筆者の大学の同窓会長は北里 一郎氏(明治製菓最高顧問、元社長、会長)である。氏は、北里柴三郎氏の孫にあたる。
もう随分以前のこと、慶應義塾大学理工学部同窓会東海支部総会にお越しいただき、ご講演いただいた。
冒頭、一枚の写真がプロジェクトされた。当然、ご本人の写真と思いきや、それは祖父の北里柴三郎氏の晩年のお写真であった。その、余りに似ていることで、感嘆の声、ため息が思わず聞かれた。DNA恐るべし。よく隔世遺伝ということが言われるが、まさにそのものといった典型例ではなかろうか。
教育学で、学力は「遺伝か環境によるものか。」といった議論がなされる。個人的な見解としては、「学力はDNAを主体として、環境が影響するものである。」といっものを持つ。
本人が気づかぬだけで、予め能力的なことはDNAに大きく影響され、左右されるのではなかろうか。環境的な要因がそれに若干の影響を及ぼすのであろう。
何故、このようなことを論ずるのであろうか、貴方はお分かりですか?
実は、私は隔世遺伝で、祖父に良く似ていると言われる。父親よりも良く似ている。他に、父の姉にあたる車道のおばにも良く似ている。
私が、小学生の頃、正月であったか、父が珍しく「家系図」について話してくれた。
父がやはり小学生の頃、祖父の実家(祖父はご養子であった。)の家系図を前に、先祖の名前を一つ一つ読んでいたときのこと、「これは、愉快な名前だ!」とひときわ目を引く名前を見つけた。
「だだの、まんじゅう。」がそのユーモラスな名前であった。「タダの饅頭」(無料のオマンジュウ)と読めたのであろう。正確には多田満仲という。
兵庫県の川西市に多田神社という大きな神社がある。近くには、つい最近まで、全日空の多田寮(CAさん達の女子寮)があった。毎年春先になると、多田神社のお祭りに、多田の満仲の妻役として、CAさんがよく借り出されていた。ある年などは、ミス・インターナショナル日本代表が妻役を拝命したこともあった。祭られていのは、他ならぬ私どものご先祖である、多田満仲日本史的にいえば、源満仲その人である。武士の始まりと言われる、満仲は晩年、息子の勧めで出家したという。現在、近くの池田駅前ロータリーには、源満仲のブロンズ像が建っている。
最近、私は満中の肖像画を見て、思わず絶句した。その姿は、私の祖父にそっくりなのだ。
つまり、私は源満仲の血を色濃く引くDNAの持ち主なのだ。
ついでに、鎌倉幕府の創始者の源頼朝の肖像画についても、一言。満仲の直系の頼朝があれほど澄ました美形とはどうしても解せぬと、常々思ってきたが、最近の研究では、肖像画はどうやら別人のようです。
個人的には、NHKの大河ドラマは好んでよく見るが、今年度の大河ドラマは一度も見ていない。主人公、平清盛を演ずる男優さんが、かの小雪さんのご主人であることが、ドラマを見ない遠因かもしれないが、昔から平家物語もつまらぬ物語だとしか思ってこなかった。
満仲のDNAを持つ以上、この世の中で何がしかの貢献は出来るだろうと思う。
それが何かは、ようやく最近になって見えてきた思いがする。