こちらから見ると紛いないダム。
 
今回の佐賀、長崎遠征の目玉だった鷹島ダム。
日本で唯一の海中ダムにもかかわらず全国的ほとんど知られていないのが至極残念です。
アクセスは不便ですがぜひ多くの人に見ていただきたいダムです。 

3022 鷹島ダム(鷹島海中ダム)(1436) 
長崎県松浦市鷹島町神崎免
浦田比水路水系浦田比水路
29.9メートル
129メートル
539千㎥/460千㎥
松浦市
1994年


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