ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

長沼ダム

2016-04-04 10:00:00 | 宮城県
2016年4月1日 長沼ダム
 
長沼ダムは宮城県登米市迫町にある多目的アースダムです。
迫川中下流域は宮城県有数の穀倉地帯ですが、もともとが湖沼地帯だったため豪雨のたびに迫川や北上川の洪水に悩まされてきました。
そこで宮城県は自然湖の長沼に着目、迫川の水位が上昇した際の遊水池とするため長沼をアースダム化しました。
2013年(平成25年)に完成した長沼ダムは自然湖のダム化としてはわが国最大規模の事業で、アースダムとしては総貯水量と湛水面積で日本2位となっています。
長沼ダムは迫川の洪水調節のほか、不特定利水、さらにダム湖でのボート競技を円滑に行うための全国で2か所しかないレクリエーション目的も持っています。
さらに長沼ダムはネーミングライツを採用しており、愛称の『パシフィックコンサルタンツ長沼ダム』が優先的に使用されています。
 
長沼水門
迫川が洪水をおこしたときは迫川の水をこの水門を通して長沼に導水し、水位が下がると迫川に戻します。
したがって一般のダムの洪水吐に当たるものではなく、堤防機能を持った水門となります。
 
天端は広い道路になっていますが車両は通行禁止。
 
ゲート。
 
4門のゲートを操作する機械室。
 
上流面はロックフィルになっています。
 
下流面。
 
長沼はもともとは自然湖です。
ダム湖はボート競技場として利用されるためダムの目的に『レクリエーション《R》』が含まれています。
 
迫川への導水路
洪水時にはこの導水路で迫川の水を長沼に導水、水位が下がると迫川に戻す仕組みです。
 
下流面
堤高15.3メートルで辛うじてダムの要件を満たしています。
 
長沼ダムは自然湖を活用した遊水池で、渡良瀬川遊水地や荒川の彩湖に似たシステムですが、盲腸線の導水路で迫川の水位調節をする点が特徴です。
 
追記
長沼ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0306 長沼ダム(0276)
左岸 宮城県登米市迫町新田
右岸         北方
北上川水系迫川
FNR
15.3メートル
1050メートル
31800千㎥/30600千㎥
宮城県土木部
2013年
◎治水協定が締結されたダム


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