ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

富郷ダム

2018-04-10 10:24:38 | 愛媛県
2018年3月24日 富郷ダム
 
富郷ダムは愛媛県四国中央市富郷町津根山の吉野川水系銅山川上流部にある水資源機構が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1953年(昭和28年)の柳瀬ダム、1975年(昭和50年)の新宮ダムの完成により、銅山川から流域変更して愛媛県東部の宇摩地区へ導水する銅山川分水事業は一段落を迎えました。
しかし瀬戸内海臨海工業地帯の発展による水需要増加はなおも続き、さらなる水源確保が迫られることになります。
水資源開発公団(現水資源機構)は柳瀬ダム上流への新たな多目的ダム建設に着手し、2000年(平成12年)に竣工したのが富郷ダムです。
富郷ダムは水資源機構法による多目的ダムで、柳瀬ダム・新宮ダムと連携した銅山川及び吉野川中下流を対象とした洪水調節、四国中央市への上水道用水と工業用水の供給を目的とするほか、愛媛県公営企業局富郷発電所で利水従属発電を行っています。
 
下流から
堤高は106メートルで銅山川3ダム中最高を誇ります。 
 
右岸から
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲート4門、常用洪水吐としてオリフィスに高圧ラジアルゲート1門、コンジットに高圧ラジアルゲート2門を装備。
 
減勢工とエンドシル
対岸は左から利水放流用のジェットフローゲート、その右手は愛媛県公営企業局富郷発電所。
 
右岸の展望公園へと続く螺旋階段。
見た目はおしゃれですが実際に歩くとかなり傷みがひどく荒れています。
 
螺旋階段を登り切った展望台から。
 
天端の各建屋は柔和な四角形で統一され高さを抑えたすっきりとしたデザイン
扇型の管理事務所はなんだかリゾートホテルみたい。
 
天端から減勢工。
 
ダム湖の銅山湖は総貯水容量5200万立米で銅山川3ダム中断トツの規模。
 
天端は歩行者のみ通行可能
右岸斜面には水資源機構らしく富郷ダムの文字。
 
上流から
4門のラジアルゲートに挟まれてオリフィスおよびコンジットの予備ゲートが並んでいます。
 
建設省により『開かれたダム』に指定されたこともあり、環境整備はも素晴らしく居心地のいいダムです。
ただせっかくの公園整備も利用者が少ないようで、ダム下公園は立ち禁。右岸展望広場への螺旋階段も痛みが目立ち、こちらも早晩立ち入り禁止になりそう。
人里離れた山中のダム故やむを得ないところはありますが・・・
 
追記
富郷ダムには1250万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに375万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2275 富郷ダム(1296)
愛媛県四国中央市富郷町津根山
吉野川水系銅山川
FWIP
106メートル
250メートル
52000千㎥/47600千㎥
水資源機構
2000年
◎治水協定が締結されたダム


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