小島教育研究所

教育関連ブログです。数学を筆頭に学問全般に渡る有用な情報を提供致します。
東海生、名高生、半高生に最も読まれています。

挨拶は「君はビル・ゲーツからメールをもらったかい?」だった1990年代のアメリカ大学院生気質。

2011-10-31 | コンピュータよもやま話

筆者がアメリカ滞在中の各地の大学院関係者と話をするとき、ビル・ゲーツからのeーmailが届いたかどうかが、情報工学あるいは、コンピュータ・サイエンスを専攻する大学院生の挨拶代わりになっていた。むろんインターネットではなく、DARPAネットによる、メールである。

ARPAネットが発展してDARPAネットとなっていたと思うが、研究者間では、当時すでにe-mailは当たり前になっていた。

多くの場合、脈があるとビルが判断すると、早速、待遇面に話しが進んだという。

ビルもこれはと狙い定めて実力のある大学院生にメールを送信してくるので、成功率は高かったようだ。

待遇面はオフィースの広さ、秘書の人数、計算機環境、プロジェクト休暇、もちろん年俸、そのた福利厚生面の希望をしっかり聞いた上で、ビルとの直接面性、採用の流れだった。当時、ビルの口癖は、「将来のネットウェア環境は、シームレスなものでなければならない。自分のしたいことが、指先一つの動きで実現しなければならない。一言で言えば『Tipps on your finger』だね!!」と言う物だった。

それから20年、インターネット環境がそれなりに整備され、メールもPC、携帯電話とどこでも繋がり、同レベルのサービスが得られるようになっている。先ごろなくなった、スティーブ・ジョブスと同じく、ゲーツ君も同じように、未来が確実に見通せる目を持っている類まれな人物である。

教育でこうした人物が育成出来るとは思わないが、逆にそういった芽をもった学生、生徒をせめて潰さぬことを願いつつ、教育に当たる毎日です。

彼らに共通する資質は『未来は、こういった世の中にしたいという、強烈なイメージを持ち、さらにそれを実現するための最大限の努力を惜しまぬ姿勢であり、まさに自分の描いた理想を本当に実現するところ』にあります。

『強烈に願え!願わなければ実現しない』とは有名な言葉です。

え?ご存じないですか。

それもそうです。私、マリオの言葉です。

では、また。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

センター試験まであと何日?(ささやかなアドバイスです。)

2011-10-27 | X君へのアドバイス

月日の経つのは早いものです。光陰矢のごとしとはよく言ったものです。

このブログをはじめてもう3年目です。定期的にお読みいただいている方、有難うございます。

何かの参考になれば幸いです。

さて、センター試験について。

「センター試験を乗り切る秘訣について。」

トップは英語から始めます。

1.英語

   (1)発音記号をしっかりマスターする。つまり、発音記号を見たら、正しく発音できること。

   最近の電子辞書では、単語の発音機能があるので、有効に活用すること。

   実は、ヒアリングの得点が伸びない人の大半が、発音の学習がおざなりになっています。

   正しい発音が分からぬ限り、聞き取りは正確に出来ません。(当たり前!)

  

   (2)長文の内容一致問題は、同意表現を見抜くことです。

    熟語レベルの同意表現、構文レベルの同意表現に注意しよう。

    また、論理的な意味の違いを使った、レトリックにも注意しよう。(例えば、部分否定と、全否定の違い。)

    同じ表現を、原級、比較級、最上級で表せますか?

   (3)長文問題はリード文、設問をざっと概観してから取り掛かること。

    内容一致問題があれば、ざっと問題文全体を読んでおくこと。

    これは、本文を読む前に、本文に書いてあることの大まかな内容を事前に把握できることに繋がります。

    各設問の流れが、段落順に対応していることを忘れぬように。

   (4)アクセント問題で迷ったときは、前につけよ。(名前動後の原則も忘れないこと。)

    (5)イラスト、図表問題では、リード文を読み、必要な情報のみすばやく見つける。

     イラスト、図表の内容をすべて把握する必要はありません。

  (6)段落補充問題、段落整序問題では、指示語の対応で文の流れを追って下さい。

  (7)パラグラフ・リーディング、ディスコース・マーキングなど色々なテクニックがありますが、

    それのみに頼らないことです。つまり使用ツールの適用範囲を忘れないこと。

 

以上、センター英語に関して、気の付いた点を列記しました。

目指せ200点満点。(最悪でも190点はGETしよう!)

 

君の成功を祈る。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

CPUの生みの親は日本人であることを知っていますか?

2011-10-25 | コンピュータよもやま話

 「マイクロコンピュータの誕生:わが青春の4004』1987年岩波書店(嶋正利)という本がある。

現在のほとんどのPCの心臓部分はインテルのCPUであるペンティアムシリーズが占めている。

その源流をたどると行き着く先は、インテル4004というCPUである。このCPUを設計したのが、嶋正利氏である。

共同開発者としては、フェデリコ・ファジン、マーシャン・ホフ(テッド・ホフ)の二人がいる。

どれぐらいのインパクトがあるかといえば、このインテルの4004が生まれなければ、現在のパーソナルコンピュータは生まれなかったことになる。それくらい重要な発明であった。計算機科学分野なので無理かもしれないが、ノーベル賞10個分位の価値がある、発明だと筆者は思う。

興味のある方は、是非上記の本をお読みください。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慶應義塾大学、24年入試より「センター試験利用入試」を廃止。その2

2011-10-24 | X君へのアドバイス

共通一次試験から名称がセンター試験と変わっても、歴代のセンター長は、慶応義塾大学の塾長経験者が勤めている。

1979年1月から始まった共通一次試験では、参加大学は国立、公立大に限られていた。そこで、私立大学でも独自入試の他、センター試験も利用できるように、全ての教科を受験しなくともよしとする、アラカルト形式を導入し、私立大学には必要な科目の成績のみセンターから通知することを可能とした。これが平成2年以降のことである。慶應義塾大学の参加により、他の私立大も参加を初め、今やセンター利用方式を取らない私立大学を探す方が難しい時代となった。そういった意味では、センター試験からの完全撤退を決めた慶應義塾大学の大きな方針転換の意味するところを検証する必要がある。

 ここで、現在の入試制度における、入試形式を分類すると、一般入試、推薦入試、AO入試、センター利用と4分される。

 AO入試は、今や大半の私立大学では導入されえている制度である。自己推薦精度であり、本来は特色ある学生を入学させるための制度である。余談ながら、このAO制度を日本で最初に導入したのは慶應義塾大学湘南藤沢の総合政策学部と環境情報学部である。

 一般に、センター利用タイプ以外の入試では、初めから受験大学への入学意思が固いものが受験している。したがって、合格すればまずほとんどが間違いなく入学してくる。こうした学生に対して、センター利用タイプは、大学を併願する学生が大半であり、センタータイプでまづ落ち着き先を確保しておき、本命大学を受験するケースが多い。当然、センタータイプで合格したとしても、本命大学に合格すれば、そちらに流れてしまうのは当然である。その大学にどうしても入学して、そこで4年間しっかり学びたいという、当該大学への帰属意識がセンタータイプの合格者とそれ以外の合格者では、根本的に異なる。それは、AO入試合格者の歩留まり率を見れば明らかである。

また、センタータイプの合格者の得点もハイレベルに密集している。つまり、差がつかない。例えば、法学部のセンタータイプでは、合格者(正規合格者50名)の平均は850点以上といわれる。これだけの得点率を上げられる学生ならば、国立他大学(例えば東大文一)も十分狙える層であり、事実かなりの学生が抜けている。

以上の検証により、明らかなように、「慶応義塾大法学部の大学入学者選抜試験としてセンター試験を利用することはもはや無意味となっている現状」をかんがみ、平成24年度入試より、センター試験利用入試から完全撤退とした。

いづれにしろ、貴方がどの入試タイプで大学を受験するかを、早期に決めておくことが、成功に繋がる。慎重に、かつ大胆に自分の進路を見極めよう。方針を早く決めた人が、当然ながら成功する確率は高い。

 

(参考資料:旺文社パスナビ)

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慶應義塾大学、24年入試より「センター試験利用入試」を廃止。

2011-10-20 | 大学受験

既報のとおり、慶應義塾大学は平成2年より参加してきた「センター利用入試」から完全撤退する。

法学部(平成2年から参加)と薬学部(平成21年度から参加)が対象学部である。

センター試験私大参加のシンボル的な存在であった、慶應義塾大学の撤退の真相はどこにあるのだろうか。

以後、数回にわたって独自に検証してみたい。請う、ご期待。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中間試験が終わった今、何をなすべきか。

2011-10-19 | X君へのアドバイス

各科目の出来は、どうでしたか?得意科目はより伸ばし、不得意科目は、苦手意識をなくすことが大切です。

小さなミスを犯さぬように、日頃から細心の注意を常に払ってください。

問われていることは何かを、常に意識してください。

数学なら、求値問題なのか、証明問題なのかの見極めをつけよう。

条件はあるのか、使ってない条件はないか。前問の結果を使っているか。

冷静に、今一度点検する癖を日頃からつけよう。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2012年東大入試予測。(駿台模試から読み取れる傾向。)

2011-10-18 | 大学受験

8月中旬に行われるた第1回東大入試実践模試(13,906名受験)から、来年度東大入試を予測しよう。

2011年度の「理高文低」の傾向は、2012年度も引き続き見られる。

法学部の人気低下、理学部、医学部の人気の高まりについて。

昨年と比較して現役では文系希望者27人増(0.6%)、理系希望者270人増(5.3%)

やはり「理高文低」傾向は拡大基調である。

法学系学部の人気が低下しているのは、低い司法試験の合格率や法科大学院への先行き不安、公務員を取り巻く厳しい環境などに、成績上位層が嫌気をさしたことによる。

逆に、理科一類は志願者数の増加と成績のレベルアップの両面から、難易度アップが予想される。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ワーグナー作曲 歌劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」(前奏曲)

2011-10-15 | 音楽の楽しみ

慶應義塾大学の入学式。開式の辞とともに、オーケストラによる演奏が始まった。その音量といい、美しい響きに、圧倒されるところから、入学式が始まった。演奏しているのは、慶應義塾大学ワグネル・オーケストラ。曲目は、「ニュルンベルグのマイスタージンガー」(ワーグナー作曲)だった。入学式を飾るにふさわしい、華々しくも、荘厳な楽曲で、多くの人を魅了してやまない名曲だ。

いよいよ、自分も、慶應社中の一員となるんだといった感慨もひとしおだった。塾長、来賓の挨拶と続き、圧巻は塾歌だ。

塾歌

一、
見よ               みよ
風に鳴るわが旗を      かぜになるわがはたを
新潮寄するあかつきの   にいじおよするあかつきの
嵐の中にはためきて    あらしのなかにはためきた
文化の護りたからかに   ぶんかのまもりたからかに
貫き樹てし誇りあり     つらぬきたてしほこりあり
樹てんかな この旗を    たてんかな このはたを
強く雄々しく樹てんかな   つよくおおしくたてんかな 
あゝわが義塾          ああわがぎじゅく
慶應 慶應 慶應            けいおう けいおう けいおう

二、
往け               ゆけ
涯なきこの道を        かぎりなきこのみちを
究めていよゝ遠くとも     きわめていよよとおくとも
わが手に執れる炬火は   わがてにとれるかがりびは
叡智の光あきらかに     えいちのひかりあきらかに
ゆくて正しく照らすなり    ゆくてただしくてらすなり
往かんかな この道を    ゆかんかな このみちを
遠く遥けく往かんかな    とおくはるけくゆかんかな
あゝわが義塾         ああわがぎじゅく
慶應 慶應 慶應       けいおう けいおう けいおう
三、
起て               たて
日はめぐる丘の上      ひわめぐるおかのうえ
春秋ふかめ揺ぎなき    はるあきふかめゆるぎなき
学びの城を承け嗣ぎて   まなびのしろをうけつぎて
執る筆かざすわが額の   とるふでかざすわがぬかの
徽章の誉世に布かむ    しるしのほまれよにしかむ
生きんかな この丘に    いきんかな このおかに
高く新たに生きんかな    たかくあらたにいきんかな
あゝわが義塾         ああわがぎじゅく
慶應 慶應 慶應      けいおう けいおう けいおう
爾来、いく霜雪を経た現在も、その感激は、今に続いている。
また、この世に再び生まれ変わってくることがあったなら、そのときも間違いなく、慶應を目指す学徒であると確信する。
来たれ、若人。慶應バンザイ。
両親はじめ、私を支えてくださった多くの方々に、深く感謝の意を伝えたい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

進路について、十分研究もし、色々な人にアドバイスを受けつつも、最後に決断するのは、貴方です。

2011-10-15 | X君へのアドバイス

このとこと、私的な記事が多くて、受験生の方には、退屈だったかもしれません。

中学生、高校生、大学生、院生、一般のかた、様々なレベルで、参考になる内容を記載したいと考えています。

人は、いくつになって学ぶ必要があります。生涯学習が叫ばれ始めて、かれこれ30年近くたっています。

学びの場は多くあればあるほど、よいと思います、

その昔、(また昔の話です。)NHKの教育(9チャンネル)で、高校の物理とか化学の教育番組をよく放映していた。たしか、小学校の3,4年生の頃、物理の番組に、はまってしまい、学校から帰ってくると、力学の実験やら、解説を楽しく学んだ。例えば、真空中で、鳥の羽と、金属球を同時に手放すと、どちらが先に行くに到達するのかを確かめる実験をしていた。自分なりに予想、仮説を立てて、その上で実験して仮説が正しいかどうかの検証をしました。こうした番組が視聴できたことで、一人の小学生が科学に目覚めたのです。最近は、そういった面白みを感ずる番組が少なくなったと思っていました。

ところが、生涯学習に最適なものが、より簡単に視聴できるようになったのを、貴方はご存知でしたか。

この10月1日より、BSデジタルチャンネル231番にて、「放送大学の授業」がご覧いただけるようになりました。一段高い見地から、世の中のことを見るのに、最適な番組ではないかと存じます。ある程度、知識を体系化したいとき、きっと参考になる授業群がそこに用意されていると思います。遠き昔の、NHK教育の番組から得た楽しさと同じものが、また放送大学の授業から得られそうです。意欲的な、中高生諸君。もし時間的余裕があるならば、一度BSの231番を覗いてくれたまえ。得ることが何らかあれば、望外の喜びです。

そこで、表題(タイトル)の登場です。色々な分野の仕事を研究をするさい、是非「放送大学」の授業を参考にしてください。歴史、文化、科学その他、多面的に物事を捉える練習には、とても参考になる番組であると思います。

価値観の混迷する現代にあって、「自分自身の、知の基準を構築すること。」が何より重視される時代がいまや来たろうとしています。

メモを取りながら、各界の第一人者から、最新かつ最深な知識を得ようではありませんか。

この一文が、貴方にとっての恵みとなれば、幸いです。

 

 

 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

我が恩師  伊藤郁夫先生

2011-10-13 | 日記

高校1年から3年までのリーダーを担当していただいた伊藤郁夫先生。

特に高校2年では、担任としても色々お世話になり、卒業後も、何かにつけてアドバイスを良くして下さいました。

進路指導では、1年間かけて慶應義塾大学の各学部の紹介と、学部ごとの卒業生進路についての詳細資料を配布していただき、とても参考になりました。

高校1年生の最初の授業でいきなり、

「君達はもうかなり英語は出来ていると思っているかもしれないが、やっと英語の基礎中の基礎が分かった段階だ。君達が本当に中学校の英語が完璧に身についているかどうかは、これから夏休みまでに行う、小テストで確認できる。その後で本格的に高校英語を教える。わかったか。君達はまだくちばしの黄色いヒヨッコ。ピーチクパーチクのヒヨッコだ。チイチイパッパだということを忘れるな。」

さすがにこの一言にはカチンときて、ハードに英語は勉強した記憶です。

1回の授業に、毎回2枚のB4サイズのプリントが必ず配布されました。今のように、リソグラフのない時代に、ガリ版印刷をほぼ毎日されていた。そのプリントには、学習するページに出てくる単語調べコーナーがあって、同意語、反意語が必ず問われていた。また同意表現を調べさせたり、構文の解説コーナーありという、至れり尽くせりのプリントだった。

大学入学後の英語授業でもまったく困ることはなく、社会人となって、英語の文献を何のストレスもなく読みこなせるのも、郁夫先生の薫陶の賜物と思います。

コンピュータ関係の文献とか、マニュアル(英文)を高速に読みこなし、仕事に役立てることが出来たのも、高校時代に鍛えていただいた英語力のおかげです。

高校2年の面談時「おい、お前、化学は得意か?おれの教え子で東工大で助手をやっているのがいるが、この夏休み久々に話す機会があった。そいつが言うんだ『日本人がノーベル賞をとるには、化学が一番可能性があります。』とね。お前も、化学やらんか?」とおっしゃった。

その時点で、日本人でまだ誰もノーベル化学賞を受賞していないので、「本当ですか?」と逆質問をした。

「日本人はもっとノーベル賞を受賞してもおかしくない。何か一つの突破口があれば、多くの日本人は必ずノーベル賞に手が届く、とその教え子が言ってたぞ。」と郁夫先生。

それから、10数年後、福井博士がノーベル化学賞を受賞され、さらに10数年後、白川博士がノーベル化学賞を受賞された。

郁夫先生の大卒直後の教え子は白川博士だったのです。

「その教え子は、お前と同じ位、英語が出来たぞ。」

「先生、その英語のテストのことなんですが。一つ質問があるのです。何でいつも英語のテストは100点満点ではないのですか。この間の定期試験は107点満点でした。107点と通知表に記載されると思ったら100点になっていました。どうしてですか?」

「すまん。おれは算数が苦手で、大体で点数をつけている。俺のテストで今まで100点を越す生徒はほとんどいなかった。さっきの東工大の教え子くらいだったな。俺のテストで100点超えたのは。100点を超えるような生徒はおらん前提で作っている。カットした分の穴埋めは必ずするからな。悪い悪い。」

郁夫先生はそのことを決して忘れてはみえなかったことが後に判明する。私の結婚披露宴に参列してくださり、過分なお祝いをいただきました。先生にそのお礼を述べると、「忘れたか?君との約束。100点満点でカットした点数の補充を、今日のお祝いでしたぞ。これでチャラだぞ。」といって満面に笑みをたたえられた先生のお姿が今も目に焼きついています。

高1の夏休みの課題は研究社の「シェークスピア物語」であった。シェークスピアの原著書は難しいので、それをリライトしたものであった。分かりやすい英文で、サット読めた。偉い先生の校閲であったが、「はじめに」の欄に「伊藤郁夫先生に感謝する。」の一文を見つけた。

先生に、「あれは先生がお書きになった本ですね。」とお聴きすると、「お前、野暮なことを聞くな。校閲者に悪いだろ。」と諭すように言われたが、その目は確かに微笑んでいた。

私が社会人となっても、大学院を目指すことにしたのも、郁夫先生のご教示の賜物です。

今はなき郁夫先生のご冥福をこころより、お祈りいたします。

 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする