2025年の大学入学共通テストに新教科として導入される「情報」(科目名は「情報1」)について、一部国立大学が同科目を配点に加えない方針を示したことを受け、情報処理学会が2022年10月12日に抗議声明を発表した。
発表では、「このような不適切な入試を看過できず、すべての受験科目に適切な配点が行なわれることを強く求めます」としている。
「すべての受験科目に適切な配点が行なわれることを強く求めます」
国立大学協会は1月28日、2025年の共通テストから、全ての国立大学に対し、従来の5教科7科目に「情報」を加えた「6教科8科目」を課すと発表した。協会は、「情報」について、「大学教育を受ける上での必要な基礎的能力の一つ」と位置付けている。
一方で、北海道大学は9月16日付の発表で、2025年の共通テストにおいて、情報1の受験を課しているものの、同科目の成績は配点しないという方針を示した。成績同点者の順位決定は、個別学力検査などの成績を重視するが、これらの成績も同点だった場合、情報1の成績を活用するとした。
徳島大学も、北大と同様に情報1の受験を課すものの、2026年の共通テストまでは「総合判定の参考」として点数化を行わないとしている。
一部国立大学の方針を受け、情報処理学会は10月12日、「大学入学共通テストで『情報』を必須として課すにも関わらず、配点しないと予告した国立大学があります」とし、不適切な入試を看過できないと抗議した。
続けて「入試科目は点数化してその理解到達度を測定するために課すものであり、配点しない科目の受験を強いるのは、入試の実施根拠そのものを喪失する」と述べ、「高校教育の成果を測定することになる入試において配点しないというのは、高校教育におけるその科目の意義を否定することになります」と主張した。
さらに協会は、原則として共通テストで「情報」を課すという国立大学協会の基本方針を形骸化すると非難し、「すべての受験科目に適切な配点が行なわれることを強く求めます」と締めくくっている。